中国でそのソーシャルメディアが遮断されている米フェイスブックは、同国でのサービスを再開させるべく動き出したようだと、米メディアが伝えている。

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ガバメント・リレーションズ部門でベテラン起用

 米ニューヨーク・タイムズによるとフェイスブックは現在、上海でオフィススペースを探している。その目的は、同社が2016年4月に立ち上げたハードウエア開発部門「Building 8」のスタッフを同国に配置すること。

 だが同社のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、かねて、その創業理念である「『世界をよりオープンに、よりつなげる』ことは、中国抜きでは実現できない」と述べており、おそらく同社の本当の狙いは、中国市場でのサービス再開だとニューヨーク・タイムズは伝えている。

 また、米ウォールストリート・ジャーナルは、フェイスブックが、米リンクトインの中国事業を担当していた、ウイリアム・シュアイ氏という人物を雇い入れたと報じている。シュアイ氏は今後、その実績を生かし、フェイスブックのガバメント・リレーションズ(中国の政府高官などと関係を築く)部門を率いていくという。

今も続く中国のネット規制

 中国政府は、政府に批判的なネット上の言論に対する規制を強めている。この規制の下、フェイスブックのサービスは2009年に同国で遮断された。

 また、同社の傘下には、写真共有サービスの「インスタグラム(Instagram)」があるが、米eマーケターによると、こちらも2014年に香港で起きた反政府デモ(いわゆる雨傘運動)の際に遮断された。

 こうした中、フェイスブックは先ごろ、中国の現地法人を介して「カラフル・バルーンズ(Colorful Balloons)」と呼ぶ写真共有サービスを始めた。こちらのサービスは今のところ遮断されていない。

 しかし、同じく同社傘下のメッセージアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」は今年7月、一時的にだが遮断された。こうした米国企業のネットサービスに対する規制は今も続いているという状況だ。

 eマーケターによると、中国のインターネットユーザーに占めるフェイスブック利用者の比率は19%(2016年9月時点)。こうした人々は、同国のインターネット検閲システムを回避する「VPN」サービスを利用している。

 しかし同国政府は今年8月から、VPNを禁止する措置を厳格に適用するようになった。これにより、同国のフェイスブック利用者数は、大幅に減ったと見られている。

中国の巨大な競合サービス

 ニューヨーク・タイムズによると、ザッカーバーグCEOは、同国でのサービス再開を目指し、過去3年間全力を尽くしてきた。例えば、2015年には同氏があの手この手の対中外交を行っていると伝えられた。

(参考・関連記事)「フェイスブックCEOの対中外交は実を結ぶのか?」

 こうした努力が実り、いつの日か、同社サービスが中国で解禁される日が来るのかもしれない。しかし、中国ではすでに数多くの地場サービスが普及しており、フェイスブックには立ちはだかるライバルが多いとeマーケターは指摘している。

 例えば、中国テンセントホールディングス(騰訊控股)のメッセージングアプリ「WeChat(微信)」の利用者数は4億9430万人。そのスマートフォン利用者に占める比率は79.1%に上っている。

筆者:小久保 重信