<秋場所3日目>日馬富士(右)を寄り切りで破る琴奨菊

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 ◇大相撲秋場所3日目 ○琴奨菊―日馬富士●(2017年9月12日 両国国技館)

 大相撲秋場所3日目、平幕・琴奨菊が拍子抜けの初金星で3連勝を飾った。横綱・日馬富士が取組中に待ったをアピールする中、構わず寄り切った。大関経験者の金星は2008年秋場所で雅山が朝青龍に勝って以来、9年ぶり。全勝は琴奨菊のほか阿武咲、千代大龍、貴景勝、貴ノ岩、大栄翔の平幕6人。三役以上の全勝は消えた。一方、大関・高安と平幕・宇良が休場した。

 待望の初金星を手放しで喜べない力士も珍しい。大関経験者で西前頭筆頭の琴奨菊が日馬富士を撃破。しかし、「素直にうれしい」という言葉とは裏腹に、表情はさえない。横綱に勝っても騒がれない大関に初場所まで在位したことに加え、相撲内容も不完全燃焼だったからだ。

 琴奨菊が立ち合いで遅れ、懐まで踏み込まれた。すると横綱はそこで「待った」と判断し完全に力を抜いた。下がりながら背中をポンポンと叩いて立ち合い不成立を主張。それでも行司、審判は止めない。琴奨菊は構わず前に出て、楽々と寄り切った。

 館内に舞う座布団もまばらな“怪勝”。「勝負は何があるか分からない。(待ったは)自分で決めることじゃない。(アピールは)分からなかった」。38本の懸賞を手に、複雑な気持ちも漏らした。

 遅咲き記録もつくった。新入幕から幕内76場所目の初金星は昭和以降で史上最も遅く、33歳7カ月も年6場所制となった1958年以降では豪風の35歳1カ月に次ぐ年長2位だ。

 意外な人物に刺激を受けている。初日前日の9日、陸上の桐生祥秀が男子100メートルで日本人初の9秒台をマーク。高3で10秒01を出して以降、苦難の4年間を支えた人たちが、歓喜の涙を流していたのを見て「自分にも、そういうチャンスがある」と思ったそうだ。平幕に落ちても支えてくれるファンや関係者にうれし涙を流してもらう相撲が目標だ。

 これで1横綱2大関の上位陣総なめの3連勝。大関陥落4場所目でも地力は健在だ。役力士の全勝も消え、3日目を終えて全勝力士が平幕だけとなったのは07年初場所以来10年ぶり。優勝経験者の琴奨菊が主役に浮上しつつある。