フォーブスが世界長者番付を始めた理由

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フォーブスが今月迎える創刊から100年の節目を記念し、アーカイブから編集部一押しの記事を紹介する。以下は、1987年10月5日号の記事より。

フォーブスは同号で、初の世界ビリオネア(保有資産10億ドル以上の富豪)ランキングを、50ページにわたる特集と共に発表した。その際のカバーストーリーにはこう書かれている。

「10億ドルという金額は、金持ちと大金持ちを区別する良い境界線に思える。誰かがどうやって10億ドルを稼ぎ、保持したのかに目を向けることで、世界の仕組みを学ぶことができるだろう」

この号では、豪メディア王ケリー・パッカーのような有名人や、ドイツ通信販売界の女王グレーテ・シケダンツのように比較的知名度の低い人物の両方に焦点を当てた一方で、サウジアラビアのファハド国王といった王族や、北朝鮮の金日成をはじめとする独裁者は除外した。

ビリオネアを輩出した国は当時、24か国のみだったが、今日では67か国に増えた。当時のランキングには中国とロシアの出身者は一人も入らず、インドからのランク入りはたった1人だった。

当時から変わらないことは、米国は常に最多のビリオネアを生んできたという点だ。1987年にランク入りした米国人は49人。2位は日本の24人で、3位以降は西ドイツが13人、英国が7人、香港とカナダがそれぞれ6人と続いた。

「国境は今でも政治家を満足させられるが、もはや実業家の障害とはならない」

億万長者の昔と今

1987年:香港の李嘉誠は、プラスチック事業で得た慎ましい財産を、香港の不動産投資によって12億ドルへと増やした。

2016年:李は今やアジア2位の富豪で、数十年にわたる事業拡張や、最近の欧州通信業界への投資などによって資産額は271億ドル(約2兆9500億円)に上っている。

日本の最盛期

1980年代にはソニーなどの企業が製造・テクノロジー産業を独占し、日本の地位を急上昇させた。1987年の世界一の富豪は、鉄道・不動産業界の重鎮、堤義明だった。その後、日本の経済は停滞。堤は、自身が築き上げた帝国が不祥事により崩壊し始めた2007年までビリオネアの地位を保った。

犯罪の代償

パブロ・エスコバルは、麻薬王としてビリオネアの地位へと上り詰めた。「がっちりした体つきで、身長は5フィート6インチ(約168センチ)。普段はラグビーシャツにチノパン、スニーカーといういでたちのエスコバルは、攻撃的で血も涙もない切れ者というコロンビア麻薬密売人の典型例だ」

「初期の儲けの抜け目ない再投資と優れた渉外能力によって」コロンビアの麻薬組織メデジン・カルテルのトップに上り詰めたエスコバルは、自身が設計したとされる贅沢な刑務所に1年間収監された後に逃亡。1993年、米国の支援を受けたコロンビア治安当局によって射殺された。