アーティストとしての魅力が更に増すシェネル

 ドラマ『リバース』主題歌「Destiny」の大ヒットが記憶に新しい、シェネルが今月6日に、約7年ぶりとなる全編英語詞の洋楽アルバム『メタモルフォーゼ』(原題:METAMORPHOSIS)をリリースした。デビュー10周年のアニバーサリーイヤー第一弾としてリリースされたアルバム『Destiny』(TBS系金曜ドラマ『リバース』主題歌「Destiny」収録)がロングヒットを続けるシェネル。アニバーサリーイヤー第2弾作品が今作だ。シェネルが洋楽アルバムをリリースするのは2010年発売『フィール・グッド』以来で、アーティストとしての原点回帰を果たした作品ともいえる。この7年間は彼女にとってどういった期間だったのか。そして、どのような思いを今作に込めたのか。

――7年ぶりのインターナショナル・アルバム『メタモルフォーゼ』は、その時のシェネルさんの輝かしい笑顔の理由が痛感できる会心の作品だと確信していますが、ご自身の手応えも大きいのではないでしょうか?

 そうね。なぜかというと、これは私にとって、初めて自分が表現したことが表現できて、書きたい曲が書けたアルバムだから。それから新しいサウンドを追求したアルバムでもあるわ。日本を中心に活動をしていた間はなかなかそれができなかった。だからこの2、3年間ずっと制作に取り組んできた作品がようやくこのような形に仕上がったのは凄く満足している。

――ワールドワイドなルーツを持ち、2007年に米メジャーキャピトル・レコーズより世界デビュー。2007年にインターナショナル・デビュー・アルバム『Thing Happen For A Reason』、2010年には2ndインターナショナル・アルバム『Feel Good』をリリースしてきたシェネルさんにとって、インターナショナル・アルバムで世界にチャレンジすることは必然とも思えるのですが、本作までに7年という歳月が必要だった理由、デビュー10周年という節目にして挑んだ理由をお教えいただけますか?

 なぜ7年もかかったかというと、一つには日本での活動が忙しかったから。間を開けることなくアルバムを出し続けて、それに伴うライヴ活動、プロモ活動に専念していた。と同時に、正直のところ、「いい作品が出せないんじゃないか」「人に気に入って貰える作品が自分には作れないんじゃないか」という恐怖心が私の中にずっとあったからだとも思う。でも、そこから学んだの。「じゃあ、いい作品、いい音楽って何?」って(笑)。

 恐怖心に対する考え方も変わったわ。「このアルバムがいい作品になるかどうかなんて、作ってみないとわからないじゃない」と自分に言い聞かせたの。そしてとにかくありのままの自分を出した作品を作ってみようと思った。自分にできることは、自分が心から作りたいと思った作品を作ることに最善を尽くすことだから。世に出さないまま、自分の中に溜め込んでいてはダメだと思った。アーティストとして表現をするこの才能を与えられた以上、やってみるべきだと思ったの。

――デビュー10周年という節目にアルバムが出るということについては?

 『なんて偶然!』と思ったわ。レーベルの担当者から言われるまで今年が10周年だって知らなかったの(笑)10周年だと知らされて、「なんて素敵」と思ったわ。きりのいい数字だし、このアルバムを出すのにこれ以上ないぴったいのタイミングだと思ったわ。

――アルバムの総体的な感想として、過去2作のインターナショナル・アルバムよりもそれぞれの楽曲の降り幅が大きく、非常にスケールの大きい世界の音楽を自由に取り込んだゴージャスなサウンドに耳を奪われました。これまで以上に充実した環境だったと思うのですが、過去2作のインターナショナル・アルバムや『Destiny』 と比べて、制作における印象的な違いをお教えください。

 まず自分の成長が大きかったと思うし、いろいろな音楽から影響を受けて、その中で自分がどういう音楽と相性がいいかということもわかってきた。時間の経過とともに、経験も積む訳で、一人の人間として成長する中でいろいろな物語が自分の中で蓄積されていった。その全てが今作の曲作りやサウンドに反映している。

 特にこの数年間に影響を受けてきた音楽がサウンドにつながっている。聞いたときに私が心から「これだ」と思えるものかにこだわった。トラックを聴いたとき「これは今の私に何か訴えてきているのか」「私が伝えたいことを表しているのか」「私の伝えたいメッセージ、身も心も表しているのか」って。

――プロデューサーには、シェネルさんではお馴染みのMario “Silver Age” Parraに加えて、あのブルーノ・マーズから日本や韓国のアーティストまで手掛けるThe Stereotypes や、自身もミュージシャンとして活躍するKortney “Mali Music” Pollardなど、世界的なビッグ・ネームも名を連ねています。この布陣からも、シェネルさんの意気込みが伝わってきますが、彼らとの制作は刺激的でしたか?

