マンチェスター・シティはリバプールに5-0で勝利した【写真:Getty Images】

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どこかで見たようなリバプール。構成と戦術が日本代表と類似

 9月9日、イングランド・プレミアリーグ第4節の試合が行われ、マンチェスター・シティはリバプールに5-0で勝利した。上位チーム相手に強いリバプールは、オーストラリア戦の日本代表とよく似た戦い方で試合序盤時間こそ攻め込んだものの、マネの退場もあり流れは激変。最終的に5失点をくらい黒星を喫することとなった。(文:西部謙司)

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【プレミアリーグ第4節】マンチェスター・シティ 5-0 リバプール

 序盤はリバプールのペースだった。後方からもパスをつないでいくシティに対して素早いプレス、そしてディフェンスライン背後のスペースがあるうちに快足のサラー、マネを走らせる縦に速い攻撃。あれ、どこかで見たような……そうオーストラリア戦の日本代表に構成と戦術がよく似ていたのだ。

 4バックに3人のMF、中央のヘンダーソンは攻守にそつのないリーダー的な長谷部に重なり、速さとボール奪取力に優れたワイナルドゥムは井手口、フィジカルの強いジャンは山口とタイプ的には似ていなくもなし。FWの中央はキープ力抜群のフィルミーノ(大迫)、左右にスピード抜群の槍型マネとサラー(浅野、乾)はそのまんま。

 リバプールは上位対決に強く、この試合でもシティに先制されたもののリズムはつかんでいた。厳しいプレスで奪取すると容赦のない縦ポン攻撃、サラーとマネのスピードにシティ守備陣はたじたじとなっていた。デュエルの強さと前線の速さを生かしたスタイルは、オーストラリア戦の日本を増幅させたような感じだった。

 シティはGKエデルソン。ダニーロ、ストーンズ、オタメンディの3バック。両サイドにウォーカー、メンディ。中盤底にフェルナンジーニョ、インサイドハーフにデブライネ、シルバのお馴染みのコンビ。そしてアグエロとジェズスの2トップという3-5-2。

 序盤はリバプールのプレスと素早い攻め込みに苦しんだが、デブライネからアグエロのキラーパス一発で先制した。30分ぐらいからボールを支配できるようになり、リバプールのプレスを外し始める。するとこの試合を決定づける出来事が37分に起こった。

 縦パスを追ったマネ、ペナルティーエリアの外へ飛び出したエデルソンが衝突。ボールに触ろうと高く上げたマネの足が、クリアした後のエデルソンの顔面を直撃した。快足マネが疾走してきた勢いのままに高く上げた足をカウンター気味に食らったのだから堪ったものではない。エデルソンは担架で運び出され、GKブラボとの交代を余儀なくされた。一方、マネはこれで一発退場。

どうみても判定が正しいマネ退場。ロベカルのようなクロス放つメンディ

 マネの退場については英国のテレビ番組などでも取り上げられ、シアラーやリネカーなど往年の名ストライカーは「レッドは厳しすぎる」と発言している。世論も分かれているようだ。

 これには少々驚かされる。まずルール上、どうみても判定は正しい。下手をすればエデルソンは再起不能の重傷を負っていたかもしれない。

「かつてはあれぐらいでも退場にはならなかった」「ストライカーとしては当然の行為」という声がけっこうあるのは、英国ならではの現象だろうか。ともあれ、プロサッカーは当たり前に命がけなのだということがよくわかるシーンだった。

 10人になったリバプールは4-4-1で構えるが、シティは51分にジェズスがヘディングで決めて2-0。後半に入ると、再びジェズス、交代出場のサネが2ゴールを追加。5-0でシティの大勝に終わった。

 シティの新加入選手、左ウイングバックのメンディから放たれる強烈なクロスボールが印象的だった。低くもの凄く速い。蹴ったときの音が他の選手とは違っていて、かつてのロベルト・カルロスを思わせる破格のクロスである。

 もっともメンディは味方からのパスをダイレクトで蹴っているのでボールに反発力がある。コースもDFとGKの間のワンパターンなのだが、それでも相当な威力だった。サネのチーム4点目をアシストしている。

 リバプールを撃沈させたシティではあるが、マネの退場がなければどうなっていたかはわからない。少なくとも5-0ではなかっただろう。スルーパスの名手であるデブライネ、シルバがいるので、彼らのパスから2トップの抜け出しは武器になっている。

 ただ、アグエロもジェズスも上背がないのでクロスボールは低いほうが合いやすい。その点でメンディの獲得はチーム事情にも合致しているようだ。

(文:西部謙司)

text by 西部謙司