有名人に故郷の自慢話をたっぷり語ってもらう連載「タレント観光協会」。

第5回の語り手は、福井県おおい町出身で、お笑いコンビ・ウーマンラッシュアワーの村本大輔さん(36)。

地元おおい町の観光PR大使を務める村本さんに、ふるさとへの思いを熱く語ってもらいました。

福井名物は寿司とカレー?

-早速ですが、福井でよく行く所や好きな場所を教えてください。

村本:福井は大きく分けて、嶺北(れいほく)と嶺南(れいなん)の2つに分かれているんですよ。

たまにテレビで嶺北のものを紹介されても嶺南の人は分からないんです。嶺北の人は嶺南をバカにし、嶺南は嶺北をバカにし。そこは敵対関係です(笑)

ぼくの地元のおおい町は嶺南です。嶺南には、オバマ大統領が選ばれたときに一緒に応援した小浜(おばま)市があるんですが、そこの「すし良し」というお寿司屋さんによく行きます。

帰省する時は、いつも新幹線で米原駅(滋賀県)に行って、そこから敦賀駅まで特急しらさぎに乗って行くんですね。で、母親に迎えに来てもらって、車でそのまま「すし良し」に行ってご飯を食べるのがいつものコースです。すごくおいしいんです。個室もあって、店内の雰囲気もきれいでいいですよ。

-福井県産のサバはやっぱり高い?

村本:いや、そんなこともないですよ!魚のお寿司とか、東京と値段がぜんぜん違います。こんなに食べてこんなに安いの!みたいな感じはありますね。

あとは敦賀の「ヨーロッパ軒」というトンカツ屋さんにもよく行きます。ソースカツ丼が有名で、東京で食べられない感じのカツの揚げ方で、めちゃくちゃおいしいですよ。

ヨーロッパ軒って実はカレーも美味しいんです。本当に、これぞ欧風カレーって感じで衝撃を受けました。(東京でカレー店が集まる)神保町のカレーに負けないくらいです。

福井のソーツカツ丼(イメージ画像) 出典元:福井観光素材写真集

福井にこぼれて来て

―北陸新幹線が金沢まで開業して2年半が経ちました。

村本:北陸新幹線が福井県まで開通するのは、だいぶ先になるんですけど、実はもう通らなくてもいいって言う話があって。

人が集まらないからこそ、それ目当てに来る人がいっぱいいて逆にいいという考えもあるんですって。地元の人には通らなくて大丈夫っていう人もいます。

一方で、小浜市にある勢浜(せいはま)という港町は、今まで密漁者が来ても民宿に泊まるのを黙認していたらしいんです。密漁禁止だとお客さんが減るから。

この前、いよいよ密漁は通報していくことにしますってニュースになっていました。本当に来るお客さんだけで勝負しますって。そういうところは、どんどんきれいな街になっていいなと思います。

-地元のニュースを普段からチェックされているんですね。

村本:やはりレアですからね、福井のニュースが転がってくるのはレアですから。

この前はインドでベスト3に入るラッパーが、実は福井の人だって大ニュースになっていたんです。だけど、記事をちゃんと読んだら「お母さんが」福井出身らしいと。

お母さんがたまたま福井の生まれで、本人はインド生まれインド育ち。あんまり関係ないじゃんって思いました(笑)

-都会に出て驚いたことはありますか。

村本:やっぱり自動改札機ですかね。地元の若狭本郷駅というのが無人駅みたいなところなんです。夜になると駅員さんがいなかったりする所やった。

大阪や東京に出た時に、自動改札でみんながICカードを「ピッ」とやっている。最初はどういう基準か分からなくて、きっと心のやましい人間かきれいな人間かってバレるのかなと思って。くぐるのがいつも一大イベントで、閉まるのが怖かったですね。

あと、電車のダイヤの多さ。福井は1時間に1本ですよ。1回遅れたら、1回家に帰って寝れるんです(笑)

だから「3分に1本はなんと素晴らしいんだ!」と感動しました。後ろの電車に追いつかれたりしないのかな、どっちかが気ぃ抜いたら追いつかれるかもなって思っていました。

おおい町のJR若狭本郷駅 出典元:福井観光素材写真集

【福井県と自動改札機】2017年9月現在、自動改札機が設置されたことがない都道府県は、徳島と福井の2県のみ。福井県内にはJR西日本が2018年夏に設置を予定している。

ユダヤ人と福井県の意外な関係

―意外と知られていないおすすめスポットはありますか?

村本:かつて敦賀は海外と貿易できる日本の入口だった時があって、さっきのヨーロッパ軒もですけど、ヨーロッパ系のお店が多かったりするんです。

時間があったら、ヨーロッパ軒の近くにあるユダヤ人の資料館に寄ってほしいです。

―ユダヤ人……?

