三菱日立パワーシステムズ(MHPS)と伊藤忠商事は11日、セルビア共和国のニコラ・テスラA石炭火力発電所に対する排煙脱硫装置(FGD)2基の設置プロジェクトを受注したと発表。同国でのFGD案件は初めてで、規模としては世界最大級となる。

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 FGDとは、石炭火力発電所などの排ガスに含まれる、二酸化硫黄といった硫黄酸化物を除去する装置のことを指す。かつて戦後の日本では、産業復興の折に工場から流れ出た硫黄酸化物が四日市ぜんそくなどの大気汚染を引き起こし、それを防止する規制が設けられた。

 その規制をクリアするにあたり必要になったのがFGDだ。環境問題を防ぐ重要な装置である。しかし、現在セルビアにおいて導入は進んでいない。EU加盟を目指すセルビアは2023年中に環境基準をEUレベルにしなければならないが、同国発電量の6割を担う石炭火力設備の殆どが未設置の状態だ。

 そこで今回、総発電量の約4分の1を占めるセルビア最大の発電所、ニコラ・テスラA石炭火力発電所への導入を進めることとなった。同発電所は首都ベオグラードの南西約40km地点に位置し、セルビア電力公社が運営している。3〜6号機の計130万kWに対し、2基のFGDが設置される。

 FGDが導入されれば二酸化硫黄排出量の97%が削減され、EU基準にも適合する。運転開始は2021年前半の予定だ。資金は国際協力機構(JICA)の円借款により282億円が供与される。

 設置にあたっては、マネジメントや基本設計、主要機器の納入などをMHPS、商務関連の業務などを伊藤忠商事、そして土建・据付工事や現地調達を現地工事会社MPP “JEDINSTVO” a.d.が担当する。

 MHPSは2016年7月にセルビアの隣国ボスニア・ヘルツェゴビナでFGDを受注したほか、全世界では300基以上の納入実績がある。セルビアは他の発電所へのFGD導入も検討しており、MHPSと伊藤忠商事はともに今後も環境負荷低減に向け取り組んでいくとみられる。