台湾の行政院長(首相)に頼清徳・台南市長が起用された。頼氏は与党・民進党のホープで、「ポスト蔡英文」の有力候補。日本の民進党は再出発したはずだったにもかかわらず幹事長人事でつまずき、お先真っ暗だ。写真は台湾の台北。

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2017年9月9日、台湾の蔡英文総統が5日、辞任する林全・行政院長(首相)の後任として、頼清徳・台南市長を充てる人事を発表した。頼氏は与党・民進党のホープで、「ポスト蔡」の有力候補。日本にも同名の民進党があるが、再出発したはずだったにもかかわらず幹事長人事でつまずき、早くもお先真っ暗だ。

頼氏は内科医出身で、立法委員(国会議員)を経て、民進党(正式名称は民主進歩党)の強固な地盤である南部の台南市長を2010年から務めており、現在2期目。16年2月の台湾南部地震による高層住宅倒壊では、ほぼ不眠不休で現場を指揮し注目を集めた

蔡総統は記者会見で、次期内閣に期待する政策として(1)産業構造改革(2)インフラ建設(3)脱原発−など7項目を提示。その上で「頼新院長が国民の期待を裏切ることなく、台湾の改革を加速させると信じている」と強調した。会見に同席した頼氏も「林行政院長が果たせなかった重要な政策を私が完成させ、実績を上げたい」と応じた。

蔡政権は昨年5月の発足直後の支持率47%が政策実現のスピード感のなさなどから、大幅に低下。今年5月には28%と就任1年目として1996年以降に直接投票で選ばれた歴代総統の最低にまで落ち込んだ。不支持率は56%に上った。頼氏は来年後半に行われる統一地方選に向け、社会的に評判の悪い労働法制改正や、8月中旬の大規模停電で混迷する政権の立て直しという重責を担う。

頼氏は親日家としても知られ、4月に日本統治時代の技師・八田與一像が損壊された際は直ちに修復を命じ、内外の日本人から好評を得た。対中国政策では両岸の現状維持を掲げる蔡総統に比べ台湾独立志向が強いとされ、中国側は警戒する可能性がある。

一方、日本版の民進党では前原誠司・元外相が枝野幸男・元官房長官と争った代表戦で勝利。党の刷新感を演出し、党勢回復につなげようと若手のホープとされる山尾志桜里・元政調会長を幹事長に抜てきする人事を内定した。

しかし、党内から当選2回の山尾氏起用に異論が噴出。さらに「文春砲」が山尾氏の交際疑惑を取り上げたことから、撤回に追い込まれ、幹事長を大島敦・元総務副大臣に差し替えた。山尾氏は疑惑を否定したものの、離党届を提出して受理された。

出はなをくじかれた前原氏の求心力は代表就任直後から急落。新執行部の試金石となる10月22日の青森4区、新潟5区、愛媛3区の衆院トリプル補選を控え、人事をめぐる混乱は大きな打撃となった。細野豪志・元環境相らに続く「離党予備軍」も少なくなく、党内からは「前原さんは素晴らしいロケットスタート。解党に向けて着実に仕事してくれている」などと皮肉られるありさまだ。(編集/日向)