立ち合い不成立を主張するも琴奨菊(右)に寄り切りで敗れた日馬富士(カメラ・酒井 悠一)

写真拡大

◆大相撲秋場所3日目 ○琴奨菊(寄り切り)日馬富士●(12日・両国国技館)

 横綱・日馬富士(33)=伊勢ケ浜=が西前頭筆頭・琴奨菊(33)=佐渡ケ嶽=に立ち合いでつっかけ、不成立を主張したが寄り切られた。この日から大関・高安(27)=田子ノ浦=が休場し、03年初場所以来14年ぶりに横綱、大関で4人が離脱。一人横綱が今場所初黒星を喫し三役以上の無敗が消え、3連勝で平幕6人が並ぶ混戦模様となった。高安の休場は前頭だった15年秋場所以来2度目。平幕・宇良も15年春場所の初土俵以来初めて休場し、幕内7人の同時休場は野球賭博問題で6人が謹慎した10年名古屋場所を除けば、05年名古屋場所以来。

 波乱というにはあまりにも残念な相撲で日馬富士に土がついた。突っかけ気味の立ち合いで琴奨菊に中に入られると、右手で相手の背中を4回たたいて“待ってくれ”と不成立をアピール。だが軍配は返り、勝負を止める審判の手も上がらなかった。棒立ちで寄り切られた白房下では、右手を上げてやり直しを訴えたが判定は覆らず。一礼はしたが恨めしそうな表情で土俵を下りた。

 立行司の式守伊之助は、「僕は(琴奨菊が)手をついたと思っている。審判の親方もそう見たと思います」と確信を持って裁いた。土俵下の山科審判長(元小結・大錦)は厳しかった。「自分から突っかけてね。言葉は悪いけど入られたから待ったを訴えたんじゃないか。向こうが待ったなら分かるけどね」と本来受けて立つべき横綱の姿勢を皮肉った。

 この日から高安に人気者の宇良が休場。2004年初場所の公傷制度廃止以降では05年名古屋場所に並ぶ最多タイ(野球賭博問題で6人が謹慎した10年名古屋場所を除く)の7人の幕内力士も休場したことになる。横綱として優勝の義務はさらに強まり気負った可能性はある。だが結果として07年初場所以来となる3日目にして三役以上に全勝なしという不名誉な状況を作り出してしまった。

 不本意な敗戦を消化できない日馬富士は支度部屋でも納得できない様子で2度、舌打ち。相撲について聞かれても「見ての通りですよ」と2度繰り返し、しばらく間を置いて「もったいない…」と大きく息を吐いた。直近10場所で3勝7敗の鬼門の3日目の罠にはまる形となり、帰り際には「相撲になってないよ」とポツリ。秋場所の荒れ模様を止められず足取りは重かった。(網野 大一郎)