W杯出場を決め、決意も新たにベルリンへ帰還した原口。ここから日本代表アタッカーの巻き返しが始まる。(C)Getty Images

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 日本代表遠征に参加していた原口元気がベルリンに戻り、日曜日のブンデスリーガ3節、ヘルタ・ベルリン対ブレーメン戦に備えている。
 
 注目されていたのはその去就で、8月31日の移籍期限リミットまでに新天地が決まるのではないか、と考えられていた。ヘルタ側もミヒャエル・プレーツSDが「こちらの提示する条件が揃えばあり得る」と話すなど、移籍が現実味を帯びていたのだ。
 
 しかし、結局のところ満足のいくオファーはなく、ワールドカップ最終予選を終えた原口はチーム練習に合流した。シーズン開幕からここまで、公式戦3試合はすべて途中出場。DFBポカールのハンザ・ロストック戦が10分、リーグ開幕のシュツットガルト戦が14分、2節ボルシア・ドルトムント戦が32分という流れだ。代役として獲得したオーストラリア代表MF、マシュー・レッキーが開幕戦で2得点と出色の出来を見せていたのも、原口にとっては逆風だった。
 
 冬にクラブ側が契約延長を打診するも固辞し、プレミアリーグのクラブへの移籍を目ざした原口。だが事は思うように進まず、チームにおける立場も微妙になった。昨シーズンの終盤は右サイドのファーストチョイスから控えに降格となり、今オフも移籍先は決まらないまま。まことしやかに“飼い殺し”が囁かれるようになっていた。
 
 はたして、今後も冷遇は続くのだろうか。答は、ノーのようである。

 9月9日の取材対応で、パル・ダルダイ監督とプレーツSDが原口の処遇について質問された。両者ともに重要な戦力と捉えており、「ゲンキの力は欠かせない」と口を揃える。
 
 同じくワールドカップ予選でコートジボワール代表に帯同していたサルモン・カルーは、誰もが見ても分かるような疲労を抱えて練習している。かたや、原口は長距離移動もなんのその、ケロっとしていた。それを見てハンガリー人指揮官は、こう感じたという。
 
「昨日(金曜日)ようやく合流したんだが、目がキラキラしていたよ。(日本が)ワールドカップ出場を決めた高揚感もあるだろうが、移動の負荷などをしっかりコントロールできている。ずっとニコニコしていたよ。生意気な目つきでね。本当に面白い男だ」
 
 先発こそ明言しなかったが、原口への期待は大きい。
 
「移籍するしないでゴタゴタがあったのは確かだが、もうすべて過去のことだ。私は好きなんだよ、ゲンキと仕事をするのがね。ただ、彼自身がちゃんと次のステップを踏まなければならない。きっとそれができると信じているがね」
 
 ドイツのサッカー専門誌『Kicker』はこの「次のステップ」を、指揮官が以前から原口に強く求めている、目に見える結果だと説明した。つまりはゴール数とアシスト数の増加だ。「ゴール前での冷静さがあれば、もっと脅威になれる」と書き綴った。
 
 いずれにせよ、カルーのコンディションが整っていないのは明らかで、原口が左サイドの先発を飾る可能性はきわめて高い。
 では、移籍騒動の一部始終に関わっていたプレーツSDはどうか。もう水に流したのだろうか。
 
「ああ、終わったことだ。我々はプロフェッショナルなのであって、重要なのはヘルタ・ベルリンがこの難しいシーズンをどう乗り切るかにある。我々は実績があり、違いを生み出せる選手を必要としている。ゲンキは疑いなくそのひとりだ」
 
 そのコメントに添えて、ベルリンの地元紙『Der Tagesspiegel』は「ハラグチが大事なタレントであることにようやく気付いたのだ。彼が過去2シーズン、ヘルタにどれだけの貢献を果たしたか。7位、6位と上位で終えることができたのは、その活躍によるところが小さくない」とフォローした。
 
 敏腕SDはこう続ける。やや皮肉に聞こえなくもない。
 
「契約の話はこれで終わりだ。彼と我々の契約はあと1年残っている。それだけのことだ。これからサポーターは、ゲンキの雄姿をもっと観ることになるだろう。そして彼は、みずからの実力と能力を示すはずだ。どこかほかのクラブ、そして我々に対して、アピールする機会を得る。週に3回もだ。いろんな選択肢が生まれてくると思うよ」
 
 はたしてブレーメン戦で原口は、スタメンに返り咲くのか。トップフォームを取り戻してヘルタを躍進に導き、9か後のロシア・ワールドカップにつなげたい。