動画ビジネスの「本命」ディズニー参入がもたらす劇的変化

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動画ストリーミング分野の競争は、ますます激化していきそうだ。先月、この分野では3つの大手企業の新たな動きが報じられた。アップルとフェイスブックの両社は2018年に10億ドルの予算をオリジナルコンテンツに投じるという。

一方でディズニーも2019年に独自のストリーミングサービスを立ち上げるとアナウンスした。これらのうち、勝者となるのはどの企業なのだろう。

この分野で先行したのは2015年にストリーミングサービスを立ち上げたHBOだった。それ以降、TVドラマや映画がストリーミングを通じてダイレクトに消費者に届けられるようになり、ディズニーもこの流れに加わった。

現在では100以上ものストリーミングサービスが乱立し、一種の飽和状態とも呼べる。その中でネットフリックスやアマゾンは豊富な資金をオリジナル番組の製作につぎ込み、他社との差別化を図ろうとしている。

一方で、ケーブルテレビ業界や通信キャリアは、以前から数百億ドルをコンテンツの確保のために投資してきた。コムキャストは2010年にNBCユニバーサルを買収し、AT&Tもタイム・ワーナー買収の動きを昨年から進めている。

タイム・ワーナーの傘下にはHBOやワーナー・ブラザーズがある。つまり、フェイスブックやアップルらはコンテンツ投資分野に遅れて参入したプレイヤーなのだ。

筆者の見方では、ディズニーはフェイスブックやアップルよりも有利なポジションに居る。ディズニーはコンテンツへの投資無しで、優秀なテクノロジー人材を呼び寄せることで成功を収められる。ディズニーはMLBが既に採用しているストリーミングエンジンのBAMTechに投資を行っている。

フェイスブックやアップルが抱える難題は、コンテンツの製作力やビジネス開発力を高めることで、それはたやすいことではない。

ディズニーは「スター・ウォーズ」も獲得

筆者は自身が授業を受け持つロサンゼルスのビジネススクール、Graziadio Business Schoolの50名の生徒らに、ディズニーの先行きについて尋ねてみた。生徒らは25歳から45歳の年齢層で、人種や業界のバックグラウンドも様々だ。しかし、彼らの大多数はディズニーがキッズやミレニアル世代に強固なファンベースを持つことを理由に、この分野での成功を確信していると述べた。ディズニーは膨大なTVシリーズやESPN等のスポーツコンテンツを抱えており、テーマパーク事業やマーチャンダイズ、書籍や音楽を絡めたプロモーション展開が可能なことも強みとなる。

また、9月7日になって、マーベルやスター・ウォーズの映画コンテンツがディズニーのサービスで配信されることが明らかになった。これによりディズニーのコンテンツの優位性はさらに高まった。

振り返ってみれば、このような垂直統合の流れが起きるのは時間の問題だった。インターネットではコンテンツの権利者が販路を広げることは簡単で、成功したプラットフォームはオリジナルコンテンツに投資を行う。しかし、動画ストリーミング分野で覇権を握れる企業は数社に限られている。

したがって、遅れて参入したプレイヤーたちは明確な戦略を持つことが非常に重要だ。実験的アプローチだけでは不十分なのだ。アップルとフェイスブック、さらにディズニーによる三つ巴の戦いとなったストリーミング市場は今、かつてないレベルの熾烈な競争環境に突入した。

消費者が支持するのは、数社のうちで最も質の高いコンテンツをそろえ、それを革新的テクノロジーで提供する企業だ。十分な顧客ベースを獲得できないプラットフォームは市場から撤退する、もしくは他企業に買収されて消え去る道を歩むしかない。