 凄く楽しかったわ。例えばThe Stereotypesとは、スタジオが正に相乗効果と言える雰囲気だった。(彼らがプロデュースをした)3曲とも、The Stereotypesがビートを作る横で私とCJがメロディーと歌詞を同時進行で書いていったの。絵に描いたような共同作業よ。お互い意見を交わしながら、彼らも喜んで耳を傾けてくれた。最高の化学反応だったから、The Stereotypesには「また一緒にやりたい」と伝えたわ。

――アルバムは、神秘的なイントロから広大なスケールへ広がっていくM-1「Home」より幕を開けます。ただ、音を重ねて厚みを作るのではく、綿密に構築された上品なトラックに、情感あふれる歌声が印象的な1曲です。そうしたサウンド・アプローチは、「Home」に限らず本作の大きな特徴だと感じたのですが、シェネルさんが求めたサウンドはどのようなものだったのでしょうか?

 みんなこれまで「心の痛み」や「性的関係」について歌うシェネルを知らなかったと思うの。このアルバムを私自身が聴くと、「心の痛み」や「性的関係」についてのアルバムだと思っている。「心の痛み」は「失恋」や「傷心」や「裏切り」だったりする。楽しげな曲は「性的」なものが多いわ。皮肉や遊び心もたくさんある。それは私自身の性格を反映している。友達からもよく「また下ネタを言って」と言われるわ(笑)でも、これまではみんな私のそういう面をあまり知らなかった。

 今作では、そういう面も楽しい形で表現したかったの。このアルバムの歌詞や音楽を聴くと、これまでみんなに見せるのが怖かった部分を今回さらけ出している。言ってしまえば、人間なんてみんな似てるものなのよ。私はアーティストとして、みんなが口に出すのは恥ずかしい、或いは怖いと思っていることを声にすることが使命だと思っている。そうすることで、私が歌う話や表現が聞いた人たちにとって少しでも生きるヒントになればいいと思っている。

 楽しくて、セクシーなアルバムだと思うけど、暗い部分もある。でもそれは決して悪いことではないと思っている。私たちが生きていく中で、苦しみや辛さは避けて通れないものだから。それをどこかに隠そうとしても、それが私たちの一部であることにはかわりはないの。だからいいのよ。

――「Home」の歌詞では、これまでの環境から、より自らが望む世界へ向けて一歩踏み出した場所を、“ここが 私の居場所”だと歌っています。このアルバムをそのまま表している歌詞だと思うのですが、10年のキャリアを経て、ようやくここまでたどり着けたという思いはありますか?

 そうよ。だからこの曲をアルバムの1曲目にしたの。音楽的にもだけど、メッセージもぴったりだった。「みんな、これはシェネルが自分らしくいられる自分の居場所を見つけて、ありのままの自分をみんなと共有して、みんなにも楽しんでもらいたいという思いを込めた作品です」とアルバムを紹介しているの。その通りだと思っている。これは私にとってのホームよ。音楽的にもそうだし、私の人生、これまで歩んできた道のり、ようやく自分の居場所にたどり着いた。それを凄く実感しているわ。

――M-2「Liquor Story」では、失恋の悲しみからお酒に溺れていく女性の姿を描いています。こうした世界観の楽曲も、これまでのシェネルさんにはあまり見られなかったと思うのですが、本作ではよりリアルな表現にもトライできたという思いはありますか?

 そうね。まず言っておきたいのは、私は決してアル中ではないわ。でも、普通にお酒は飲むし、過去に無駄だとわかっていても悲しみをお酒で忘れようとしたことがあるかといえば、当然あるわ(笑)そういう経験がある人は多いと思うの。辛いことをその日ばかりは忘れたくて憂さ晴らしにお酒を飲むのは普通によくあるでしょ。特に日本は夜10時を過ぎるとみんな仕事の憂さ晴らしに飲む人が多いじゃない? 日本に限らず、仕事でもなんでも辛いことがあったときにお酒を飲んで忘れるというのは世界中の人が共感できること。だからこの曲に関しては、まず歌詞の観点がこれまでのものと違って面白いと思ったの。自分でも思い当たるし、共感できるし、そして多くの人も経験したことのある。それだけじゃなくて、曲調も凄くキャッチー思わず踊りたくなる、嫌なことを忘れてクラブで踊れる曲だと思うわ。これって質問の答えになっているかしら(笑)

