東日本大震災の発生から6年半の11日、東北の被災地には犠牲者を悼み、あの日を思う姿があった。

 町民の約1割にあたる1200人あまりの命が失われた岩手県大槌町。高台の公園から、眼下に広がる海に、手を合わせる人々を「希望の灯(あか)り」がやわらかく、あたたかく、照らし出していた。(千葉元)

 同町城山公園にある「希望の灯り」は平成24年に設置された。神戸市、岩手県陸前高田市、福島県南相馬市にある慰霊と復興の祈りを込めたガス灯から分灯されたものだ。この日は近くの墓地を訪ね人々が立ち寄って、それぞれの思いをめぐらせた。

 同町で被災し、盛岡市に移住した無職、上野美代さん(67)は、津波で家を失った。命は助かったが、幼いころからの友人が津波で流された。

 「命があるだけでもありがたい。あの日のことは思い出したくないけれど、家族や身近な人の大切さを思い知るきっかけになった」

 こう話し、犠牲になった友人の墓前でたたずんだ。

 震災から6年半。「工事の人が徐々に引き上げていくのを感じる」と上野さんは話す。それだけ復興が進んだからなのか、ほかに優先されているものがあるからなのか。「自分たちも頑張らなければと思うが、まだ他県のみなさんの力も借りなければならない」と、かさ上げ工事現場を眺めた。

 岩手県遠野市の斉藤光さん(31)は、津波の犠牲になった祖母=当時(67)=を想った。幼いころ、庭で土遊びをしてもらった記憶は鮮明だ。

 「成長した姿をもっと見せたかった。ここで話しかけても返事はしてくれないけれど、どこかで見てくれていると信じ、日々を生きています」。そうつぶやき、遠く海を見つめた。