自転車乗りからの不満の声は多数上がっているが……

 交通マナーで、たびたび話題になる、クルマの左折時に進路を左側に寄せる行為。とくに自転車の利用者から、交差点でクルマが左に進路を寄せてくるのは、幅寄せだ! 危険だ!! 進路妨害で不愉快だ!!! などといった不満の声が寄せられている。

 しかし、道交法には、「車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿って徐行しなければならない」(第34条「左折又は右折」)とあり、左折時に『あらかじめ、できる限り道路の左側に寄る』のは、ルール(法)に則った運転といえる。

 また、自転車も道路交通法上の「軽車両」であり、左折しようとしている前走車を、左側から追い抜こう(すり抜け)とするのは、そもそもルール違反。にもかかわらず、自転車サイドから感情的な批判が多いのはなぜか。

 やはり、左に寄せる行為を「危ない」と感じる人がいるのと、自転車が左折待ちのクルマを、左側から追い越して、先に行きたいのに邪魔だ、と思う人が多いからだろう。前者に関しては、ドライバーの配慮不足だとすれば、大いに反省する必要がある。

 右左折をするときの合図、つまりウインカーを出すタイミングは、「その行為をしようとする地点(交差点においてその行為をしようとする場合にあっては、当該交差点の手前の側端)から30メートル手前の地点に達したとき」と、道路交通法施行令第21条に定められている。

 つまり、左折地点の30メートル手前=ウインカーを出すタイミングで、ドライバーは左側や後方に自転車などがいないことを確認し、OKならばウインカーを出して、クルマを左に寄せていくことになる。

 この30メートル手前に地点で、自車の直近(左後ろ)に自転車やバイクの姿がなければ、クルマを左に寄せはじめても何ら問題はない。

 ただ、前方が詰まっていたり、赤信号で止まるのがわかっている場合で、やや後方に自転車が走っているような場合は、その自転車を通り過ごさせてから、左に寄っていくと親切といえる。反対に、クルマと少し間隔が開いて、なおかつクルマが左側のウインカーを出しているのに、自転車がその左側を通り抜けようとするのは、自転車側のマナー違反。

 左折時に、あらかじめクルマが左に寄っていくのは、自転車などの巻き込み事故を防止するのが目的なのに、そのスペースにわざわざ自転車が侵入してくるのは、少々無謀といっていい。ポイントは、後方の自転車との距離とタイミング。

 クルマ側は、なるべく早く(30メートル手前)ウインカーを出して、自分が左折する意思があることを周囲に知らせ、ウインカーを見た自転車は、そのクルマを左側から追い抜こうとしない。本来、これで丸く収まるはず。

 なかには左折ではなく、直進するのに赤信号でクルマを左に寄せて、後方からくる自転車の進路を塞ぐドライバーもいるようだが……。狭い道では、一度追い抜いた自転車に、信号待ちで抜かれ、それをまた抜き返すのは大変だから、(信号待ちで)抜かれたくないと思う気持ちもわからなくもないが、先を急いでいるのはお互いさま。露骨ないじわるは、お里が知れるというものなので慎んでもらいたい。

 クルマも自転車も、「車両」という意味では同等の存在。双方で敵視しあっていてはストレスしか生まれない。ただでさえストレスフルな社会なので、より快適に走れるために、基本的には、前を走る車両の意思を尊重して、速い車両は遅い車両を労わり、遅い車両(自転車だけでなく、渋滞中のクルマや信号待ちのクルマも含め)は、速い車両の妨げにならないように、気の効いた運転ができる交通社会人を目指したいものだ。