9月1日。

 常総市内の全19の小中学校を対象に水害を想定した防災訓練が行われた。市立三妻小(同市中妻町)では、避難の手順や災害への備えについて考える時間を設けた。

 ◆住民組織の結成推進

 「一度、同じことがあったから分かるよ」。5年の男児(10)は、そういって自信をのぞかせる。ボードの上には6枚のカードが並び、台風の発生から避難までに何をするかを順番に示していた。

 男児の自宅は、鬼怒川堤防が決壊した現場の近く。一度は避難所に行ったが、父と自宅に戻った。「テレビを2階に移して避難所に行こうとしたら水が出ていて、車が通れなくなっていた」と振り返る。男児と同じ通学班の6年女児(12)は「高い場所に避難したら良いことが分かった」と教訓をかみしめる。

 常総市は水害の経験を糧に、防災に関する知識や技能を持つ「防災士」の資格の取得や地域住民で活動する「自主防災組織」の推進に力を入れる。市の調査では、防災士の資格を持つ市民や市職員は6月末時点で96人、自主防災組織は93に上る。

 ◆「安心が欠かせない」

 新たに自主防災組織を結成する動きもある。同市水海道森下町と橋本町は、東日本豪雨の際に逃げ遅れ、救助される住民が多かった反省点を踏まえて、避難マップの作成や災害時の避難所開設、運営に向けて取り組む。

 昨年12月から地域の危険箇所を確認し、専門家の意見も聞きながら作ってきた避難マップは配布の前段階まで進んだ。根新田地区で導入しているショートメッセージサービス(SMS)を使って外国人にも連絡できる体制を検討する。

 サポートするのは、認定NPO法人「茨城NPOセンター・コモンズ」(水戸市)。森下町に「JUNTOS(ジュントス)」を立ち上げ、水害被災者の支援を行っている。

 この地域では、独り暮らしの高齢者が何人も去っていったという。コモンズ代表理事の横田能洋さん(50)は「店の再開も必要だが、この街にとどまってもらうには安心が欠かせない」と話す。

 2年前の「あの日」を繰り返したくない−。そんな思いを胸に、市民らは防災と真剣に向き合っている。(海老原由紀)