自動車ショーの会場に展示されたテスラの「モデルS」(2015年9月16日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】大型ハリケーン「イルマ(Irma)」の進路から逃れることを手助けするため、米電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)は先ごろ、当該地域の車両所有者に対し、走行距離を伸ばすためのバッテリー容量を一時的に増やす無料のアップグレードを無線ネットワークを通じて行った。

 無料の措置は、善意の意思表示として受け取られ、テスラ社の株価を押し上げることにもつながった。しかし、その一方で車両の権限を販売後も握り続けているとの見方に一部からは不安視する声も上がった。

 先週末、米フロリダ(Florida)州の住民数百万人に対して避難命令が出された。これを受け、テスラは「モデルX(Model X)」「モデルS(Model S)」などのバッテリー容量を60kWhから75kWhに増やすアップグレードを無線ネットワークを通じて提供。走行可能距離が48キロ増え、370キロに延長された。カリフォルニア(California)州を本拠地とする同社の広報担当者は11日、これを事実と確認した。

 モデルにもよるが、ソフトウェアによるアップグレードは通常4500ドル(約49万円)から9000ドル(約98万円)かかる。今回の措置は避難者にのみ適用され、また16日までの一時的なものとなっている。

 自動車関連ブログの「Jalopnik」は、テスラの措置について「称賛に値するもので適切」としているが、その一方で「自動車の恐るべき未来像」を描いたとも語っている。Jalopnikのジャスティン・ウエストブルック(Justin Westbrook)氏は、富裕層が優先されるなどの「災害時に会社や組織が極めて重要な意思決定者となる最悪のシナリオ」の危険性を指摘した。

 AFPが取材した自動車評論家らは、ドライバーに対するメーカー側のコントロールが強まりつつあることは認めたが、さらなる極端な懸念については触れなかった。

■遠隔操作で車両をシャットダウン

 テスラは、無線ネットワークを利用するOTA機能で一歩リードしているが、その他多くの自動車メーカーも、電子化が進み、インターネットに常時接続されている車両(コネクティッド・カー)に対してはある程度コントロールできる。

 自動車ソフトウェア・ソリューションなどを手掛ける米コックス・オートモーティブ(Cox Automotive)のカール・ブラウアー(Karl Brauer)氏は、「多くの消費者は、ゼネラル・モーターズ(GM)が遠隔操作で車両をシャットダウンできることを知らない」と話す。そして「警察官が『あの車を止めろ』と言えば、GMはそれをすることができる。そのようなことを10年以上やってきたことは、知られたくないだろうが」とも述べた。

 米自動車情報サイト、エドマンズ・ドット・コム(Edmunds.com)の編集主任エド・ヘルウィグ(Ed Hellwig)氏も、他の自動車メーカーも将来的にはテスラのレベルにいずれ追いつくだろうと述べ、「ゆくゆくは、OTAでのソフトウエアアップデートなど、ある程度のコントロールは可能になる」と続けた。

 ただ同氏は、一般の消費者が所有車への敵対的なハッキングを心配する必要はないとの楽観的な見方を示している。

 テスラは2016年、中国のセキュリティー会社から「モデルS」の遠隔操作の脆弱(ぜいじゃく)性について指摘を受け、欠陥を改良した過去がある。この時のソフトウェア更新は、OTAを使って行っている。
【翻訳編集】AFPBB News