名刺代わりになったと語る『DIMENSIONS』。田口 淳之介は今作にどのような思いを込めたのか(撮影・片山拓)

 田口 淳之介にとって初のフルアルバム『DIMENSIONS』(13日発売)が完成した。すらりとした長身を生かした迫力あるパフォーマンスで観客をひきこむソロアーティスト。今作では、田口が以前から好んで聴いていたというヒップホップや、メロウなR&B、ロックテイストなど幅広い楽曲が収められている。また、長年敬愛していた音楽ユニットのHIFANAとのフィーチャリングナンバーもあり、制作過程では非常に刺激を受けたという。今、彼が目指す音楽とは何か。

海外とJ-POPが融合したサウンドを目指す

田口 淳之介

――アルバムを作る上でどういう作品にしたいと思いましたか。

 曲制作についてはスタッフのLOGYがデモをいろいろ投げてくれて、その中で本当に直感的に気に入ったトラックやメロディラインを育てていきました。だから最初に「こういうアルバムを作りましょう」と言って作っていったのではなく「この曲とこの曲があるから、次はこの曲を作ろう」みたいな感じで、1つの形になっていったというか。俺自身を表す名刺代わりのような1枚、という位置づけの1stフルアルバムになったのかなと思います。

――1曲目の「DIMENSION」はどういった思いで作った曲ですか。

 この曲はもともとさかのぼると、7曲目の「GOEMON(feat.HIFANA&KIRA)」をHIFANAさん(KEIZOmachine!とジューシーによるブレイクビーツユニット)にお願いするところから始まっていて。HAIFANAさんと一緒に楽曲をやることが決まったときに、GROUNDRIDDIMというHIFANAさんと同じ事務所に所属しているDJ UPPERCUTさんからデモをいただいて。その中にこの「DIMENSION」のもとになるトラックが入っていて、これはぜひやりたいと。

 自分たちは「Immortal sound(イモータルサウンド)」と言っているんですけど、少しスペイシーで、近未来的な部分の要素が入っていて。そういった海外っぽいトラックにJ-POPらしいメロディラインを融合させるスタイルを打ち出していきたいんです。そのコンセプトにすごく合っているトラックだったので、メロディをつけてもらいました。このトラックをもらったときから、アルバムの1曲目にしたくて。自分がいろいろな困難な壁を破って次元を超えていきたい、という思いがあったので、その決意をリリックに込めました。

――最初に雨の音も入っていて。深く入る曲からスタートしますね。

 DJ UPPERCUTさんはクラブシーンなどリアルなところで活躍されている方なので、そういった重厚感が出た1曲目になったのかなと思います。

――MVでは田口さんのエモーショナルなダンスが堪能できます。

 「光と影をダンスで表現したい」と言われていて。振付は仲宗根(梨乃)さんと50(FIFTY)さん(KING OF SWAG)だったのですが、振りが上がってきたときは「これを1日で覚えるのは無理だな」と思ったんですけど(笑)、頑張りました。MVを見た人からは「すごい!」と言っていただけているので、とてもよかったです。

すごく勉強になったし、もっとうまくなりたい

田口 淳之介

――アルバムの楽曲をセレクトしていくうえで、新たに発見したことはありますか?

 もともと自分が好きなテイスト、今回は4曲目の「G・O・N・G(feat.DAZZ)」だったりとか、もちろん7曲目の「GOEMON(feat.HIFANA&KIRA)」とか、攻めている系が好きだったりもするし、シングルになっている「Connect」や「Raindrops」とかもそうですけれど、洋楽っぽいサウンドの曲を普段からよく聴いています。

 でも洋楽っぽさをそのままやるのは、ちょっと違うと思うんですよ。聴いてくれる方は日本の方が大多数だと思うし。やはりどことなく耳なじみの良さを大切にしていて。「FRIDAY NIGHT」だったら、90年代の久保田(利伸)さんとか、鼻歌を歌えそうなメロディラインだったりとか。そういうところを考えて作っています。

――今、話に出た7曲目の「GOEMON(feat.HIFANA&KIRA)」についてですが、和風なサウンドにのせたKIRAさん(自身で作詞・作曲/プロデュースを手掛ける大阪出身のアーティスト)との掛け合いがかっこいいです。

