いよいよ『エイリアン:コヴェナント』が公開です。この作品は、SFホラー映画の名作「エイリアン」シリーズの1作で、当然今までの「エイリアン」映画との関連性はあるのですが、”今まで”を知らなくても大丈夫です。

基本は宇宙の危険生物エイリアンとそれに遭遇してしまった宇宙飛行士たちのサバイバルを描いた作品で、その怖さを面白がればいいので、細かい設定がわからないから楽しめないというものではないのです。

ただそれでも、
・ちょっと前知識はいれておきたい。
・なぜ「エイリアン」シリーズがこれほどまでに人気なのか知りたい。
という方のための予習講座です。

「エイリアン」とあのメーテルは同期!?

「エイリアン」1作目は1979年に公開されました。
宇宙船のクルーが、地球外生命体に遭遇。狭い宇宙船内で一人また一人と殺されていく。
“エイリアン”というコトバはこの映画からメジャーになりました。(それまでは地球圏外生物の代表的名称は「ET」でしたからね)
当時は、1977年に「スター・ウォーズ」が大ヒットしていわゆるSF映画ブームが起こっていました。その少し前ぐらいから
「エクソシスト」に代表されるオカルト映画、「ジョーズ」を頂点とする動物系パニック映画、さらに「悪魔のいけにえ」や「ハロウィン」のような殺人鬼ホラー映画が人気を博しており、宇宙SF×ホラーというコンセプトの「エイリアン」が生まれたわけです。

「エイリアン」は20世紀フォックスの映画ですが、実際、この映画の企画を通すときに、”20世紀フォックスのほこる「スター・ウォーズ」と「オーメン」をかけあわせたような映画”と説明されたそうです(笑)
全米公開日は1979年5月25日で、この2年前の5月25日に「スター・ウォーズ」が公開され大ヒットしたので、縁起がいい、この日の公開にしたそうです。
日本はその年の夏。「スーパーマン」「銀河鉄道999」が公開された時でなのでエイリアンは、スーパーマン、メーテルと宇宙人同期です(笑)

エロとグロをアーティスティックに仕上げたのが「エイリアン」

閉ざされた空間(宇宙船とか基地)で、怖い宇宙人と人間が戦う―みたいな映画は昔からあったそうなのですが、この「エイリアン」がこれだけ人気が出たのは、そのアート性だと言われています。
スイスの画家・アーティスト、H・Rギーガー氏が手掛けたエイリアンのデザインのインパクト、セット美術等のすばらしさ、CM出身畑のリドリー・スコット監督による映像美、があいまって、非常にエッジのきいたスリラーに仕上がったわけです。
先日 高橋ヨシキさんとこの映画について対談させていただいた時に、
「ギーガーのデザインが生殖や性をモチーフにしているから、それがこの映画に独特のグロさとエロスを持ち込んで、他のモンスター映画とは一線を画す魅力が出たのでは?」と言ってましたが確かにその通りですね。

というわけで、エイリアンはその後3つの続編が作られ、98年の「エイリアン4」まで続きます。
そのあと番外編的に、同じく20世紀フォックスの人気エイリアン、プレデターと戦う2作が作られます。
しばらくシリーズ化はとまっていましたが、2013年に「エイリアン」を手がけたリドリー・スコット自らが、「エイリアン」の起源を描く、という形での新シリーズの構想を考え、その第一弾として「プロメテウス」という作品を発表します。
エイリアン自体は、もう誰もが知っている有名キャラですが、あのエイリアンがどのようにして生まれたのか?を描いた作品はなかったのです。

「プロメテウス」と「エイリアン」をつなぐのが「エイリアン:コヴェナント」

「エイリアン」の時代設定は2122年。「プロメテウス」で描かれた話は2093年という設定です。
そして今度の「エイリアン:コヴェナント」は2103年が舞台。したがって、物語的には
2093年「プロメテウス」事件
2103年「エイリアン:コヴェナント」事件
2122年「エイリアン」事件
という流れとなります。
先ほど「エイリアン」を見てなくても楽しめる、と書いたのはそもそも「エイリアン」は本作「エイリアン:コヴェナント」の後に起こる出来事なので「エイリアン」からの”物語的な”伏線はないのです。

また「プロメテウス」は、リドリー・スコットが言うほど、エイリアンの起源をしっかり描いていないし、結局よくわからない部分も多いので、「プロメテウス」をみてなくてもなんとかなります(笑)

ただ「プロメテウス」からつながる要素をあえて書くと、、
・ウエイランドという会社の社長が、不老不死の研究をしていて、その結果、人類はそもそもどうして誕生したのかと考えるようになった。
・ウエイランドは、そもそもこの地球人類が”エンジニア”と呼ばれる、高度な宇宙人によって作られたと考える。
・ウエイランドはエンジニアがいると思われる惑星に、科学者を送った。その科学者の乗る船の名がプロメテウス号。その船にはデイビッドという人造人間が乗っていた。
・結局、その惑星はエンジニアの故郷ではなかったが、エンジニアたちがなにかを作っていた(実験していた)星であり、彼らは謎の黒い謎の寄生生物を作っていた。
・エンジニアは、人類より少し大きい2、3mぐらいある巨人で白肌。人類に似ている。また遺伝子的に同じ。なぜ彼らが人類とエイリアンの元のような寄生生物を作ったのかは明確に語られず。
・その星にいたエンジニアの残党と寄生生物により、プロメテウス隊は全滅。生き残った女性科学者ショウ博士と人造人間デイビッドはその星に残っていたエンジニアの宇宙船にのり、エンジニアの星に行くことを決意する。
・以来、ショウ博士と人造人間デイビッドは行方不明。
です。

この7項目抑えておけば、だいたい大丈夫です。

知っていくと楽しいトリビア

「エイリアン」シリーズにはお約束があります。

1、なんらかの共通項のある人間グループとエイリアンが出会う。
「エイリアン」は採掘船のクルーたち、「エイリアン2」は海兵隊員、「エイリアン3」は囚人、「エイリアン4」は貨物船員、「プロメテウス」は科学者、「エイリアン:コヴェナント」は入植者、です。

2、必ず人間側に、人造人間のメンバーがいて、こいつが時に敵だったり、味方だったり。

「エイリアン」の時は、人造人間アッシュ(ASH)「2」「3」は、ビショップ(BISHOP)「4」は、コール(CALL)「プロメテウス」はディビット(DAVID)
です。

それぞれ名前の頭文字がA→B→C→Dであることがわかります。製作者のお遊びですが、今回ウォルターWALTERという人造人間が登場。Eで始まる名前ではないのですが、デイビッドとウォルターの一人二役で、マイケル・ファスベンダーが演じています。
Dはアルファベットの最初から数えて4つめ、Wは最後から数えて4つめ、というひねりを加えています。

なおネタバレではないですが、劇中、シェリー夫人という有名な詩人の奥さんの話が出てきますが、彼女は あの「フランケンシュタイン」の小説を書いた人です。なぜ彼女の名が出てくるのか?を頭に入れて観ても楽しいです。

文・杉山すぴ豊

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