奈良市出身の映画監督、河瀬直美さんが、奈良を舞台にした最新作「Vision」の制作に取りかかっている。

 主演はフランスの名俳優・ジュリエット・ビノシュさんと、河瀬監督の前作「光」でも主演した永瀬正敏さんという豪華キャスト。来年の公開に向け、吉野町で撮影が進んでいる。

 「Vision」は、世界中を旅して紀行文エッセーを執筆するフランス人エッセイスト役のビノシュさんと、吉野の山を守る「山守(やまもり)」役の永瀬さんが出会い、言葉や文化の壁を越えて心を通わせていく物語。全編を通じ奈良でロケが行われる予定で、今月3日にクランクインした。今月20日までと、11月〜12月初旬の2期に分けて撮影予定という。

 新作づくりのきっかけは、今年5月に開催された第70回カンヌ国際映画祭。コンペティション部門に「光」を出品した河瀬監督と本作のプロデューサー、マリアン・スロットさんが映画祭の公式ディナーで同席となった際、“映画への愛”を通じ意気投合。翌6月には制作が決まった。今回も、河瀬監督によるオリジナルの脚本だ。

 ビノシュさんは同映画祭で、授賞式のプレゼンターを務めていた。河瀬監督は「今年のカンヌでジュリエット・ビノシュに出会い、彼女とともに映画を創りたいと思った瞬間から、すべての準備がパズルのように奇跡的にはまった」とし、「これからの撮影が楽しみです」と語っている。

 主演を務めるジュリエット・ビノシュさんは、「ポンヌフの恋人」や「イングリッシュ・ペイシェント」などの映画で知られ、ベネチア、ベルリン、カンヌの世界三大映画祭すべてで女優賞を獲得した、世界的に活躍するフランスの名俳優。ビノシュさんは河瀬監督について「フランスで河瀬監督の作品はリスペクトされていて、彼女が紡ぐ表現方法はとても独特ですばらしいと感じている」とし、撮影に際しては「奈良の自然に囲まれた中で最高に贅沢(ぜいたく)な時間を味わわせてもらっています」と話している。

 河瀬監督と3度目のタッグを組む永瀬正敏さんは「再び奈良の地で河瀬監督の世界に浸らせていただけること、とても光栄です」とコメントした。