米国デビュー戦で井上尚の左ボディが挑戦者をギブアップに追い込んだ(写真・山口裕朗)

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WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチが9日、米国ロサンゼルス・カーソンのスタブハブ・センターで行われ、王者の井上尚弥(24、大橋ジム)が同級7位のアントニオ・ニエベス(30、米国)を6回終了後のTKOで下して6度目の防衛に成功した。5ラウンドに左ボディでダウンを奪い、その後も、メッタ打ちにしたため、防戦一方となった挑戦者は、6回終了後に棄権の意志を示してレフェリーがTKOを宣言した。王座返り咲きを目指す前WBC同級王者のローマン・ゴンザレス(ニカラグア)ら、スーパーフライ級のトップボクサーが集まった「スーパーフライ」と銘打たれた本場米国での大イベントでインパクトを残すデビュー戦を飾った。井上の戦績は14戦無敗の12KO。

 本場米国ファンの前で日本の「モンスター」がついにベールを脱いだ。17勝1敗2分の戦績を持つ無名のニエベスは敵ではなかった。セミファイナルに登場した井上は、1ラウンドから左ジャブで攻め、強烈なワンツーをたたきこんで圧倒。左ボディにつなげるコンビネーションでニエベスはガードを固め防戦一方となった。打ち終わりに左フックだけを合わせてくるが、井上は慎重に左ジャブをつく。2ラウンドも井上の左ジャブが止まらない。終了間際に左のボディから右ストレートを浴びたニエベスはぐらつき、クリンチに逃げる。井上が残り10秒の合図をゴングを勘違いするアクシデントがあり、絶好のKOチャンスは逃した。

 3ラウンドも井上がプレッシャーをかけ続けた。序盤はフルマークだ。
 4ラウンドは、堅いガードを開放させるために、あえて足を使った。井上のクレバーさがわかる。 
 5ラウンドはべた足でロープまで追い込み、上下を打ち分けて、強烈な左ボディでついにダウンを奪った。ひざをついたニエベスは、立ち上がったが、井上は落ち着いてラッシュ。嫌がる左ボディを連発して、ニエベスは、もう逃げ回ることしかできない。なんとかゴングに救われたが、もう井上のワンサイドの展開。6ラウンドに接近戦からラッシュ。途中で両手を挙げ、グローブで「カモン、カモン」と挑発するポーズも。顔もボディもメッタ打ちされたニエベス陣営は、このラウンド終了後に、ついにギブアップ。トレーナーが棄権の意志をレフェリーに伝え、レフェリーがTKOを宣告した。
 

 井上は、試合前に、「アメリカのファンはいいものはいいと評価してくれる。この試合は、人生の分岐点。インパクトを残す形で勝ちたい」と、この防衛戦がいかに重要なものになるかを語っていた。間違いなくあったはずのプレッシャーを微塵も感じさせない内容で、目の肥えたファンを沸かせた。
 
「年に一度くらいのペースでアメリカで試合ができれば」というのが、井上のプランで、本格的に米国へ戦いの舞台を移すつもりはないが、この試合は、全米の巨大ネットワークの「HBO」で無料放送された。この試合を見せられば、ラスベガスのプロモーターは黙っていないのかもしれない。

 また井上のタイトル戦の前に行われた元WBC同級王者カルロス・クアドラス(28、メキシコ)と、元WBA、WBO世界フライ級王者、ファン・フランシスコ・エストラーダ(27、メキシコ)の間で争われたWBC次期挑戦者決定戦は、判定にもつれこみ、3者が114−113のスコアで、エストラーダが勝利して挑戦権を獲得した。エストラーダは10ラウンドにダウンを奪っていたが、手違いがあり、リングアナウンサーは、最初、クアドラスを勝者とアナウンスしたが、すぐに訂正され、エストラーダが勝者となった。