桐生祥秀(写真:日刊スポーツ/アフロ)

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9日、福井県営陸上競技場で行われた日本学生陸上競技対校選手権に出場した桐生祥秀は、100m決勝で9.98秒の日本新記録を樹立。日本人選手として初めて、100m・10秒の壁を破る偉業を成し遂げた。

すると10日放送、TBS「S1」では、「独占 桐生祥秀(21)歓喜と涙・・・ボルトとの絆」と題し、同局が追いかけてきた桐生の1595日の様子を伝えた。

東洋大の法学部に通う桐生は、試合のため国内外を飛び回っている一方、遠征先のホテルでは、大学のレポートに追われ、「しゃーないっすね。授業出れないので」と苦笑い。その他にも、番組のカメラには、ハードなトレーニングで倒れこんだ桐生が、「普通に辛いです。こんな時、本田翼がいればなあ、TBSさん。会いたいです」などとおどける様子も収められていた。

だが、桐生は、高校3年生の時(2013年)に記録した10.01秒以降、周囲から9秒台への期待がかかるようになり、ここから約4年間もの間、プレッシャーと戦い続けることになる。

2014年2月に行われたインタビューで番組スタッフから「(9秒台を期待する声が)うざいと思ったことは?」と訊かれた際には、「結構気になったっていうのはあります。早く(9秒台を)出さないといけないとか。言ってなかったんですけど、どっかで思ってる部分があった」などと本音を漏らしている。

また、2016年の日本選手権で3位に終ると、試合後の会見で「悔しいですね」と答えた瞬間、涙が止まらなくなり号泣。翌年の同選手権も4位に終わり、9秒台への期待は他の選手にも寄せられた。

今年7月、「桐生は勝負弱いんじゃないかという報道を目にする」という番組スタッフに対し、「大きい大会に勝ってないっていうのは、それもありますし、そうやって直していかないといけないですし」と切り出した桐生。同スタッフが「山あり、谷あり」と表現すると、「そんなに嫌いじゃない。一回沈んでも起き上がればいい。この4年間、嫌だったとも思わないし、嫌なことも良いこともあった」と前向きに語っている。

そんな試合当日の朝には、「何も考えずに今日は普通に楽しんで走りたい」と話していた桐生。この言葉の陰には、2013年11月に会い、「自分のために走るんだ、国のためじゃない。そして楽しむんだ」と声をかけられていたウサイン・ボルトの言葉があったという。

快挙を達成した夜、取材に応じた桐生は「(自己最高を更新したのも)4年ぶりですね、なんか。ありましたね、色々」としみじみ。その上で、今後の目標については「世界大会でファイナル残って勝負するっていうのが、陸上始めてからの目標なんで。9秒台が目標じゃなかったんで、これから先も変わらぬ目標でいきたい」と意気込んだ。