自分を呪縛しているのは自分自身かもしれない〜女優・貫地谷しほり

写真拡大 (全3枚)

『告白』、『白ゆき姫殺人事件』、『リバース』など数々のヒット作を世に送りだすミステリー作家、湊かなえの短篇集『望郷』から『夢の国』と『光の航路』がひとつの作品(『望郷』)として、ついに映画化されました。今回は、主演を務めた貫地谷しほりさんに本作にかける想いを聞きました。

映画『望郷』あらすじ
舞台は瀬戸内海に位置する島、因島。古いしきたりを重んじる旧家に育った夢都子(貫地谷しほり)は、家に縛られた人生を送っていました。そんな彼女の幼い頃からの夢は、本土にあるドリームランドという遊園地に行くこと。夢都子にとってドリームランドは遊園地以上の――自由という意味をもっていました。
しかし、封建的な祖母と祖母の顔色をうかがう母は、夢都子がドリームランドへ行くことを決して許してはくれませんでした。時を経て夢都子は結婚し家庭を築きますが、ある日、ドリームランドが閉鎖するニュースを耳にします。そこで夢都子が告白する衝撃の記憶とは......。

憧れや夢は、本当は存在しないのかもしれない
――貫地谷さんにとってのドリームランドは過去に存在したのでしょうか? 

貫地谷さん(以下敬略):私にとっては芸能界がドリームランドでした。キラキラとした夢のような世界だと思い込んでいました。でも、芸能界でいざ生きてみると、とても泥臭い地道な仕事の連続なんですよね。
ドリームランドそのものに憧れていたというよりは、ドリームランドに行ける人に実は憧れていたような気がします。その点は夢都子と同じかもしれません。芸能界という未知の世界への憧れ。そして、ドリームランドに行ってみると抱いていた憧れとは違う現実。憧れや夢ってあるようでないのかもしれない......この映画に出演してそう思いました。

――島ならではの閉塞感や家の呪縛に苦しむ夢都子をとてもリアルに演じていましたが、東京都出身の貫地谷さんはこの役柄にどのようにアプローチしたのですか?

貫地谷:島を舞台とした物語ではありますが、私自身、夢都子にとても共感したところがありました。「私はこうでなきゃいけない」と勝手に思い込んで自分自身を縛ることってありますよね? 自分で自分をがんじがらめにしてしまう。本当は人って無限の可能性があるのに、可能性へ一歩踏み出せない......。夢都子は家に呪縛されていただけではなく、自分自身にも呪縛されていたんじゃないかな。

――島に住んでいなくとも「女はーー、妻はーー、母はーーこうしなきゃいけない」といった、社会的な女性の役割に呪縛されている女性は案外多いと思います。仕事をするなかで貫地谷さんは、女性ならではの社会的な呪縛を感じたことがありますか?

貫地谷:そうですね......そういった意味ではあまり社会的な女性の役割にとらわれたことはないですね。19才のときに出演したドラマの監督からは、「貫地谷君は女の子ならこうすると思うような行動を絶対にとらないよね」と言われたことがあります(笑)。親や演劇の恩師にも「自分が思ったことをやりなさい」と育てられました。自由に育ててくれたことに感謝しています。

――受動的な人生を送っているようにみえる夢都子ですが、内心に強さを秘めた女性だと思います。貫地谷さんは夢都子に自分を投影した部分があるのでしょうか?

貫地谷:芝居というのはやはり素の自分がどこかに出てしまうものなんです。いまこうしてインタビューに答えるほうがよっぽど猫かぶっているのかも(笑)。だから夢都子のどこかに私が出ているかもしれないですね。

自分自身を解放する自由な心が欲しい
――本作は貫地谷さんにとって大切な作品とのことですが、どういう意味ですか?