超高額なのにエビデンスがない治療も

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「これだけ高額な最先端の治療だから、効果があるに決まっている」──残念ながらそれは患者側の思い込みだ。現実には高額なわりに成果が望めない、「コスパの悪い」手術が多数存在している。

 がん治療の切り札のように取り上げられることも多い重粒子線や陽子線などの「粒子線治療」。治療費は超高額で、「費用は照射回数によらず1回300万円前後。全額自己負担です。注意したいのは、全国に陽子線施設は12か所、重粒子線施設は5か所しかないため、遠方から受けにいくと交通費・滞在費の負担も大きくなる」(医療経済ジャーナリストの室井一辰氏)のが特徴だ。加速器で、重粒子や陽子を光速に近い速度まで加速し、がん細胞にぶつけて破壊するという治療法である。

 一般の放射線治療ではがん細胞以外の身体の部分に放射線が当たってしまうのに対し、粒子線治療ではピンポイントでがん細胞を狙えるので、副作用が小さいとされる。重粒子線と陽子線では、基本的な仕組みは同じだが、がん細胞を破壊するパワーに違いがあり、陽子線はパワーが小さい分、照射回数が多くなる。

 ところが、2015年の8月に厚労省の先進医療会議で、日本放射線腫瘍学会から一般の手術や放射線治療との差は認められないという報告が出され、エビデンスに疑問がある状態が続いている。がん治療に詳しい岡田正彦・新潟大学名誉教授(内科医)がいう。

「医療技術が有効かどうかを調べるには、『RCT(ランダム化比較試験)』という方法が、国際的に効果を証明する方法として唯一認められています。

 これまで重粒子線については6つのRCT論文がありましたが、それらはすべてやり方(機械、セッティング、操作方法、時間、回数など)が違い、明確に延命効果を証明したものはまだありません」

※週刊ポスト2017年9月22日号