 自分が好きなストリートカルチャーだったり、クラブ等の現場で流してもらえるようなクオリティのものは出していきたいと思っています。HIFANAさんは世界的に活躍しているアーティストの方ですし、そういう人と一緒にやることですごく勉強させてもらいながら、どんどん自分自身も進化できるようになったと思うし。楽曲制作は本当に刺激を受けました。

――HIFANAさんとの出会いを教えてください。

 8年くらい前、最初は広告会社の方がHIFANAさんの作品集を作っていらしたんです。映像付きの楽曲「WAMONO」という作品で、知っている方も多いと思うんですけれど。最初に見たときに、すごく衝撃を受けて。それで是非いつか一緒に出来たらいいな、と思っていて。改めてお願いしたら、快く受けてくださったんです。最初のデモをもらう前にも打ち合わせを重ねて。やはりHIFANAさんの中での和のサウンドをぜひとも出してほしくて。海外の方に向けてもキャッチーな部分があるので。そこは入れたいなと思っていました。

田口 淳之介

――『GOEMON』というタイトルはどこからきたのですか?

 「鼠小僧」というタイトル案もあったんですけれど(笑)。でも外国の方にとっては「鼠小僧」だと難しくて、「GOEMON」だったら引きがあるかなと。リリックを書き始める時点で、どういう作品にしようかKIRAちゃんと話している中で、世直しみたいなものをユニークに音楽で伝えていく、というのが根底のテーマにあって。石川五右衛門という人は架空の人かもしれないんですけれど、庶民の味方で、悪い人からお金を取って、それを庶民に配ったりするヒーロー的な部分もある。

 それと同時にすごく色男で羨望のまなざしを受けている、というキャラクターがまずいて。もう1人、KIRAちゃんが演じているのは芯がある女性で、お金や名声ではなく愛を信じて五右衛門とともに歩んでいく。KIRAちゃんも言っていたんですけれど、僕を支える女性の強さをファンの皆さんと置き換えて。やっぱり僕を応援してくれているファンの方々はいろいろな逆風があったりする中で、すごく支えてくれているという部分がリンクするんです。そういう強くて固い愛のアンセムみたいな感じで、この曲はでき上がっていきました。

――“男の甲斐性”という歌詞のところにKIRAさんが“女の甲斐性”と被せたりして、対等感がありました。

 自分のパートは全部俺がやっているんですけど、実際レコーディングの現場ではKIRAちゃんに合いの手を入れてもらって。全部そういうところもKIRAちゃんのフリースタイルで入れてくれているので。彼女はシンガーとして活躍して、ラップもやっているんです。本当にすごく勉強になった現場で、HIFANAさんとやれたこともうれしかったですし、自分ももっともっとうまくなって、また次もできたらいいな、と思いました。

――そして「G・O・N・G(feat.DAZZ)」は“ザ・男の世界”という感じがする曲です。

 「G・O・N・G(feat.DAZZ)」はすごく強い男とかアスリートとか、闘う人に向けての楽曲にしようという形で作りました。「G・O・N・G」というだけあって、格闘家をイメージした部分はあるんですけれど、GONGは始まりの合図だから、誰にでも当てはまる部分はあると思っていて。試合に向けてのプロセスだったり、挫折とかもあるなかで、本当にあきらめずに勝利を目指して頑張っていく、という部分に焦点を当てています。

――この作品を一緒に制作したソロアーティストのDAZZさん、DJ・音楽プロデューサーの下拓さんとはどういう話をしましたか?

 下拓くんとは自分のインディーズデビューのときから一緒に作らせてもらって、意思の疎通もすごくとれています。結構乗れる曲というか、ライブでも盛り上がれるような曲を作りたかったので、そこを頼んで。今回はDAZZくんもそうですし、奈良のラッパーでプロデューサーのYoung Yazzyくんがフローとリリックをメインでやってくれて。

 レコーディングしているときにも、ポップになりすぎず、本当にヒップホップなどを聴いている人たちにとってもかけ離れないようにYazzyくんがしてくれて。サビの部分とかでコールするところもあるんですけれど、聴いてくれている人が一緒にアガれる回数だったりとか、そういう部分も一緒に考えて、いい塩梅にしてもらいました。ぜひライブとかでは、コールの部分で一緒にアガってくれたらうれしいです。