――いえいえ(笑)今作を通じてこれまでのおとぎ話のようなラヴソングからよりリアルなことを歌詞で表現していると思いますか。

 そうね。ただ言っておきたいのは、実体験をそのまま書いたわけではなくて、経験が歌詞を書く上でのヒントになったということ。

――M-3「Love You Like Me feat. Konshens」では、タイトル通りレゲエ界注目のニュースターKONSHENSがフィーチャリングに参加しています。彼が参加した経緯や、コラボにこの楽曲を選んだ理由をお教えください。

 まず、彼のシングル「Bruk Off Yuh Back」が大好きだったの。そしたらEmpireというディストリビューション会社のGhazi Shamiに彼を紹介してもらう機会があったの。Anderson Paakの大ファンで、彼のパフォーマンスを見にEmpireのパーティーに行ったときで、そこでGhaziにKonshensを紹介してもらったの。Anderson Paak目当てで行ったんだけど、彼のライヴを楽しんだだけでなく、KONSHENSのライヴも見れて、紹介もしてもらうことができた最高の夜だったわ。そこで彼とは意気投合して、「もし良かったら私の歌に参加してくれない?」と聞いたら「いいよ」と言ってくれたの。「イェーイ!」と思ったわ。その結果がこの曲よ。彼ならではの味をこの曲に持ち込んでくれたと思う。

――もともとフィーチャリングを入れたいと思っていた曲だったのですか。

 そうね。フィーチャリングを入れたほつが面白いんじゃないかと思っていた曲だったわ。

――M-5「Space and Time」のように、シンプルなサウンド・レイヤーの中で印象的な音色の中で、一緒に歌いやすいコーラスを歌う楽曲は、近年の世界的なトレンドのひとつです。以前のインタビューで、日本ではまだ「今現在に世界で騒がれているサウンドを使って音楽を作るといったことが起きていない」と仰っていましたが、そうしたアプローチを日本のリスナーにも提示したいという思いはありましたか?

 世界で注目されているサウンドを提示したいというのが狙いだったとは思わないわ。世界的に見ても、いろんなサウンドが混在していると思うし。そんな中、自分はたまたま最新のサウンドが入ってくる状況にいる、というだけで。だから、「Space and Time」を「今風のサウンドにして日本のリスナーに提示しよう」という意図で作ったわけではなくて、ただ、人の心に残るメッセージがあって、みんなが歌いたくなるようなキャッチーなメロディーの曲を作りたい、という思いで書いた曲よ。

シェネル「メタモルフォーゼ」

――The StereotypesがプロデュースしたM-6「Afterlife」は最も実験性の高いサウンドで、ユニークでキュートなシェネルさんのボーカルも心地よく、オリジナル性の高い名曲となっています。The Stereotypes との楽曲はM-4「Lie To Me 」、M-9「Hand It Over」と計3曲あり、どの楽曲も特徴的な完成度となっていると感じましたが、ご自身の手応えはいかがでしょうか?

 自分でもどんな曲に仕上がるのか予想できなかったわ。3曲とも、アルバムの他の曲と並べても違和感のない、それぞれ違う特徴の曲にしたいと思った。まず「Love You Like Me」のようなアイランド(島っぽい?)ダンスホールっぽい雰囲気の曲が欲しくて「Lie To Me」を作った。

 あと、フェスっぽい雰囲気のポップな曲が作りたくて「Afterlife」ができた。サマソニのようなフェスで歌うのにぴったりな曲が欲しかったの。あと…、楽器を豊富に取り入れた曲を作りたかった。ギターがベースが入って、ファンキーなバンド・サウンドが欲しくて「Hand It Over」を作った。私がそれぞれの曲に思い描いていたイメージがそのまま形になったと思う。凄く満足しているわ。

――M-7「Shadow」は日本のリスナーも馴染み深い、スケール感のあるバラードになっています。個人的に、日本語詞でも聴いてみたいと思ったのですが。

 本当に?!(笑)

――英語と日本語で歌うことの違いや、心がけているのはどのような点にあるのでしょうか?

 違いは、まずそもそも違う言語だというところ。だから言葉の発音も違うし、発声法も違ってくる。それが一番大きな違いね。歌う時に感情を込めるて歌に込められた思いを伝えるという点においては、違いはないと思うわ。どの言語で歌おうと、同じように感情を込めて歌う。だから大きな違いは言葉の発音と発声法ね。

――M-8「Scared Of Heights」のように、スモーキーなサウンドでロマンティックな歌詞を歌うアプローチも、シェネルさんの楽曲の中では珍しいと感じました。こうしたチャレンジは、これから日本で発表していく楽曲や作品でも行ってもらえるのでしょうか?