村本:あのね、これはぜひ広めてもらいたい。「敦賀ムゼウム」というところです。

実は、杉原千畝が助けたユダヤ人が最初にたどり着いた先が敦賀港だったんですって。

みすぼらしい格好をしていたから敦賀の人たちは銭湯を無料で開放したり、八百屋さんが果物を持っていたりしたんだそうです。

ほかにも、ボロボロの腕時計を時計屋さんに持っていったら、高い値段で買い取ってお金を渡したそうで。資料館には、まだその腕時計が残っているんです。もっと広まっていい話だと思います。

「ユダヤ人クッキー」とかちょっと謎のお土産もあるんですけど(笑)、外国と敦賀の歴史を細かーく教えてくれます。敦賀と世界史がちょっとリンクしているっていうね。

―初めて知りました。

村本:敦賀って、すごく温かい街なんです。米原、敦賀、ヨーロッパ軒食べて、資料館に行って。楽しいルートだと思います。

歴史資料館「敦賀ムゼウム」 出典元:福井観光素材写真集

村本:ちなみにね、資料館のおじちゃんが、杉原千畝は来る日も来る日も3000人のユダヤ人にビザを発給して、腱鞘炎になったと説明してくれたんです。

その話を聞いていたぼくの母さん、展示協力金を払おうと思ったら財布がバッグの奥にあったらしくて、「私の代わりに100円払っておいて」とぼくに言ったんです。杉原千畝は3000人のビザを書いたのに、母さんはバッグから財布出すのすら面倒くさがりましたからね。

帰りの車で、お母さんは財布から100円出すのも面倒くさがったなぁって言ったら、「あんた、ホンマにイヤな子やなぁ」って。すごく真顔で言って、口を聞いてくれなくなりましたね。

自治体はもう一つの親であって

―9月17日(日)に地元で若者向けの討論会「そろそろ焦らんの?」に出席されます。

村本:このポスターね、もう俺こんなこと言ってないのに(笑)

討論会の告知ポスター 画像提供:おおい町

―そうなんですか…吹き出しなのでてっきり。

村本:怒る人なら怒っていますよ!口も開いていないし、もう!(笑)

―討論会では、どんなことを話す予定ですか。

村本:「郷土愛とは?」ということをしゃべりたいです。今、なにかと愛国心とか郷土愛とかを持て、生まれ故郷に愛を持てとか言われたりしていますけど、ぼくは大反対です。

この前、親父にいつかアメリカに行ってお笑いやりたいって言ったんです。

今はご飯を食べられるくらい稼げてるけど、1回貧乏に戻るかもって言ったら、お前の人生なんだから好きなことをしてこいと言われて。そしたら、この親のためにまた頑張って戻ってきたいと、より家族愛が深まった気がしたんです。

これが「地元に愛はないのか」「長男だから家を継げぇ!」ってなったら嫌いになりますよ。郷土愛っていうのは本当に自分から発するものの状態にしてほしいなと。押し付けられて郷土愛は生まれてこないと思っています。その点で、田舎は人を育てるのが下手なのかなって思います。

この前「朝まで生テレビ」に出たんです。田原総一朗さんとしゃべりましたが、すべて討論会に向けての練習ですから。朝生が練習で、こっちの討論会が本番です(笑)

おおい町の入り江に架かる「青戸の大橋」 出典元:福井観光素材写真集

―現在は全国で「地方創生」が叫ばれています。

村本:無理やり人を呼ぼう、残そうとしていますよね。田舎に住んでよって畑をタダで貸してあげるとかやりたがるだけど、そうじゃないと思います。本当に好きやったら、好きなとこ行ってこいよと。

ぼくね、国とか市とか町とかって自分のもう一つの親であってほしくて。

ある程度大人になったら好きなところに行かせてくれて、それで技術を学んで帰ってきたいと思った人が、地元でやるべきだと思うんですよね。

例えば、一度東京に出た若者が地元で独自のカフェを開くような。

「かわいい子には旅をさせよ」で、本当に発展したかったら学ばせて育てて、外でノウハウを身に付けて、帰ってきたら発展させる。そういう人がいちばん熱があると思います。

▶後編につづく
地元の観光大使だけど「PRするもの何もない」ウーマン村本の街おこし論【後編】

【村本大輔】1980年11月、福井県大飯郡おおい町(旧大飯町)出身。お笑いコンビ・ウーマンラッシュアワーのボケ担当。2013年に「第43回NHK上方漫才コンテスト」「THE MANZAI 2013」で優勝しブレイク。2016年には相方の中川パラダイスとともに、おおい町観光PR大使に就任した。著書に「村本大輔論 妬み恨みを強みに変える、ネガポジ365日」(小学館、2015年)。公式Twitterは「@WRHMURAMOTO」。

【福井県】人口約77万8000人(全国43位)、面積約4190平方キロメートル(同34位)。全国学力テスト正答率、小学生体力テスト、幸福度ランキングなどで全国1位。

【タレント観光協会】過去のインタビュー

第1回:馬場ふみか(新潟県)-「新潟で育って良かった」日本酒片手に地元愛を語る

第2回:はなわ(佐賀県)-「14年前は佐賀に迷惑かけた」自虐少なめで語る地元愛

第3回:スザンヌ(熊本県)-熊本地震で「ガッツがある県民性と分かった」

第4回:シソンヌじろう(青森県)-「津軽弁、絶対に話すもんかと」地元愛とコンプレックス