レアル・マドリーのテオ・エルナンデス(左)とマルセロ(右)【写真:Getty Images】

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テオ&マルセロ、彼らにはスペースがなかった

 3日、ラ・リーガ第3節の試合が行われ、レアル・マドリーはレバンテを相手に1-1で引き分けた。代表ウィーク後かつCL直前の試合ということもあり、メンバーを入れ替えてこの一戦に臨んだ“エル・ブランコ”。戦術分析記事で人気を博すスペイン・マルカ紙のエンリケ・オルテゴ氏は、ジダン監督率いるチームに関して、特筆すべき試みが2つあったと指摘する。(文:エンリケ・オルテゴ【スペイン/マルカ】、翻訳・構成:江間慎一郎)

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【レアル・マドリー 1-1 レバンテ】

 3日のリーガエスパニョーラ第3節、本拠地サンティアゴ・ベルナベウでのレバンテ戦で、レアル・マドリーがすべてのポジションに変更を加えることは知れ渡っていた。イスコ、カゼミーロ、セバジョス、ベイル……と、それぞれの代表チームの試合と長旅によって、より消耗している選手たちに休みを与えることは。

 ジネディーヌ・ジダンの今回の試みにおいて、特に二つのことが目を引いた。テオ・エルナンデス-マルセロ、もしくはマルセロ-テオ・エルナンデスという左サイドのタンデム、またマルコス・ジョレンテ-クロースのセントラルミッドフィルダーのコンビとその配置である。ジョレンテ-クロースは1-4-4-2の範疇において、ピッチ中央ではっきりと縦の関係にあった。

 ダブル・サイドバックはバルセロナと対戦したスペイン・スーパーカップ2ndレグの最後の数分間にも目にできたが、この試みはポジティブとネガティブの両面を指し示している。出発点はテオがサイドバック、マルセロがサイドハーフ及びウィングという役割だが、この試合の序盤は頻繁にポジションを交換していた。

 両者の相互理解は、徐々に深まっていった。突っ走るためのスペースがない。それぞれの位置取りの調整がきかない。彼らが最初に与えていた印象はそういうものだった。オーバーラップしようとするテオは前方に見えるマルセロに対して機械的にパスを出してしまい、マルセロもあれだけ前にいることで走り込むためのメートルが足りず気後れしているように映った。

 だが切迫した状況で迎えた後半、マルセロが敵陣地に位置し続けたことにより、テオは攻撃に参加するためのスペースを手にする。その際のテオの執拗さ、プレーの反復ぶりは効果的なものと考慮できるが、彼の悪質なクロスがそのオーバーラップの気鋭を曇らせた。すべてのクロスが見え透いていて、シュートの可能性を生むことなくレバンテGKラウールの手に収まっている。

クロースを前に遠慮がちなジョレンテ

 さて、もう一つの意義ある試み、ジョレンテ-クロースについて。理論的には二人のセントラルミッドフィルダーだが同じ高さには位置せず、それでいて縦だけでなく横のスペースも分け合っていた。前にいるクロースは10番のレーンで高い位置からプレッシングを仕掛け、またビルドアップを図るためにチームメートにその身を差し出した。

 片やジョレンテはというと、クロースを見るやいなや彼にボールを譲っていた。それは疑いの余地などなく、最も簡単なパスの選択肢。ジョレンテはクロースの存在を前にして、遠慮がちな自分を示したのだった。

 ZZ(ジネディーヌ・ジダン)がジョレンテを下げた後、交代で入ったイスコがトップ下に位置し、クロースは唯一のセントラルミッドフィルダーとなっている。

 クリスティアーノ・ロナウドが不在、ベイルがベンチスタートとなったこの試合、アセンシオはベンゼマのそばでストライカーとしてプレーしている。利き足とは逆の右サイドへと寄っていったが、快適にプレーしているという印象はなかった。

 レバンテ指揮官ムニスが張った蜘蛛の巣に引っかかり、ゴールに背を向けてボールを受け取り、前を向くためのスペースはほぼ存在せず。後ろに下がって、ビルドアップに参加していたときの方がやりやすさを感じていた。終盤、ルーカス・バスケスの代わりにコバチッチがピッチに立つと、アセンシオはさらに右サイドへと傾いていった。

 アセンシオに加えて、負傷したベンゼマとの交代で投入されたベイルも、純粋なストライカーとしてのプレーに窮屈さを感じている。ゴールを背にしてボールを受けるのは、やはり彼のスタイルではない。スペースを突くプレーや空中戦でのみ、試合の舞台に上がっていた。

 各ラインをしっかりと狭めるなど、良質な組織戦術を有するレバンテ。輝かしい時間帯もそうでない時間帯もあるが、プレーに臨む姿勢が揺らぐことない。後半はほとんど自陣から出なかったものの、マドリーが迎えたほぼすべてのシュートチャンスで、しっかりとゴールに鍵をかけていた。

(取材・文:エンリケ・オルテゴ【マルカ/マドリード】、翻訳:江間慎一郎【マドリード】)

text by エンリケ・オルテゴ