 私自身はそうしたいと思っているわ。もちろん、ファンのみんなが何を求めているかにもよるでしょうけど。個人的にはそうしたいわ。今作の方向性を凄く気に入っているし、今後さらにこの路線で成長して、多くの曲を作っていきたいと思っている。果たしてリスナーがこれを気に入ってくれてるかどうか知るには、彼らの感想を聞いてみないとわからないけど、私としてはこういうサウンドの曲をもっとやっていきたい。だから日本での作品にも今後取り入れることができたら嬉しいわ。

――M-10「Kiss」のように情熱的な楽曲は、グローバルなルーツや活動経験を持つシェネルさんが歌うことで、より説得力が増すと感じています。こうしたサウンドの楽曲は、母語である英語の方がより明確に表現できるものだと思いますか?

 アルバム『Destiny』をリリースしたあと思ったのは…、あのアルバムに入っている曲の多くはもともと英語の歌詞で書かれたものに日本語の歌詞をつけて歌ったものだった。それまでのラヴソングを中心としたJ-popアルバムでの曲作りと比べるとちょっとした逆転現象だった。英語の方が表現し易いかどうかはわからないわ。単純に違うというだけで、どっちの方が表現し易い、し難いということではないと思う。

――M-11「F.U.N.」では、Kortney “Mali Music” Pollardを迎えています。ミュージシャンとしても活躍する彼との制作で、違いを感じた点をお教えください。

 彼はある日スタジオに遊びに来てくれて、ジャムってくれたの。楽器パートで参加してくれたわ。彼はゴスペル界から出て来た凄く才能あるミュージシャンよ。私の夫、義理の姉も彼のことを良く知っている、昔からの付き合いよ。だから、凄くリラックスした雰囲気だったわ。友達が遊びに来てくれ、一緒にジャムったら曲が出来た、という感じ。仕事やビジネスという感じが一切しなかった。

――M-12「Remember My Name feat. MIYAVI」には、世界でも活躍する数少ない日本のミュージシャンのひとり、MIYAVIが参加。アルバム『Destiny 』に収録されていた日本語詞バージョンと較べて、終盤のギターソロのみならず様々な角度からギターで楽曲に新たな彩りを加えています。

 本当にそう思う?

――実際、ギターのレコーディングにも時間をかけたそうで、本作を締めくくるに相応しい大曲ですが、彼は今回の起用に応えてくれたと感じていますか?

 彼は彼らしさ、彼の世界感をこの曲に持ち込んでくれたわ。私も最初に聞いたときは驚いたわ。というのも、私が考えるギターと言ったら、日本盤に収録されたバージョンのギターだから。MIYAVIは彼自身、自分の音楽性が確立されたアーティストであって、彼独自のサウンドがある。もちろんこの曲でそれを彼に発揮して貰いつつ、彼の世界と私の世界をいいバランスで共存させたいと思った。

 もともとの曲の世界感を損なわない形でね。結果的にそれが出来たと思っている。魔法のような、素晴らしい、新境地を切り開いら曲になったと思う。彼が参加してくれて本当に感謝している。どんな仕上がりになるか予想できなかったけど、完成した曲を聞いて、彼に参加して貰って本当に良かったと思っている。本当に夢のような曲よ。

――「Remember My Name feat. MIYAVI」は本作を締めくくるに相応しい大曲であり、シェネルさんの歌の凄味を存分に堪能させてくれる名バラードです。本作ではシンガーとしてのご自身の魅力を表現し切れたと思いますか?

 ええ。そう確信しているわ。私の性格、表現、視点…、私らしさが存分に出ていると思う。自然と出てくる私ならではの色々な違う歌い方も聞いてもらえると思う。曲調も曲によってムードや雰囲気が違う。本当に色々な自分を表現できたと思っている(笑)みんなが食べきれないくらいたくさんの料理を用意した、そんな気持ちよ(笑)。

――そしてボーナストラックとして、アルバム『Destiny』に収録されていた「Miracle」「Love Sick」「Heartburn」「Outta Love」「Like A Love Song」の英語詞バージョン5曲も収録。日本のファンにとっても、より楽しみやすい作品となっています。シェネルさんはアルバム『Destiny』を“ハイブリッド”と称していましたが、本作『メタモルフォーゼ』はどのような作品になったと思いますか?

