日馬富士(右)は栃煌山を上手投げで下す=林敏行撮影

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(10日、大相撲秋場所初日)

 「一人横綱」として場所に臨むのは、昇進後の5年間で初めての経験だ。日馬富士は支度部屋に帰ってきて、風呂上がり、「フー」と長い深呼吸をした。「毎場所のように初日はいい緊張感があり、楽しみとドキドキがある」。役目を果たし、ちょっとホッとしたようだった。

 栃煌山との結びの一番、動きに硬さはなかった。立ち合いのあと一瞬体が浮いたが、右四つで左上手を深くつかみ、差し手でも起こすようにしつこく攻める。右に意識を向けさせたところで、体を左に開いた。上手投げ。くるりと相手を土俵に転がした。幕内で702勝目。元横綱貴乃花(現親方)を抜いて、歴代で単独7位になる節目の白星にもなった。

 横綱になってから30場所目になる。昇進後の9場所は白鵬と結びの役目を分け合い、その後、鶴竜、稀勢の里が昇進してから更に回数が減った。だが、3人が休場した今場所は全て1人で務め上げることになる。「やるべきことをやるだけです」。自分に言い聞かせるように、前日の土俵祭後と同じ言葉をこの日の朝も繰り返していた。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「これでいい流れになってくれればいいね。序盤が大事だ」と言った。日馬富士は横綱昇進後、5日目まで全勝で乗り切ったのは5場所しかない。3大関のうち2人が黒星スタートのこの場所、この横綱にかかる期待は大きく、責任は重い。(菅沼遼)