ライター&コラムニストharakoが、実際に既婚女性100人にインタビューをし、結婚までのプロセスや心境の変化をお伝えする連載です。第6回目は、二度目の国際結婚を経て、幸せを掴んだSさんのお話です。

初めての海外旅行で、英語に目覚める。

【実録 結婚プロセス100人インタビュー 】vol. 6

大学時代、友達と初めてハワイ旅行へ行った時のこと。私は英語を多少学んでいたから、「なんとかなるだろう」なんて思っていたんですよね。でも、思いのほかスムーズに話せなくて、友達に頼りっきり状態……。日本人女性が人気で、たくさんの男性に声をかけられましたが、もっとコミュニケーションが取れたら、楽しいんだろうなーなんて、モヤモヤを残したまま日本に帰国したのを覚えています。

その後、悔しい気持ちから、もっと英語を習得したい!と目覚めた私は、英会話学校に週2で1年間通い、映画は英語で観るようにしたり、洋楽を聴いたり。あとは、英語カフェやブリティッシュバーなど外国人が集まる場所に積極的に顔を出して、つながりを持つようにして行ったんですよね。それが功を奏して、2年後にはだいぶ話せるようになった気がします(この語学を真剣に学ぶ期間がなかったら、外国人パートナーと深い関係になるのは難しかったと感じますね……)。

そんなある日、たまたまバーにいた時に、友達と一緒に来ていたアイルランド人の男性と意気投合。アイルランド人独特の、アグレッシブで情熱的なところや、愛情表現が豊かなところに惹かれて同棲し、結婚までたどり着きます。

気性の激しさと、ケンカ三昧の毎日に終止符。

……しかし、はじめのうちは誠実に働いていた彼ですが、だんだん働かなくなってしまったり、お酒を飲みだすと止まらなかったりと、将来が不安になる言動が激しくなっていったのです。夜中、急に「息ができない! 助けて!」と騒ぐこともありました。一瞬、血管系の病気か?と思ったのですが、どうやら先生の診断は「パニック障害」。

日本の環境や文化になじめない部分が多くあり、ストレスがたまった挙げ句に引き起こしてしまったらしいんですよね。ここから本当に苦しい時期が続いたんですが、パニック障害の発作が起きないように薬を飲み始めると、平衡感覚がなくなり、思考を止めるという状態になり……。相手への配慮や気遣いができなくなってしまうことが、増えてしまいました。

そのなかでも、印象的だったのが「今夜もなぜか帰ってこないなー?」なんて心配していると、身長187センチの100キロのガッチリ体型の彼が、ボロボロに怪我をした状態で朝方に帰ってきたこと。「どうしたの?!」と聞いても、お酒に溺れて記憶もない。薬の影響か、まっすぐ歩けなくて転んだ様子だけ、何となくわかる。そんな彼の姿を幾たびか見るようになっていきました。

落ち着いている時は、良い彼なんですが、いつ薬の反動が出るかわからず、私もヒヤヒヤする毎日が続き、「楽しい恋愛」から「疲れる恋愛」に変化してしまったのです。周りの友人たちも手を焼くばかりで、ケンカが始まると水を掛け合ったり、ギャーギャー怒鳴りあうことは日常茶飯事。「もうだめだ……!」と確信した私は、子供が本当は欲しかったのですが、この人とは子供が作れないと思い、離婚を決意。情もあったけれど、将来を考えてお別れすることにしたのです。

救ってくれたのは、几帳面で奥手なアメリカ人だった。

離婚してからは、何だか気持ちもグッタリ……。しばらくの年月は、男友だちとご飯や遊びにいく軽いデートはするけど、本気のパートナーを見つけるには、腰が重たくなっていましたね。もう、あの状況には戻りたくないって気持ちが、本音だったかもしれません。そんなある日、私の友人がたまたま連れてきた、控えめなアメリカ人男性と出会います。すっごく明るくてクレイジーな友だちだったので、連れてくる友だちも、きっとそんな感じかな?と思っていたら、全くの正反対で初めは驚きましたよ。

複数で一緒にいても、無口で静かで……。正直「何この人、全然つまんない!」って感じるほど、私には少し物足りなかったんです(笑)。でも、地元のコミュニティは小さいし、近所のバーで会ったりしていくうちにメッセージのやりとりをするようになりました。恋愛にちょっとエスな私は、いつも向こうから熱烈に求められることが多くて、待ちスタイル。“あなたから来なさいよ” なんて、ちょっと女王様系だったんです(笑)。そんな私に、メッセージで盛り上がっている真っ最中なのに、アメリカ人の彼はこう言うんですよ。「ごめん、今から家事をするからまたね!」とか、週末なのに「もう、寝るね!」とか。えええええええっ!?遊びにも行かずに男が家事って……、みたいな(笑)。

何だか不思議な人だなーって、印象が強くて、興味が湧き始めてしまったんですよね。その年の私の誕生日会に、彼も来てくれたのですが、酔っ払った私をタクシーで家まで送って行ってくれたのことがきっかけで、2人の仲が一気に縮まったのを覚えています。彼の丁寧で律儀な性格に、包容力を感じて、よく話を聞いてみたら、彼は大学の研究員として働いている “超” がつく、真面目な人だったんです。だから家事もこなすし、明日のために遊ばずに早めに就寝するんだー!なんて、変に納得したっけ(笑)。

ニューヨークで子供と幸せに暮らす日々

ノリと感覚だけで生きがちな私とは正反対の彼に徐々に心を開くようになりお付き合いがスタート。この人となら、将来を考えて子供も産みたいなと思えるようになりました。そして、彼がニューヨークに移住することをきっかけに、再婚。この人についていく決意をしたんです。

よく、結婚した後に旦那さんの愚痴をこぼす女性が多いけれど、私はむしろ逆。彼に頼りっきりで尊敬の念は増すばかり。前の旦那と比べても、本当に几帳面で何事もまずは計画してからスタートしないと気が済まないところがあり、「この人についていけば、間違い無いよね!」なんて大船に乗った感覚ですよ(笑)。楽しさも大事だけど、将来を考えるなら計画性って大事だなと実感しています。

今は、ニューヨーク近郊で旦那の念願のマイホームを購入し、子供二人と暮らしています。旦那は仕事のために、マンハッタンに通勤する日々ですが、子どもにおやつを用意してくれたり、寝かしつけをしてくれたり。私が夜遅くなった時はキッチンがキレイに片付けてあるし、もう最高 忙しくても、家庭をとっても大事にしてくれるんですよ。あの時、無理してアイルランド人の旦那と居続けていたら、今の幸せはなかったですよね。

無理してまで、結婚生活を続ける必要ってないと思うんです。自分の気持ちを大切に、本当に心から信頼できる人と子供を作ることが大切だなーと感じています。これからも、良い国際結婚生活を続けたいと思います love you!

お話を聞いて……。

恋は盲目、恋に溺れる、なんて言葉がありますけど、結婚には冷静な目を持つことが大切と思わされたお話でした。彼のマイナス面に目をそむけてプラスの部分を見ようとする姿勢もアリですが、あまりにもマイナスが目立つようならば、それと向き合い、改善できないようなら別の道を歩むことも賢い選択といえそうです。

そして文字通り、愛に国境はない、ことも再認識できました。世の中には実にさまざまな人間がいるものです。自分が日本人だから相手は日本人と決めつけず、グローバルな目を持てば、運命の人と出会う可能性がより高くなるのかもしれません。好きになった人が、たまたま外国人だった。そんな視点を持つのも悪くないですよね。だって、地球上の男は……35億! ですもの。

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