ワンダー、グランド、スポーツ… “あの頃”の「シビック」を振り返る

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まだちょっと2017年を総括するのは早いかもしれないですが、今年の自動車ニュースで大きな話題のひとつが「ホンダシビック久々の日本復活」でしょう。新開発のプラットフォームに、新開発の1.5Lダウンサイジングエンジンを搭載。ボディはセダンとハッチバックが用意されます。

またここ数年の'80年代&'90年代ブームにより、過去のシビックにも注目が集まっています。専門店で話を聞くと、当時の若者だった40代後半〜50代の人はもちろん、20代の人がシビックフェリオをスポコンっぽくして乗ったりもしているとか。

そこで、ビンテージの粋に達した初代から5代目までのシビックを振り返ってみることにしましょう。

 

■初代(1972年〜) 世界の大衆車を目指し開発

「狭い道でも扱いやすい」「狭い場所でも車庫入れが楽にできる」など、都市部で気軽に乗れるベーシックカーとして開発された初代シビック。1972年7月のデビューモデル(写真上)を見るとオーソドックスな3ドアハッチに見えますが、トランクが独立している2ドアになります。3ドアハッチバック(写真下)は2カ月遅れとなる1992年9月に登場します。

世界戦略車としてさまざまな機能が盛り込まれたシビック。最大の功績は1970年代のオイルショックと排ガス規制をCVCC方式のエンジンで乗りきったことでしょう。

CVCCは触媒などの後処理ではなく希薄燃焼で排ガスの有害物質を減らす仕組みです。世界一厳しく、クリアするのは不可能とまでいわれたアメリカのマスキー法を世界で最初にクリア。これによりシビックは世界中でヒット。89カ国で196万台も販売されました。ちなみに初代シビックは日本で初めてリアワイパーを装着したクルマでもあります。

 

■2代目(1979年〜) 国際競争力を高めるために広さを追求

初代の成功もあり、2代目シビックはいわゆる“キープコンセプト”のスタイルで登場します。一方でインテリアは、次世代の国際車となるべく、これまで以上に質感が高められました。特に話題となったのは大型のスピードメーターとタコメーターを同軸状に配置し、少ない視線移動で計器類を見ることができた「集中ターゲットメーター」です。

またインパネを助手席前で大きく湾曲させたり、リアシートに3段階のリクライニング機構を備えるなどして広さ感を演出。運転席シートには腰周辺のつぼを押さえる疲れにくいパッドが採用されました。

 

■3代目(1983年〜) 3ドアにはスポーツグレードも用意

昭和40代生まれにとって、リアルに憧れたシビックといえば、このワンダーシビックではないでしょうか。このモデルではホンダ店で発売されたシビック以外にも、ベルノ店から発売されたバラードという兄弟車もありました。ボディタイプは3ドアハッチバックのほか、4ドアセダン、5ドアのシャトルをラインナップ。3ドア、4ドア、5ドアがそれぞれ別のプラットフォームを使って設計されるという贅沢なモデルです。排気量は1.3Lと1.5Lがありました。

ホンダの「M・M思想(Man-Maximum.Mecha-Minimum.)=人間のためのスペースを最大限に。メカニズム・スペースを最小限に」という考えから生まれた3代目シビック。中でも3ドアは斬新なロングルーフによるロングキャビンが特徴で、全長はわずか3810mmながら、広大な室内空間を得ています。大型の曲面ガラスを採用しリアコンビランプのすぐ上からガラス面がガバッと開くクリスタルゲートも人気でした。

1984年には、最高出力135ps、最大トルク15.5kg-mを発生する1.6L DOHCエンジンを搭載するSiを追加。このエンジンには世界初となる「異形中空カムシャフト」などが採用され、大幅な軽量化を実現。スポーティさが高められています。

 

■4代目(1987年〜) VTEC搭載のSi-Rが登場

全長を150mm、全幅を50mm拡大し、「グランドシビック」と呼ばれた4代目シビック。4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションでコーナリング性能を高め、レスポンス性に優れたエンジン(1.3L、1.5L、1.5Lデュアルキャブ仕様、1.6L、1.6L DOHC)を採用するなど、スポーツ性能が大幅にアップ。エクステリアには大型エアロバンパー、ドアミラー、三次元テールゲートなど、空力性能を高めたものが採用されています。ボディタイプはワンダーシビック同様、3ドアハッチバック、4ドアセダン、5ドアのシャトルが用意されました。

主力は1.5Lでしたが、走りを求める若者からじは1.6Lを積むSiが支持されます。そして1989年9月のマイナーチェンジでは、ボディ剛性が向上するとともにリッター100馬力(160ps)に到達した1.6L DOHC VTECエンジンを搭載するSi-RとSi-R兇追加されます。

1980年代後半から'90年代はグランドシビックをチューンして峠や環状線を走る若者が激増。当時の仕様のクルマは現在でも中古車サイトで見かけます。

 

■5代目(1991年) カップルがとことん楽しむクルマに変貌

スポーツシビックと呼ばれた5代目は、5ドアのシャトルが廃止され、3ドアと4ドアの展開に。4ドアはシビックフェリオという名前になりました。1993年にはアメリカで販売されていたクーペが日本でも発売されます。

このモデルではスポーツ性と低燃費の両立が図られ、エンジンは3タイプのVTECが用意されます。Si-Rに搭載されたDOHC VTECは最高出力170馬力を7800回転で発生。リッターあたり106馬力を超える出力を発揮しながら13.4km/L(10モード)という当時としては低燃費を実現。サスペンションはスポーティな4輪ダブルウィッシュボーンに。

3ドアハッチバックのリアゲートは上下2段にで開閉するツインゲートを採用。大きなゲートをすべて開けなくても荷物の出し入れができるように。これまでシビックは3ドアでも室内の広さを重視し大人4人がゆったり乗れることをコンセプトにしてきましたが、スポーツシビックはクルマは2人のもの。後席も前に座る2人のためにあるという「ワンルーム&ツインゲート」という発想で開発されています。さらに若者の体形に合わせてタイヤハウス位置などを設計するなど、“カップルのためのクルマ”を前面に押し出しています。

 

■歴代シビックに今乗るなら?

中古車情報のカーセンサーnetを見ると、初代と2代目の中古車はほとんど流通していません。ワンダーシビックも流通量は全国で5台ほど。手に入れるならグランドシビックかスポーツシビックが現実的と言えるでしょう。ちなみにグランドシビックの価格帯は30万〜180万円、スポーツシビックは50万〜120万となっていました。

ただ、どちらも流通しているのはかなり走り込んだSi-Rが中心。さらに何かあったときにパーツが手に入るかどうかわからないため、シビックに詳しい専門店を見つけて相談するようにしたいところです。

 

(文/高橋 満<ブリッジマン>)