支えてくれる人たちの大切さを感じている

田口 淳之介

――3曲目の「Raindrops」は切なくも温かい楽曲です。

 最初にトラックを聴いたときは、ぱっとくるものがなかったんだけれど、プロデューサーから「これは絶対にいい曲になるから、やったほうがいい」と言われて。全体感が出てくるにつれて、自分もしっくりきたんですよね。もちろん自分の直感というのもすごく大事にはしたいんだけれど、そうやって周りで支えてくれる音楽スタッフがどんどん自分の作品をよくしてくれているのは、すごくありがたいです。

――アドバイスがあったからこそ生きた曲なのですね。

 本当、そうですね。「Raindrops」に関しては、自分の周りでも「いい曲だね」と言ってくれる方が多くて。パフォーマンスしている中で、自分的に歌っていてすごく伸びを感じる部分があって、「気持ちよく歌えているな」と感じるので。

 結構自分の気持ちがのってきて、やっぱりいい曲だったんだなと。歌詞ももちろんそうなんですけれど、「Raindrops」に関してはサウンドをすごく感じてもらえたらいいなと。音サビだったりするので、そういうところは自然と体が動く感じになってくれたらいいなと思います。

――「Raindrops」のMVはストーリーがありますよね。

 自分も今まで俳優業というものを経験しているので、そういう一面が見せられたのかなと思います。

――9曲目の『CRIMSON』もファンの方から「かっこよかった」という意見がたくさん上がっています。

 最初にスカパー!さんの番組の中でやらせていただいた初パフォーマンスが生バンドだったので。だからすごく自分的にも改めて曲の良さにも気づかされたというか。最初のデモの段階は、テクノというかEDMぽくて。でもメロディラインがすごく頭に残っていたんですよね。

 それでプロデューサーが「これはアレンジを変えたらいいんじゃない?」と言ったので、「もっとシンプルにして大人っぽくしてみたらどうだろう」というのをLOGYに返して、結果、大人っぽくまったく別ものになりました。アルバムリリースは9月になりましたけれど、なにか季節を感じる曲にしようという話になって。夏というと青だったりとかさわやかみたいな感じの部分が大きいですけれど、クリムゾンは深紅、真っ赤な赤という意味ですが、夏のぐっと暑い恋心を歌詞とサウンドで表しています。

FC限定盤(PDCJ-1094)

――作詞は今回のアルバムでこれまでと変わった部分はありましたか?

 そんなに基本的には変わっていないと思うんですが、インディーズで出した『HERO』のように熱いものを歌っているものから、音楽を楽しませる目線での歌詞の組み立てといったものもやるようになって、バリエーションとして増えてきたのかなとは思います。「FRIDAY NIGHT」とかは、実際に自分の中でモデルがいて。シティボーイというか、歌い出しが<外苑前メトロ降りて>からはじまるので、そういう人の環境の目線になって書いてみると、面白いなと感じましたね。

 あと「DIMENSION」もそうですし「On My Way(feat.Elli-Royal)」は、本当に自分自身を歌った曲だと思うし。「On My Way(feat.Elli-Royal)」に関しては、「DIMENSION」で始まって「On My Way(feat.Elli-Royal)」で締める、というようなアルバムの中のストーリーを持たせたかったので。「この1曲目と10曲目だけは絶対変えないでください」という形でやらせてもらって。

 「On My Way(feat.Elli-Royal)」は夢の途中の部分を意味するので、すごく自分の未来に希望を持たせるような歌詞の内容だったし。その中でElli-Royalという自分の事務所の新人なんですけれど。彼女自身、シンガーになるという夢を持って東京に来て頑張っている。すごく前向きなパワーが一緒に楽曲に収められて。そういった、とても未来を感じる楽曲になったので、この「On My Way(feat.Elli-Royal)」は夢を持っている人たちに、ぜひ聴いてほしいです。

――「On My Way(feat.Elli-Royal)」は、とくに<かじかんだ手にコーヒー渡すだけ>という歌詞のフレーズが印象に残りました。

 音楽制作をやっていて、仲間とのつながりというのをすごく今、感じていて。もちろん仲間としての形はそれぞれだと思うけど、本当に心と心でつながっている仲間に対しては、言葉はいらない、みたいなところはあると思って書きました。支えてくれる人の大切さを感じているので、そこをちょっとでも受け取ってもらえたらいいな、というふうには思います。

