【ニューヨーク=上塚真由】北朝鮮による6回目の核実験を受け、国連安全保障理事会は11日午後(日本時間12日午前)、北朝鮮への原油や石油精製品の輸出に上限を設定した米国主導の制裁強化決議案を採決する。

 米国が6日に提示した当初の決議案で盛り込んでいた石油の全面禁輸措置や渡航禁止、資産凍結の対象に金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を指定することは中露の反対で見送られ、米国が譲歩した形となった。

 安保理制裁決議案で、北朝鮮への原油や石油精製品の輸出規制に踏み込むのは初めて。ただ産経新聞が入手した決議案によると、年間の原油輸出は上限を設定しているものの、過去12カ月の輸出量を超過してはならないとする現状維持。米国が目指した「最強の措置」(ヘイリー国連大使)とはならず、制裁強化を訴える日米と、慎重な立場の中露との温度差が浮き彫りとなった。

 米国作成の決議案によると、年間の原油輸出に上限を設定したほか、北朝鮮への石油精製品の供給や輸出は年間計200万バレルに制限し、加盟国に対して毎月報告することを求めた。このほか、北朝鮮への天然ガス液などの供給を禁じた。

 また、当初案では、渡航禁止などの制裁対象の個人に金正恩氏や妹の金与正(キム・ヨジョン)氏ら5人を指定していたが、最終案では朴永植(パク・ヨンシク)人民武力相1人に絞られた。7団体も国営の高麗航空などが外れ、朝鮮労働党中央軍事委員会など3団体に減った。

 貨物船の公海での臨検について「あらゆる必要な措置」を許可していたが、最終案では、「禁輸品目を搭載していると信じる合理的な根拠」があった場合とし、内容が弱まった。

 このほか、主要な輸出産品である繊維製品を禁輸としたほか、北朝鮮が海外に派遣する労働者に就労許可を与えないよう加盟国に求めた。例外規定はあるが、北朝鮮の外貨獲得手段の締め付けを強化する措置として効果が期待される。

 安保理の対北制裁決議案交渉は近年、1〜2カ月以上を費やしてきたが、ヘイリー氏は4日、1週間後の11日に採決すると宣言した。米国は6日、石油の全面禁輸を柱とした強力な決議案を各国に配布し、中露と水面下での調整がぎりぎりまで続けられ、10日夜になって当初案を修正した最終案を各国に配布した。

 核実験の実施から約1週間後の採決は異例。米国は内容を譲歩するかわりに、迅速な採決を優先させた形だ。安保理関係筋によると、採決までにさらに一部修正が加えられる可能性もあるという。