日ロ経済協力の話よりも「北方四島ツアー」が気になる理由

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先週、ウラジオストクで開催されていた東方経済フォーラムでの安倍プーチン会談について、メディアは「『温度差』浮き彫り、『肩すかし』の訪ロ 日ロ首脳会談」(朝日新聞2017年9月8日)「領土交渉、停滞浮き彫り=経済活動合意、具​体性乏しく-日ロ首脳会談」(時事通信9月9日)など総じて冷淡に報じている。

北方領土の返還を背負ってのロシアとの交渉は、そもそも無理筋に近く、しんどいものだと思う。相手に見透かされているし、ロシアは日米同盟のあるかぎり、手放さないだろうというのが専門家の一致するところ。そのうえ「極東地域への投資の8割が中国」(前述の朝日記事)とロシア側からあてこすりを言われたようで、安倍首相の心中はともかく、日本は立つ瀬がない。

では、極東ロシアとの経済交流について、現地在住の日本人たちはどのように考えているのだろうか。実際には、ロシアへの投資はリスクが大きすぎて、いま彼らの望むようなことはできないという声が聞かれるのだ。ある関係者は、以下のようにその理由を説明してくれた。

まず、日ロの経済協力では資源(原油・ガス・石炭・鉱石)分野ではすでにお互いにメリットがあり、この方面の協力はWinWinの関係にある。しかし、ほとんどが大手に握られており、新規参入できない状況だ。

一方、他の分野では日本側からみて新しく興味を持てる対象がない。すなわち、通常の輸出入で協力できるものが見当たらない。加えて、経済協力となると、日ロ間格差が大きく、ほとんどの場合、ロシア側を「おんぶにだっこ」する状況。日本の中小企業では手に負えず、一方大手にとってソ連時代の不良債権などネガティヴな事例が多く、社内の法務・審査部門の許可が出ず、前に進めない。

さらに、ロシアのさまざまな理解しにくい国内法が妨げとなっている。

また別の関係者は率直にこう話す。

「ウラジオストクではJETROや地方自治体経由で中小企業の視察や現地企業とのマッチングが盛んに行われているが、まず実を結ばない。極端な言い方かもしれないが、日本からみると、ロシアは投資先でなく上納先。外交上、日本政府はロシアと仲良くやりたいので、そのための上納という話に映る。

ロシアの場合、プロジェクトが大きくなればなるほど国が絡んできてごっそりもっていかれるようなシステムがあり、そこをしっかり押さえるような関係性を築くには生半可なやり方ではできない。そもそも貿易も、支払いや関税、運輸の問題など、一般企業にとってコストが高くつきすぎる」。

こういう声がある以上、日本側は北方四島以外での「8項目の経済協力プラン」には及び腰になるし、北方四島の「共同経済活動」についても「海産物の増養殖/温室野菜栽培/島の特性に応じたツアー開発/風力発電の導入/ゴミ減容対策、の5分野」というようなしょぼい話にならざるを得ないのだろう。

気になるのは「島の特性に応じたツアー開発」をどう進めるか。6月にサハリンを訪ねたとき、現地発の北方四島ツアーが催行されていることを知ったからだ。

国後島へは、同じサハリン州に属するユジノサハリンスクから定期便が飛んでいて、豊富な北方の自然を生かしたエコツアーが用意されていた。

ロシア側が打ち出す北方四島ツアーのキャッチフレーズは「手付かずの大自然」や「冒険」。オフロード車に乗って択捉島の指臼岳の温泉を訪ねたり、美しい入り江にボートを浮かべて釣りをしたり。晴れた日には北海道から見えるという国後島にある北方四島の最高峰、爺々岳(標高1882m)や泊山(ロシア名:ゴロヴニン火山)のカルデラ湖周辺をトレッキングしたり。魅力的なスポットは盛りだくさんのようだ。