東京都内を走る山手線。東京駅や品川駅、新宿駅や渋谷駅などを通る、日本でも有数の利用者を誇る路線です。

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休日ともなれば、車内は常に満員。平日でも、朝夕のラッシュ時はすし詰め状態です。

そんな山手線を日常的に利用している『ある女性』。

ある平日朝のラッシュ時、電車に乗っていると、ちょっと不似合いな男性がいることに気付きます。

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電車に乗っているのは会社に向かうサラリーマンばかり。しかし、この男性はラッパーのような服装で、会社勤めをする人には見えません。

そして、何よりも、そのイカつい体型。190cm近い身長に、100kgはあろうかという大柄な男性は、とても目立つ存在でした。

周囲の人も、このイカつい男性に遠慮しているのでしょうか。満員電車でありながら、この男性の近くだけ少し隙間があるような気さえします。

ヘタに近づいてトラブルにでもなったら大変だろうな。

女性がそんなことを、ぼんやりと考えていると電車は次の駅に到着。満員状態だった車内に、さらに多くの乗客が乗り込んできます。

次に電車が動き出した時、女性の左横にはイカつい男性。その前には20代のサラリーマンが立っており、さらにその前には50代ぐらいの女性が立っていました。

右手につり革を持つ20代サラリーマンは、立ち位置が悪いのか、不快そうに身体を動かしています。

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それでも、自身のポジションが気に入らないのでしょう。

20代サラリーマンは、右ヒジで前にいる50代女性の背中をぐりぐりと押し始めたのです。

「何よ!」

「押さないでよ!!」

50代女性の声が車内に響きます。

しかし、20代サラリーマンも気が強いのか、一歩も引きません。

「混んでるんだから仕方ないだろ!」

強い口調でいい返します。

確かに、車内は身体を動かすのも困難なほど混雑していました。

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しかし、女性の目には20代サラリーマンが、わざとヒジで50代女性を押しているように見えたといいます。

「近くでもめごとが起こるのはイヤだな」と思いながら、2人の小競り合いを見ていた女性。何より気がかりだったのは「イカつい男性が参戦したら大変なことになりそう」ということでした。

すると、女性の悪い予感が的中してしまったのでしょうか。イカつい男性が、突然、20代サラリーマンの右手をつかみます。

そして…。

「お母さん(50代女性)が痛がってるから」

「ヒジはこっちに向けたら、どう?」

「それなら当たらないよ」

さとすような口調で、優しく語りかけたイカつい男性。

20代男性も、自分よりもイカつい男性にこういわれ、「すみません」と、素直に迷惑行為を止めました。

一部始終を見ていた女性はこう語ります。

「オラァ!何やってんだよ!」って怒鳴りそうなタイプに見えたので、少し意外でした。

イカつい男性、20代サラリーマン、50代女性…3人の中で、一番冷静で、一番優しいのがあの大柄な人だったというのは驚きです。

当たり前ですけど、人は見かけによりませんね。

満員電車に乗っていると、少しでも自分のスペースを確保したいと思うものです。

だからといって、誰かが自分のためだけにスペースを確保しようとすると、押し出された誰かがとても不快な想いをしてしまうでしょう。

満員電車という過酷な状況下だからこそ、周囲の人を気遣う姿勢を見せた、イカつい男性から学ぶべきところは多いように思えます。

[文・構成/grape編集部]