米GAP、旗艦ブランドをOLD NAVYに転換 低迷から脱却できず

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米ギャップ(GAP)は1974年、象徴的な広告キャンペーン「Fall into the Gap」(ギャップにはまる)」を展開し、消費者に自らを売り込んだ。それから44年、落ち込む売上高は、消費者が同ブランドに対し「Fall out (love)」(愛情が冷めた)と思っていることを示している。

ギャップもまた、その事実を認めたようだ。同社は向こう3年間で「GAP」と傘下の「バナナリパブリック」を合わせて約200店舗を閉鎖する方針を明らかにした。同時に、業績が好調な「オールドネイビー」と女性向けスポーツウェア・ブランド「アスレタ」の店舗を新たに約270店開設する計画だ。

ギャップのアート・ペック最高経営責任者(CEO)によれば、これは客足の減少に悩むショッピングモールに数多く出店している「GAP」と「バナナリパブリック」の事業規模を縮小し、「消費者が買いものをしている店」を重視する新たな戦略への転換を反映したものだ。

ギャップによれば、オールドネイビーとアスレタの向こう数年間の売上高は、店舗チェーンの拡大とインターネット通販事業によってそれぞれ100億ドル(約1兆円)、10億ドルを上回る規模に達する見通し。市場シェアも大幅に拡大できる見込みだという。

GAPの最大の問題点

ファストファッション・チェーンとオフプライス・ストアが消費者を引き付け、市場シェアを拡大するなか、GAPの売上高はここ10年ほど、落ち込み続けてきた。デザイナーらが発表する新作にインスパイアされたデザインの服を早いペースで展開し、安価で提供するファストファッション勢に対し、GAPは流行に合わないデザインの提案や精彩を欠いた品揃えを続ける状況から脱することができなかった。

ペックCEOは、GAPが流行やデザイン、品質のレベルといった点に大きな問題を抱えていることを認めている。これらが原因で、商品が消費者に受け入れられなくなっているという。そして、これは主にGAPが、ファッションに対するより大胆なアイデアを受け入れたがらない体質であることが背景にあるという。

同CEOは、「クリエイティブに関する失敗からの脱却に、長い時間がかかっている」と語る。

GAPが長年にわたり苦戦する理由として、(小売業界を専門とするジャーナリストの)筆者は、「大人向けガラニマル」問題を指摘したい(ガラニマルはセットで販売される子供服。コーディネートを考える必要がなく、子供でも簡単に上下の組み合わせを選べる)。

ベーシックなデザインばかり、トップスもボトムスもソリッドカラーで無地のアイテムばかり。さらに、ニュートラルであることを重視しすぎで、生地の柄や模様、面白さといった面を軽視しすぎている。GAPを最大の危機にさらしているのは、「安全すぎる」ファッションだ。

ただし、こうした一連の問題はさておき、GAPが小売業界に与えた文化的な影響力は否定できない。1970年代に成長した同ブランドは、ユニセックスのスタイルを提案。それは、米国のカジュアルファッションの青写真となったリーバイスが生んだスタイルに根差したものだった。

それから50年近くがたった今、ブランドの再生を目指した経営トップの交代を何度も繰り返してきたGAPは、「旗艦ブランド」の地位を傘下のオールドネイビー、そしてアスレタに引き渡すべき時がきたことに、不本意ながらも同意したものと見られる。