世界初の国際月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」に挑む、日本の「HAKUTO(ハクト)」チームは、2017年8月28日から9月1日まで探査車の通信試験を行った。

試験場として選ばれたのは、「鳥取砂丘」。理由は月面の環境に似ているからだというが、それはどんな環境なのか。Jタウンネットは、鳥取砂丘を試験場所として使えるように調整した鳥取県に話を聞いてみた。

穴を掘るにも許可がいる

取材に応じてくれたのは、鳥取県元気づくり総本部とっとり元気戦略課の諸遊(もろゆう)さん。ハクトと鳥取県が連携協力をしたのは、2016年5月のこと。その年の9月に鳥取砂丘で最初の走行試験が行われ、今回は2回目だった。

鳥取砂丘が試験場所として選ばれた理由について、「パウダー状の砂の細かさや広い砂丘地という環境などが月面に近いと聞いています」と話す。

ハクトに通信技術を提供するなど支援しているauの特設ウェブページを見ると、月面は昼には100度超、夜はマイナス150度以下という過酷な環境とあり、鳥取砂丘は表面温度が場所によっては60度になることもあり、月面に近い熱環境を再現できるロケーションだと書かれている。

屋外での試験は天候にも左右され大変だそうだ。

「今回の試験を行うにあたり、6月下旬に試験場所を下見し、徐々に準備を進めていきました。本当は8月上旬に試験予定でしたが、台風(5号)の影響で8月末に延期になったんです」

試験場所を整備するにあたり、鳥取県ではどんなことをしたのかを聞くと......

「月面のくぼ地に見立てた穴を掘る必要があるということで、その手続きや調整から協力させていただきました。鳥取砂丘は国立公園内にあり、国の天然記念物にも指定されています。穴を掘るにも自然公園法に基づいた許認可などが必要なんです」

穴の大きさは、半径2メートル、深さ1メートル。試験初日にショベルカーを使って掘ったそうだ。試験中は半日雨が降ったが、そのほかは晴れて無事に通信試験は終了した。

今回、残念だったことが一つあるという諸遊さん。それは、雨天のため中止になった市民イベント「HAKUTOフィールド試験見学&月面観測会」だ。

鳥取県は、ネオンや街灯など人工の光が少なく、天体観測にはもってこいの場所。県内全市町村から天の川が見えて、流れ星も見やすいことから、「星取県」としてもPRしている。

「イベントのことは残念でしたが、鳥取砂丘での試験を経て、日本のハクトチームがレースで活躍してくれることを願っています」

鳥取砂丘(Cheng-en Chengさん撮影、Flickerより)