 「『メタモルフォーゼ』は、表情豊かなアルバムだと思っている。私が個人的に、精神的に、感情的に、物理的に経験して来たこと全てが融合した作品だと思う。タイトルがそれを象徴しているわ。何年もの間でたくさん成長することができた。そして今、そんなありのままの私の音楽を世界にこの作品と通して分かち合おうとしている。それと、様々な文化が詰まった作品でもあると思っている。色々な国を訪れ、様々な人や場所と出会って来た、その全てがこのアルバムから聞いて取れるんじゃないかしら。そしてこれからもこの道をさらに追求していきたいと思っているわ。次に革新的なものを見つけるまで。

――前の取材では、最近は「自分が作りたいと思う音楽を追求して、リスクを冒したり自分の主張を通すことが、前よりも怖がらずにできるようになった」と仰っていましたが、それは本作で実現できたと思いますか?

 そうね。前よりも自信が持てるようになったからって、恐怖心や恐れがなくなったわけじゃない。そんなの無理な話よ。どうしたって、何かに対する恐怖心は自分の中に抱え続けるものだと思うわ。今作で何が違ったかというと、その恐怖から逃げるのではなく、向き合ったということ。その恐怖と向き合った結果生まれたののがこのアルバムよ。心から満足しているわ。

――“メタモルフォーゼ”は変化や変身を表する言葉で、シェネルさんが新たなキャリアをスタートさせたことを思わせる作品になっていると思います。以前のインタビューでは、「自分の意志としては新しいものを出して、日本のリスナーにもインパクトを与えていきたい」と仰っていましたが、10周年という節目を越えた今後は、日本ではどのような活動を行っていこうと思っていますか?

 まず今作をできるだけ多くの人に知って貰いたい。そして日本に行ってできるだけ多くの人の前でパフォーマンスをしたい。生でパフォーマンスをすることこそが自分が一番輝ける瞬間だと思うし、ステージ上こそが自分が一番心地いい場所だと思っている。自分が空を飛んでいるような気持ちになれる場所。自分の居場所だと思っている。日本に限らず、世界に関してもそう。次回作のことを考える前に、まずはできるだけ多くの人の前でパフォーマンスをしたいと思っている。

――また、今後は世界での活動や活躍も期待されます。シェネルさんがシンガーとしての豊富なスキルを持っていることは本作でも証明されているだけに、Bruno MarsやTaylor Swiftのようにポップに突き抜けていくのか、またはAdeluのように重厚で成熟した世界を築き上げていくのか。どのようなインターナショナル・アーティストを目指して行くのかをお教えください。

 正直、自分を型にはめたくないので、音楽に導かれるまま行けるところまで行きたいと思っているわ。何があろうと、自分が信じた音楽を出し続ければ、私がどんな存在になっていくかは自ずと決まってくると思う。それが成熟した歌姫なのか、ポップスターなのかはわからない。私がわかっていることは、自分の音楽を世に出して、パフォーマンスを行い、自分らしさを失わないこと。そうすることで、私のあるべき姿というのは時間とともに自然と形になっていくものだと思う。どうなるのか自分でも楽しみよ。

――10th ANNIVERSARY JAPAN TOURもありますね!どんなバンドをつれてくるのか、どんなショーになるのか、日本のファンはシェネルさんの代表的ヒット曲も当然聴きたいし、新しい曲も聴きたいし、両方のパフォーマンスを楽しみにしていると思います。意気込みお聞かせください。

 今回はバンドを連れてのパフォーマンスになるので、私自身も凄く楽しみよ。日本では初めてのバンドでのライヴだからステージ上で本当に息の合った演奏をみんなに見て貰えるのが嬉しいわ。来てくれた人にはとにかく楽しんで貰いたいし、一緒に歌って、音楽の世界に浸って貰いたい。今回のライヴの演出を夫のGが手がけていて、最高のショウになるよう、どういう構成にするか彼と相談しているところよ。『メタモルフォーゼ』の曲を中心に披露するつもりだけど、もちろんこれまでのヒット曲もやるわ。曲について深い話もいろいろできると思っている。みんな是非楽しみにしていてね!

――質問は以上です。最近はどうしてますか。

 忙しくなる前に、家族との時間を大事にしているわ。先日も家族で砂漠の方に出かけて夜星を見たの。物凄く綺麗だったわ。あとは、いろいろなテレビ番組のオーディションにも出かけたりしている。

【文=杉岡祐樹、Mr. Yuuki Sugioka】