塚本幼稚園幼児教育学園・旧公式ホームページより

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 本日、森友学園元理事長の籠池泰典氏と妻・諄子氏が大阪府と市から補助金を騙し取ったなどとして詐欺と詐欺未遂の罪で追起訴された。しかし、一方できょうは、森友学園問題の"核心"に迫るスクープが飛び出した。

 なんと国側が、森友学園との土地取引にかんして「値引き」をおこなうためのストーリーを提示していたことを示す音声データをFNNが独占入手、公表したのだ。

 その音声データは、FNNによると「去年3月下旬」におこなわれた国側と森友側の打ち合わせ時に録音されたものだという。出席者は、近畿財務局の池田靖・国有財産統括官(当時)と「国側の職員」と見られる人物に、籠池夫妻と森友学園の代理人弁護士、そして「工事関係者」と見られる人物の計6名だ。

 そして、今回公開された音声のなかで、「国側の職員」と見られる人物は、こう話している。

「3メートルまで掘っていますと。そのあとで、土壌改良というのをやって、その下からごみが出てきたというふうに理解してるんですね。その下にあるごみっていうのは、国が知らなかった事実なんで、そこはきっちりやる必要があるでしょうという、そういうストーリーはイメージしてるんです」

 ごみの撤去費用が8億1900万円と算出された理由について、国はこれまで地中9.9メートルのところまでごみがあることを確認できるとしたためと説明してきた。しかし、2016年4月8日の時点で設計業者が弁護士に対し「約3メートル以深には廃棄物がないことを証明している」とメールで送っていたことが発覚するなど、値引きの根拠に疑惑の目が向けられてきた。

 だが、今回明らかになった音声を聞くかぎり、国側が3メートルより下からごみが出てきてそれを国が対処するという「ストーリー」を描き、森友サイドと共有していた、ということになる。これは国側が土地の値引きを前提に話を進めていたことの、揺るがぬ証拠だ。

 しかも、この「国側の職員」の発言につづいて、「工事関係者」は、「そういうふうに認識を統一した方がいいのであれば、我々は合わさせていただきますけれども、でも、その(3メートルより)下から出てきたかどうかっていうのは、わたしのほうから、あるいは工事した側のほうから、確定した情報として伝えていない」と発言。すると、近畿財務局の池田国有財産統括官は、こう述べるのだ。

「資料を調整するなかで、どういう整理をするのがいいのかということで、ご協議、協議させていただけるなら、そういう方向でお話し合いをさせていただければありがたいです」

 地中3メートルより下からごみが出てくるという前提で「お話し合いをさせていただければありがたい」──。土地の不当な値引きを国が主導し、口裏を合わせていた。これはそういうことではないか。

 事実、今回の音声データを裏付ける証拠は、すでに出ている。8月3日放送の『報道ステーション』(テレビ朝日)では、同年3月30日に籠池夫妻と森友学園の弁護士、設計会社、施工会社の4社で打ち合わせをおこなった際のメモをスクープ。このメモでは、すでに近畿財務局が国有地を森友学園がなるべく安い価格で手に入れられるようにと動いていたことが記されていた。

〈できる限り低い金額で買い取りたい→航空局も同意〉
〈航空局・財務局→彼らのストーリー
調査ではわからなかった内容で瑕疵を見つけていくことで価値を下げていきたい〉
〈9mの深さまで何か出てくるという報告を(するよう)、財務局から学園サイドに言われている〉

 また、国側はこのやりとりのすぐあととなる同年4月1日、森友側に2014年におこなわれた地盤調査の記録の提出を求め、その際に〈廃棄物層、軟弱地盤関係等を評価に反映させ、価格提示を行いたい〉とメールで説明。大阪航空局も7日に「(地盤資料が)少しでも早くほしい」と迫り、設計業者に対して「プラスになる資料と考えています」と発言したという(毎日新聞8月24日付)。いかにして土地の売却価格を安くするか、国側は積極的に動いてきたのだ。そして、大阪航空局は4月14日に「新たなごみの撤去費用」を8億1900万円と算出している。

 ここであらためて思い出したいのが、やはりFNNが先月にスクープした、2016年5月下旬のものとされる音声データだ。

 この音声では、安倍昭恵夫人の秘書だった谷査恵子氏が財務省にかけ合った末、同年4月に財務省が森友側に支払った1回目のゴミ撤去などにかかった費用1億3176万円と土地売却価格をめぐって、こんなやりとりが籠池理事長と池田国有財産統括官のあいだで交わされていた。

 まず、池田国有財産統括官は「私ども以前から申し上げているのは、『有益費』の1億3000万円という数字を国費として払っているので、その分の金額ぐらいは少なくとも売り払い価格は出てくると、そこは何とかご理解いただきたい」と提示。対する籠池理事長は「1億3000万円がうんぬんというよりも、ぐーんと下げていかなあかんよ」と詰め寄るが、その後、池田国有財産統括官はこう返答している。

「理事長がおっしゃる0円に近い金額まで、私はできるだけ努力する作業を、いま、やっています。だけど1億3000万円を下回る金額にはなりません」

 土地価格は国がすでに森友学園に支払っている1億3176万円を下回ることはできないが、0円にできるだけ近づけるよう努力している──。実際、このやりとりの後に不動産鑑定士は土地評価額を9億5600万円と算出。ごみ撤去費用を値引きし、土地売却価格は1億3400万円となった。池田国有財産統括官が明言した通りになっているのだ。

 いや、それだけではない。今回のFNNのスクープでは、音声データだけではなく、工事関係者が「8億円値引きするということは最初から決まっていた」と証言。さらには"近畿財務局で40年以上国有地の売却などに携わっていた"という元職員も、「ほんとうにまずい処理だったというのは、複数のやっぱり(現役)職員から声が出てますね」と述べているのだ。

 国側が不正な土地取引をおこなっていたことは、もうこれではっきりとしただろう。すでに7月にNHKが報じたように、近畿財務局は今回発覚した音声データの前後と思われる同年3月24日に、森友側の弁護士との協議のなかで〈いくらまでなら支払えるのか購入できる金額の上限を尋ね、学園の弁護士は当時の財務状況を基におよそ1億6000万円と答えた〉ことがわかっている。国側は森友学園に異常ともいえる配慮を繰り返し見せ、値引きのためのシナリオを実行に移したのだ。

 他方、麻生太郎財務相は「適正な手続き、価格で処理された」と何度も言い切ってきたが、これはやはり真っ赤な嘘だったわけだ。さらに見過ごせないのは、佐川宣寿・財務省前理財局長(現・国税庁長官)の答弁だろう。佐川前理財局長は、3月15日の衆院財務金融委員会でこう答弁している。

「大阪航空局に埋設物の撤去・処分費用を依頼いたしまして、それを見積もって、それを前提にして、私どもは不動産鑑定にかけてございます。それを受けましたのが5月の末でございますが、いずれにしても、そういう価格につきまして、こちらから提示したこともございませんし、先方(森友学園側)からいくらで買いたいといった希望があったこともございません」

 複数の音声データをはじめとする新証拠が発覚したいま、この答弁を振り返ると、よくもいけしゃあしゃあと口からでまかせを言ったものだとあらためて呆れはてる。だが、問題はここからだろう。今月末には臨時国会の召集がおこなわれる予定だからだ。

 いくら北朝鮮問題で掻き消そうとしても、森友・加計問題はまったくの別問題。音声データによってあきらかになった土地の不当な値引きに国が積極的に関与していたことや、佐川前理財局長の嘘答弁など、あらゆる疑惑を追及しなければなるまい。臨時国会での徹底追及の再開が待たれる。
(編集部)