巧みなポジショニングから先制点を生み出したモラタ。しかし、その直後に自軍ファンから送られたのは……。 (C) Getty Images

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 現地時間9月9日、プレミアリーグ第5節でレスターと対戦したチェルシーは、2-1と勝利し、敵地で勝点3を手にした。
 
 この試合で輝きを放ったのは、今夏の移籍市場でレアル・マドリーからチェルシーへ移籍したスペイン代表FWのアルバロ・モラタだ。スコアレスで迎えた41分に右サイドを攻め上がったセサル・アスピリクエタからのアーリークロスをヘディングで叩き込んで、先制点を決めた。
 
 この他にも幾多のチャンスを創出し、フル出場を果たしたモラタへは敵地へと駆けつけたチェルシー・ファンも惜しみないチャントを送ってその活躍を称えたが、そのなかの一部の声援がイングランド国内で問題視されている。
 
 英国メディア『BBC』によれば、チェルシー・ファンの問題のチャントは、モラタが鮮やかヘディング弾を決めた直後に合唱されたという。テンションの上がった彼らは、「モラタ、ああモラタ、彼はR・マドリーから来た。そして、彼はクソッタレの“Yids”が大嫌いだ」と歌い上げたのだ。
 
 Yidsとは、ユダヤ人に対する差別的な単語だ。ただ、一方で同じロンドンのトッテナムのファンたちは、ユダヤ人が多く住む地区にクラブを置くことから、ユダヤ人も非ユダヤ人も自らをYidsと呼称し、むしろ誇らしげに利用している。
 
 チェルシー・ファンからすれば、そんなライバルクラブを皮肉るつもりで、歌ったのだろう。しかし、一般的にみれば、このチャントは差別と捉えられる。チェルシーのスティーブ・アトキンス広報は、「クラブも選手たちも、ファンのサポートに感謝している」と前置きし、次のように苦言を呈している。
 
「あの歌詞については受け入れることはできない。我々はモラタとも話したが、いずれの差別的な歌と関わりたくないと話していた。クラブも選手もサポーターにそのような影響のある歌を歌うのは止めてくれと求めたい」
 
 思わぬ形で渦中の人となってしまったモラタも、試合後に自身のツイッターを更新し、「ここに到着したその日から毎日サポートを感じている。誰もがみんなをリスペクトすることを願う」と具体的な内容は出さなかったものの、問題のチャントについて不満を示している。
 
 皮肉的なチャントによる応援が伝統的にファンに染みついているイングランド。その大半がユーモラスなものだが、このような差別的な言葉を用いるのは、あまりにお粗末。チームの勝利に水を差す出来事だと言わざるをえない。