錦戸亮、『ウチの夫は仕事ができない』で迫られた選択 家庭と仕事どちらが大事か?

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 仕事と家庭、その二つを両立させるのは難しいことだ。“仕事ができる”ようになった司は、「どちらを優先すべきか」という考えにも至らないほどに、多忙を極める。二期連続の社長賞、次期リーダー候補。絵に描いたような出世街道をひた走る司であったが、その代償に妻の沙也加(松岡茉優)と彼女のお腹に宿る子供、家族の幸せを見失ってしまう。仕事のために生きている人、人生のために仕事をする人。『ウチの夫は仕事ができない』(日本テレビ系)第9話は、「家庭と仕事どちらが大事か」司の生き方が問われる物語だった。

(参考:松岡茉優が語る、夫婦の温かさ 『ウチの夫は仕事ができない』インタビュー

 「何が楽しくて仕事してるんだろうね」と司が、社報課の宝田(小林隆)につぶやくシーンがある。宝田は、社内報を任され「仕事より大事なものがある」と定時にきっかり会社を出る人間。自分の気付かぬ間に、“嫌なやつ”になっていた司は、人生のために仕事をする人を蔑むようになっていた。沙也加に夕飯を遅くなるからと断り、毎日のお弁当も拒む司。人は余裕がなくなると、自分を優先してしまう生き物だ。正直で、優しくて、真っ直ぐな司は、自分のために仕事に生きる“嫌なやつ”となった結果、「しばらくひとりになりたいです」と置き手紙を残し、沙也加は家を出て行く。

 毎朝、司のお弁当を作り、疲れて帰って来る彼に夕飯を、そして今日の出来事を聞いてあげるのが、日課であり、沙也加なりの司と一緒に頑張っていることを実感できる活力だった。笑うことも少なくなり、家でパソコンと向き合う司は、ある日キッチンの引き出しにある沙也加が日々付けている“お弁当日記”を見つける。それは、どんな時も彼女が司を思い、毎日を過ごしてきた証拠。可愛らしく、愛の込もった沙也加の日記に、司は涙を流しながら彼女の思いを受け止め自分を取り戻す。社長賞を断り、リーダーも辞退し、彼が選んだのは世界で一番大事な家族だった。

 結果、司は大きな出世のチャンスを逃した。しかし、それを蹴ってまでも再び手に入れたかったのが沙也加。仕事のために生きている人から、自分が蔑んでいた人生のために仕事をする人を選んだ。これまで、物語の中で何度も描かれてきた司の相手を思いやる心も、同時に彼は思い出すことが出来た。

 仕事に生きるか、家族に生きるか。両立出来ることが一番の幸せであるが、どちらを選択するかは各々が決めることだ。けれど、仕事にも家族にも共通しているのは、相手を思いやる心の温かさ。司、沙也加がそれに改めて気づいたことに、第9話のポイントはあった。

(渡辺彰浩)