初日を白星で飾った日馬富士(左)だが、1人横綱の重圧は続く

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■大相撲秋場所初日(10日、両国国技館)

 日馬富士は、もろ差しを許すと厄介な栃煌山に対し、まっすぐ当たって左上手から豪快に投げつけた。初めて経験する“1人横綱”のプレッシャーをはねのけ白星発進。

 「いい相撲だった。集中してできた。いつもと同じで初日のいい緊張感を楽しめた」

 幕内勝ち星で貴乃花を抜き、史上単独7位の702勝となり、「長い間の積み重ね。これからも相撲道に頑張ります」と表情を引き締めた。

 みんなで休めば怖くない、とばかりに鶴竜、稀勢の里に続き、白鵬まで休場。3横綱が初日から休場するのは昭和に入ってから初めてという異常事態だ。

 8月5日の前売り開始では、50分で15日分すべて完売した。ほとんどの人は「鶴竜は危ないかもしれないが、後の3人は出るだろう」と思って買ったはずだ。「がっかりだね。チケットを無駄にはできないから見に来たけど、本当なら返金ものだよ」と、ファンから怒りの声も聞かれた。

 4横綱は戦前も含めて現在で16度目。全部で76場所を数えるが、4人全員が皆勤したのは11場所だけだ。峠を越え引退近い横綱がだぶつく状態が4横綱では、好ましい番付とは決していえない。

 「特に白鵬は夏巡業で稀勢の里、日馬富士が合流すると、“お役御免”とばかりにさっさと離脱。かと思えば、日本テレビの『24時間テレビ』のフィナーレにしっかり出演していた。39回も優勝していて誰も何もいえないのか、協会もなめられたものだ」と、ある親方は苦笑いした。

 4横綱が土俵入りすれば20分近くかかるが、日馬富士1人の土俵入りはは5分もかからなかった。その代わり「よくぞ出てくれた」とばかり、地味めでいつもは少ない拍手も、この日ばかりは“万雷”の拍手に変わっていた。

 日馬富士自身も両ひじなどに故障を抱え万全とはいえないが、「余計なことを考えずやるべきことを1日1日積み重ねて、一生懸命やっていく」と悲壮な決意だ。日馬富士を軸に若手が絡む、ひと味違った優勝争いを期待したい。