――Elli-Royalさんは、今回の楽曲に対する熱い思いをInstagramで綴っていましたね。

 音楽活動を始めるにあたって、彼女自身の決意だったりとか、今後どうしていきたいかとか、自分も社長として話を聞く部分と、同じアーティスト仲間として話をする部分があって。いろいろな目線で語り合うと、心にぐっとくるものがありました。本当に頑張っている人を応援したい、という気持ちがやっぱり大きいですね。

志をともにする仲間が増えているのがうれしい

田口 淳之介

――田口さんも30代になって後輩も増えて相談を受けることも多くなったと思いますが。

 今は活動の幅が広がった分だけ音楽の分野で本当に活躍するのが大変な時代になったと思うんですけれど。でも自分がそれをフックアップしていき、活躍の場を作っていってあげたいという部分はすごく大きくあって。やっぱりシンガーを目指す人にとっては、音楽というものは好きなことじゃないですか。だからそれで仕事になる環境を作っていきたいと常々思っています。

 「FRIDAY NIGHT」のトラックメイカー、X-Tも自分の事務所の所属になったんですけど、彼も北九州で今まで地元のアーティストとかラッパーとか、そういう人たちと一緒に曲作りをしていたけれども、本当に活躍するためには、みたいな感じで東京行きをすごく考えていて。自分もその才能にほれ込んでいるわけだし、来るのだったら一緒に力を合わせて作っていけたらいいなというのがあったので。すごくそうやって自分と志をともにする仲間が増えていっているのは、うれしいことだなと。

――アルバムができ上がって、今はどんな思いを抱いていますか?

 最初にお話ししたように自分にとっての名刺代わりの1枚なので、まず音楽を聴いてもらわないことには、何もスタートしないですから。ぜひともこの1枚で、1曲でいいから気にいった曲があったらすごくうれしいです。今後、ライブ等も控えていますし、そこに向けて自分自身のパフォーマンスや音楽性をさらに高めて、人の心に響くものを作り続けていきたいと思っています。

(取材=桂泉晴名/撮影=片山拓)

田口 淳之介 田口 淳之介 田口 淳之介 田口 淳之介 田口 淳之介
作品情報1st Album『DIMENSIONS(ディメンションズ)』
2017年9月13日 (水)発売
【CD収録楽曲】11曲収録
1. DIMENSION
2. Moment
3. Raindrops
4. G・O・N・G (feat. DAZZ)
5. Connect (Music Video Version)
6. FRIDAY NIGHT
7. GOEMON (feat. HIFANA&KIRA)
8. Gradations
9. CRIMSON
10. On My Way (feat. Elli-Royal)
Bonus Track :On the Moon (Acoustic Version)
【DVD】【Music Video】2曲収録
1.DIMENSION
2.Raindrops

■ 初回限定盤A (CD+DVD) 4,212円税込 UPCH-7332握手会参加券付限定盤
■ 初回限定盤B (CD+DVD) 4,212円税込 UPCH-7348 ツアーチケット最速先行抽選受付シリアルナンバー付限定盤
■ 初回限定盤C (CD) 3,240円税込 UPCH-7349 握手会参加券付限定盤
■ 通常盤 (CD) 3,240円税込 UPCH-2132 ツアーチケット最速先行抽選受付シリアルナンバー付
■ FC限定盤(CD+DVD+LPジャケット仕様)5,184円税込 PDCJ-1094
握手会参加券・ツアーチケット最速先行抽選受付シリアルナンバー付
【CD最速先行受付期間】 9/13(水)12時〜9/19(火)23:59 (FC会員・一般)
【FC会員先行受付期間】 9/23(土)12時〜10/3(火)23:59 (FC会員)

初回限定盤C(UPCH-7349) 初回限定盤B(UPCH-7348) 初回限定盤A(UPCH-7332)
通常盤(UPCH-2132) FC限定盤(PDCJ-1094)
イベント出演・ライブ情報JUNNOSUKE TAGUCHI LIVE TOUR 2018『DIMENSIONS』
2018年1月24日(水)名古屋 @Zepp Nagoya
2018年2月1日 (木)大阪 @Zepp Osaka Bayside
2018年2月2日 (金)福岡 @スカラエスパシオ
2018年2月8日 (木)東京 @Zepp Tokyo

福岡女学院大学・福岡女学院大学短期大学部 第52回葡萄祭
2017年10月21日(土) OPEN 13:30 / START 14:00