カール・ユングが言うところの「シンクロニシティ」とは、大ざっぱに説明すると“何らかの一致する出来事が、離れた場所でほぼ同時に発生する”ということ。で、今、文房具業界でもそんなシンクロニシティ的な手帳がほぼ同時期に発表され、ちょっと話題になっている。

 

カール事務器の「カレンダー手帳」と、LIHIT.LAB(リヒトラブ)の「卓上カレンダーにもなるダイアリー」が、それだ。名前からもなんとなく想像はつくと思うが、どちらもA5サイズの卓上カレンダー(リヒトラブのほうにはB6サイズもある)を外に持ち出して、手帳として使おう……というコンセプトの製品である。

↑卓上カレンダー兼手帳、というそっくりなコンセプトで作られた2冊

 

これ、何がいいかって、こういう人に便利なのだ。

 

●事務・経理など内勤の人

内勤の人は、わりと卓上カレンダーだけでスケジュール管理をしている。自分のデスク周辺でスケジュールが決まることが多く、それを目の前の卓上カレンダーに書き込むのが常だ。さらにそれを手帳のスケジュール欄に書き写すのは面倒なので、この卓上カレンダー兼用手帳を使って一冊で済ませてしまおう。

 

●手帳のスケジューラーは持て余しているが、メモページは普通に使っている人

毎年、手帳のページを持て余している人というのがけっこういる。1週間1ページのレフト式ですらスカスカという人は、もう最初からマンスリーブロックだけで充分。これはA5ノートとも兼用できるので、スケジュール以外の書き込みをできるだけの量は充分に確保できる。

 

さて、実際に使ってみるとこの2冊、これほどコンセプトが一致しているにもかかわらず、それぞれ方向性や使い方が少しずつ違っていて面白い。そもそも、卓上カレンダーをメインのスケジューラーとして使っている人は意外と多いだけに、実は待望されていた新しいタイプの手帳なのだ。いったいどちらを買ったら良いのか、下の説明を読んで確認して欲しい。

 

デザインも凝った「カレンダー手帳」

まずは、カール事務器の「カレンダー手帳」。こちらは以前、カール事務器がお得意さまへのお年始として配布していたカレンダー兼用手帳を、リファインして製品化したもの。このリファインに際しては、“文具ソムリエール”としてテレビなどでもおなじみの菅 未里(かん みさと)さんが全面プロデュースし、表紙にリバティ社の生地を貼るなどして、かなりおしゃれな見た目に変身させている。

↑カール事務器「カレンダー手帳」表紙5種、各2106円(9月上旬発売予定)

 

卓上カレンダーとして使うときには、表紙を留めているゴムバンドを外してから裏表紙を広げる。するとゴムバンドがストッパーとなって、三角形の卓上カレンダー型に固定できるという仕組みだ。話を聞くだけだと「???」という感じだろうが、ごくシンプルな構造なので、一度変形させてみればすぐに理解できるはず。バンドで常にテンションがかかっているので、置いたときの安定感も非常に良い。

↑2枚重ねの裏表紙を開くと、ゴムバンドがストッパーになる

 

↑ソムリエールこだわりのカレンダー用紙は、万年筆で書いても裏抜けせず、フリクションを消す際の摩擦でもよれにくい頑丈さがうれしい

 

中身のマンスリーカレンダーは、ブロックが22×24个箸曚楡喫形に近いタイプ。紙自体はA5サイズと卓上カレンダーとしては大きめなので、今までカレンダーをスケジューラーとしていた人なら、不満なく書き込みができるだろう。裏面は前月・来月のミニカレンダー+メモ用のフリースペース。先月からの申し送り事項を書き込んだり、来月分の日程未定の用件をメモしたりと、けっこう使いでのある空きスペースだ。

↑マンスリーブロックの対向ページはフリースペース。サイドのインデックスも使いやすい

 

特徴的なのは、カレンダーにインデックスが付いているというところ。手帳代わりに持ち歩くことも想定し、一度表紙を閉じて次に開くときに、目的の月のカレンダーにサッとアクセスできるようになっている。単純だが、これが使ってみるとかなりありがたい。ちょっと先の予定なんだけど……という時に、迷わずその月が開けるのはやはり便利だ。

