いかにも機械的なナレーションが流れる動画で、路上に立つマネキンは浮かない表情でお辞儀をする。まるで心にポッカリと穴が開いたような、虚ろな目をして。

Plastic Girls from Nils Clauss on Vimeo.

単調なナレーションは、銭湯やガソリンスタンド、飲食店などで頭を下げるマネキンの思いを伝える。

「色っぽい服を着てお客さんたちと話すから、私は店の売上をのばすことができているの」

「お客さんに挨拶するために毎日お辞儀をする。『お辞儀をしないならここでは働くな』と、上司からは毎日言われるわ。だからできるだけ頭を低くするように努力しているの」

「お店に食べにくる人たちは私のことを好いてくれているみたい。短いスカートを履いているからでしょうね。だから挨拶の時はなるべく深くお辞儀をするようにしているの。その方が私の長い脚が見えるから」

住むことで感じた「違和感」

この動画『Plastic Girls』は、2005年から韓国に住むドイツ人映像ディレクターが制作したもの。彼自身が感じてきた西洋にはない男女間の格差や違和感を詰め込むことで、世界に男女平等を考える機会を提供したかったらしい。

そういえば数年前、韓国に住む友人とこんなやりとりがあった。

彼女が街中でタバコを吸っていたところ、1人の男性が通りかかり、「女のくせになんでタバコなんか吸っているんだ」と吐き捨てたそう。

「その人は知り合いだったの?」と私が聞くと、「全然知らない人だったよ」と彼女。話を聞いて憤慨する私の横でなぜか笑っていたけれど、少し無理しているように見えた。 

今でも私は、その時の顔が忘れられない。

Licensed material used with permission by Nils Clauss,CONTENTED