栃煌山(左)を上手投げで下した日馬富士

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 大相撲秋場所初日(10日、東京・両国国技館)、横綱日馬富士(33=伊勢ヶ浜)が小結栃煌山(30=春日野)を上手投げで退けて白星発進した。今場所は昭和以降で初めて3横綱が休場する異常事態。日馬富士は一人横綱の責任を一身に背負う一方で、古傷の左ヒジの不安もつきまとう。大相撲史上初の「4横綱全滅危機」と隣り合わせの中、果たして15日間を全うできるのか?

 一人横綱の日馬富士が白星スタートを切った。この日の勝利は幕内通算702勝目。「平成の大横綱」の貴乃花を抜いて単独7位に浮上した。取組後は「今日の一番に集中できた。(史上7位の記録は)17年間相撲を取って、その積み重ねなのでうれしい。またこれからも積み重ねて、相撲道を頑張ります」と素直に喜んだ。

 この日は白鵬(32=宮城野)、稀勢の里(31=田子ノ浦)、鶴竜(32=井筒)が休場。初日から3横綱が休場するのは昭和以降では初めての異常事態だ。初日恒例の協会あいさつでは、八角理事長(54=元横綱北勝海)が「横綱白鵬、稀勢の里、鶴竜の休場は誠に遺憾」と言及。国技館に詰め掛けたファンからは「横綱が3人いないのは残念」といった失望の声も少なからず聞かれた。

 その分、初優勝を目指す大関高安(27=田子ノ浦)をはじめ、次世代の力士たちの活躍が期待されるが…。その場合でも、場所の盛り上がりという点では、若い世代が横綱を倒す「下克上」の要素は欠かせない。八角理事長は「強い横綱がいて、それを倒す若手がいれば盛り上がる。その意味で、日馬富士の負担は大きい。(優勝争いを)引っ張っていってほしい」と一人横綱の奮闘に期待した。

 その日馬富士も体調は万全の状態とは程遠く、満身創痍だ。7月の名古屋場所終了後に古傷の左ヒジを手術することを真剣に検討したが、メスを入れると完治するまでに1年かかることから断念した経緯がある。

 この日の朝稽古では立ち合いの確認の際に、再三にわたって左ヒジを気にするしぐさを見せた。初日こそ無難に乗り切ったものの、いつ患部の炎症が悪化してもおかしくはない。唯一出場している横綱も、まさに“綱渡り”の状況。2日目以降も常に休場の可能性と隣り合わせの状態が続く。

 大相撲の長い歴史の中で、4横綱が揃って全滅となれば、史上初の「超」がつく緊急事態。果たして15日間を全うできるのか。日馬富士は一人横綱として、あまりにも大きな責任を背負うことになった。