コンタクトレンズの装着、パソコンやスマホの長時間使用などの理由から疲れ目、ドライアイに悩む人が増えています。目薬をいつもバッグやポケット、あるいはデスクの引き出しに入れている読者も少なくないでしょう。

目薬は「薬」ですよ!

以前、薬をファッションの小道具のように飲む「カジュアル飲み」のリスクをご説明しましたが、目薬ほどカジュアルに使われる薬もないのではないでしょうか?疲れたら1滴、気分転換に1滴と親しまれて(?)いますが、目薬はれっきとしたお薬です。箱には第3類医薬品、あるいは第2類医薬品とあります。トリセツに沿って、正しく使わないといけません。目薬の常用は、飲み薬の常用と同じように危険をはらんでいるのです。

目薬に頼っていると、ますますドライアイに 

はじめに、ドライアイ対策としての目薬について考えてみます。

ドライアイとは涙の分泌量が減ってしまうこと。涙はつねに少量、分泌されていて、目の表面を保護する大切なバリアの役目をしています。これがコンタクトレンズの装着、エアコンによる空気の乾燥、パソコンやスマホのモニターの見すぎなどの理由で涙が出にくくなってしまうのです。ちなみにパソコンやスマホでドライアイになる理由は、モニターを見ている間、まばたきの回数が減るからです。ドライアイの症状としては、疲れ目、目がパサパサしたりゴロゴロしたりする不快感。目がかすむこともあります。

そこで少なくなった涙を補うために目薬、というわけです。しかし目が乾くからといって、目薬をさしつづけているとどうなると思いますか?涙がもっと出にくくなってしまうおそれがあるのです。

もともと涙は必要に応じて分泌されるものです。目の乾燥具合に応じて脳が「涙が足りない」と判断し、「涙を分泌しなさい」と指令します。しかし、目が乾くたびに目薬が注入されるとしたらどうでしょうか。涙を出さなくても涙のような成分が入ってくるので、脳は「涙は出す必要はない」と判断してしまいます。

つまり目薬によってドライアイを補いつづけることで、涙がますます出にくく、ますますドライアイになってしまうのです。

 目薬のさしすぎで保湿成分が流れる

1時間おきにキチンキチンと目薬をさしている人がいますが、これはさしすぎです。目の表面は涙によって運ばれて来た脂質やムチン、タンパク質などの保湿成分が覆っています。これが目薬によって流されてしまいます。すると目の表面の保湿力が落ち、ますますドライアイになりやすくなります。つまり、

目が乾く→目薬をさす→涙が出にくくなる→目が乾きやすくなる→さらに目薬をさす→目の保湿力が低下→さらに目が乾く

という悪循環が生じるのです。

目薬の種類によりますが、1日5〜6回が適当な点眼数でしょう。

また、1回の点眼でポタポタと何滴もさす人をよく見かけますが、これもさしすぎです。基本的に目薬は1回1滴で十分です(すべての目薬がそうというわけではありません。特に病院で処方された目薬は回数、容量とも病院の指示に従ってください)。目の中にとどめておける容量は0.02〜0.03mlです。そして一般的な目薬の1滴量は0.05ml。1滴差せば、目の中はもう一杯ですね。

もうひとつ注意。点眼した後、目をパチパチしばたたかせてはいけません。これをすると目薬の成分が目頭にある涙点に流れてしまい、目全体に行き渡りません。点眼したら、まぶたを軽く押さえてじっとしていましょう。そうすれば1滴で十分、目に行き渡りますよ。

このように目薬をポタポタさすのも、さした後にパチパチまばたきするのもNG。ふだんパソコン仕事が多くて目薬が手放せないという方、その使い方をちょっと見直してみてください。目薬が手放せないということは、目薬をさしつづけてもドライアイは改善していない、ということでもあります。手軽に使える薬ほど手放せなくなるものです。

疲れ目、ドライアイ対策としては目薬よりも1時間に1回、目を休ませることのほうが大事です。温めたタオルでアイマスクしたり、マッサージしたり。そのほうがずっと目にやさしいです。疲れ目もドライアイも、文字通り目から「疲れたわ〜」というサインなのですから、目薬をさして「さぁ、もっとがんばろう」じゃなくて、休ませることがいちばんです。

次回は充血止めの目薬のリスクについてご説明します。デートの前に「充血目が恥ずかしい」と目薬を愛用している読者もいるかもしれませんが、ちょっと注意してほしいのです。

現代病ともいえるドライアイ。スマホ使用中はまばたきが減るため、ドライアイになりやすい。



■賢人のまとめ
ドライアイ対策に目薬を頻繁にさす人が増えていますが、目薬の使い過ぎはドライアイをかえって悪化させます。必要以上にさすことで、目が本来持っている保湿成分が流れてしまい、ますますドライアイになるおそれもあります。目薬の「カジュアルさし」には注意してください。ドライアイ対策の基本は何より目を休ませること。たとえばパソコン仕事は1時間に1回は休みを入れること。目のマッサージ、温熱アイマスクも効果的です。

■プロフィール

薬の賢人 宇多川久美子

薬剤師、栄養学博士。(一社)国際感食協会理事長。明治薬科大学を卒業後、薬剤師として総合病院に勤務。46歳のときデューク更家の弟子に入り、ウォーキングをマスター。今は、オリジナルの「ハッピーウォーク」の主宰、栄養学と運動生理学の知識を取り入れた五感で食べる「感食」、オリジナルエクササイズ「ベジタサイズ」などを通じて薬に頼らない生き方を提案中。「食を断つことが最大の治療」と考え、ファスティング断食合宿も定期開催。著書に『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)など。