↑比較的柔らかい樹脂を使った大口径リングは、すき間にペンなどを差し入れてひねると簡単に開く。閉じる時は指で押さえるだけ

 

カレンダーより後ろのページは、初期状態では真ん中にページを2分割する線の入った3佇眼ノート。個人的には細かすぎる方眼は苦手なのだが、そういう場合は中身を入れ替えてしまえば良い。カレンダー手帳はA5 20穴のルーズリーフ準拠なので、普段から使っているルーズリーフ用紙に入れ替えれば問題なしだ。また、リング径はかなり大きい(内径14.5弌砲里如△舛腓辰搬燭瓩縫痢璽肇據璽犬鯊しても開きやすい。

 

素早くカレンダーに変形する「卓上カレンダーにもなるダイアリー」

リヒトラブの「卓上カレンダーにもなるダイアリー」は、閉じた状態だと見た目は完全に普通のノートだ。リング部分にはリヒトラブお得意のツイストリングを使っており、これまで普通のリングノートを愛用していた人は、そのまま中身の引っ越しが可能。ツイストノートを使っていた人なら言わずもがな、だ。

 

表紙と裏表紙はかなり厚めのPP製の板なので、立ったままでの筆記も問題なし。

↑リヒトラブ「卓上カレンダーにもなるダイアリー」B6/1188円 A5/1296円

 

カレンダーへの変形は、カール以上にシンプル。ノートを300度くらいに折り返して置くだけで、ピタッと三角形の卓上カレンダー形態になる。表紙と裏表紙の長辺にエラストマーのストッパーが付いており、その摩擦で立てたまま安定させられるようになっているのだ。外に持ち出す機会が多く、帰ってきたらすぐ卓上カレンダーとして元の位置に戻す、という使い方であれば、圧倒的にこちらの方が楽だろう。

↑表紙と裏表紙についているストッパー

 

↑簡単に自立するので、外への持ち出しも楽だ。カレンダー用紙は、カールと同様に頑丈な厚手のもの

 

メインのマンスリーカレンダーは、19.5弌29个箸舛腓辰伐D后A5サイズ)。中が薄く2分割されているので、1日の予定数がだいたい2件で収まるなら書きやすい。

 

裏面は1ヶ月分のガントチャートになっており、複数のプロジェクトをまとめて視覚的に管理できる。打ち合わせのようなピンポイントなスケジュールだけでなく、「この日からこの日まではこの仕事」「この仕事はこの日から〆切り日までにこなす」といった日程管理も合わせて必要な制作系の人には、これが使いやすい。また、ガントチャートはページの天地に向きを合わせた日付が印刷されている。卓上カレンダー状態でチャートを見たい人、マンスリーと付き合わせてチャートを見たい人、それぞれ自分の好きな向きで書き込めるのは、細かい配慮ながらありがたい。

↑プロジェクト管理に最適のガントチャート

 

細かい配慮と言えば、持ち歩き用のノートとしてありがたいのが、裏表紙の内側に備えるPPポケット。もらった名刺、資料などを挟んでおけるので、実は便利なのだ。ポケット自体はこれまたリヒトラブお得意の、端がわずかにめくれ上がったタイプ。片手でも紙の抜き差しがしやすいので、積極的に使ってみて欲しい。

↑フチの特殊加工で紙をスッと挿し込みやすいPPポケット

 

↑愛用者が増えつつあるツイストリング仕様。ノート用紙の交換も手軽だ

 

全体的に使用感をまとめてみると、どちらも手帳(ノート)として充分に使用できるポテンシャルはあるが、どちらかというと

「カレンダー手帳」=カレンダー寄り、「卓上カレンダーにもなるダイアリー」=ノート・手帳寄り

という感じ。

 

それぞれの特徴を俯瞰した上でまだ悩んでいるようなら、最終的にどちらの形態で使う時間が長いか、を考えた上で購入するのがいいだろう。