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京都大学発のベンチャー企業に、研究開発職の正社員として採用されたにもかかわらず、あとから「有期雇用」の契約社員扱いで雇い止めされたとして、京都市左京区の男性(39)が9月12日、会社を相手取り、正社員としての地位確認と未払い残業代など計約815万円の支払いを求めて、京都地裁に提訴した。

●「助成金を得るための形式なもの」と説明を受けたという

訴状などによると、男性は、「正社員」の求人情報を確認したうえで、断熱材の研究開発をおこなう京大発ベンチャー企業「ティエムファクトリ」に応募した。2016年11月、同社から受け取った採用通知書には、雇用形態は「正社員」で、契約期間は「定めなし」と書かれていた。

男性は同年12月、エアロゲルという化学品の研究開発職として入社したが、その際に示された「労働条件通知書」には、契約期間が「定めあり」とされていた。会社側からは「契約期間ありとなっているが、正社員として入っており、助成金を得るための形式的なものなので、気にしないで」という説明を受けたという。

男性は都内の研究施設に配属されたあと、今年4月から京都市左京区にある研究施設に配属された。そこで、上司から、研究に必要な試薬や備品などの使用を妨害されるなど嫌がらせを受けて、会社代表に是正を訴えたが、その後も上司は耳元で怒鳴るなど、パワハラ行為はエスカレートしていったという。

京都労働局から会社代表に対して、改善を求める電話が入った2日後の5月31日、男性は会社側から「契約満了で雇い止めする」と通告された。

●男性「騙されたいたという思いが強い」

男性の代理人をつとめる塩見卓也弁護士は「(契約社員としての扱いは)本人の自由意志に基づかず、不利益変更に同意したといえない。雇い止めは無効だ」と説明する。また、男性側は、同社の「固定残業手当」の設定や「専門業務型裁量労働制」の導入も無効だとして、未払い残業代などの支払いを求めている。

提訴後に京都市内で会見を開いた男性は「騙されていたという思いが強い。前の会社でも正社員として働いていたので、契約社員を選ぶ理由がない。入社当日に言われたことを信じていたが、パワハラの報復がされたと思う。研究職として仕事ができない状況に追い込まれた点でも裁量労働とはいえないし、納得がいかない」と心境を打ち明けた。

会社側は弁護士ドットコムニュースの取材に「訴状が届いておらず、詳細は答えられない」とコメントした。

(弁護士ドットコムニュース)