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もくじ

どんなクルマ?
ー ボア×スト変更 新エンジン搭載
ー 軽初 助手席570mmロングスライド

どんな感じ?
ー 知っておきたい 新型の「緩さ」とは?
ー 「緩さ」「収まり」 ともに両立
ー NAか、ターボか

「買い」か?
ー フィットを越えている点

どんなクルマ?

ボア×スト変更 新エンジン搭載

現在に続くスーパーハイト系軽乗用の開祖はタントである。高全高を活かした広々としたキャビンを特徴とし、今やファミリー向けの軽乗用では中心的なジャンルだ。


ホンダが新世代軽乗用戦略として打ち出した「N」シリーズで、スーパーハイト系市場向けに開発されたのがN-BOXである。FMCでは基本コンセプトを踏襲しているが、プラットフォームとパワートレインを一新。先代で新設したハードウェアを早くも代替わりさせていることからも、新型への力の入れようが分かる。


シーム溶接や接着剤の採用により高剛性かつ軽量化された車体。ロングストローク型の新エンジンと油圧ポンプ負荷低減を図ったCVT。マニア心に響く金属ナトリウム封入バルブは廃止されたが、鏡面仕上げバルブの採用により耐ノック性は向上している。さらに軽乗用では初となる本格LKAとACCなどの高機能運転支援を行うホンダ・センシングも標準採用される。
 

軽初 助手席570mmロングスライド

基本ユーティリティは先代を継承しているが、フロントキャプテンシート仕様には後席直前までスライド可能なスーパースライド機構を採用。助手席と後席のコミュニケーションだけでなく、前後席ウォークスルーにも使える。ファミリー派ユーザーの現実を上手に捉えた設計と言えよう。


軽乗用の売れセンをしっかりと押さえながらも、軽乗用の枠を超えた次世代標準を狙っているのが特徴だ。

どんな感じ?

知っておきたい 新型の「緩さ」とは?


よく言えば独自性にこだわった理想主義、悪く言えば我田引水がホンダのクルマ造りの妙味でもあり、ホンダファンの気持ちもよく理解できる。そういった視点で新型N-BOXを見ると落とし所は複雑である。


ちょいと強面なカスタム系は従来車からの乗り換え、あるいはホンダファン好みと思われる。操舵初期の回頭反応やロール規制、ロードコンタクト感のある乗り心地など引き締まった味付け。ただし、スポーティと言えるほどでもなく、これまでの従来のNシリーズと比較すると、ホンダらしからぬ緩さを感じさせる特性だ。
 

「緩さ」「収まり」 ともに両立


標準系では多少の「引き締まった」も抜けて、さらにゆるゆるのフットワーク。実のところ新型N-BOXで最も感心させられたのは、この「ゆるゆる」なのだ。

始祖のタントに限らず、頭の重さを意識させるぐらりと揺れるロール感覚はスーパーハイト系の基本。と言うか軽乗用では主流。この緩さは街乗りファミリーカーらしい「和み」の乗り味にもなっている。


操舵初期の回頭反応は鈍い。堪え性なくロールするが、ロール速度そのものは抑制が利いている。深いロールでも揺り返しは少なく、柔らかなサスチューンではありがちな収まりの悪さはない。


多くの和み系フットワークのモデルが緩さと収まりの両立点の向上を狙っているが、N-BOXはその中でもトップクラスのまとまりである。S660やジェイドRSにも採用されているアジャイルハンドリングアシストの効果もあるのだろうが、高速コーナーでも意外なほど安定したライントレース性を示した。へなちょこのようで驚くほどしっかり者といった感じだ。

さらにロードノイズも少なく、透過感も低い。軽量小型車特有の「薄っぺら」さが少なく、走りの質感の高さはコンパクトクラスと同等以上である。
 

NAか、ターボか


ならばホンダ・センシングのLKAS(LKA)とACCを使って高速ツーリングを模した走行パターンは。一般高速道レベルのコーナーでは反自動操舵で車線を維持。車線内の位置取りを操舵でずらせば、左右どちらかに寄せて走らせることも可能。ACCもペダル踏み込みに即応して加速。半自動的な運転支援を行うが、ドライバー操作が優先され、システムが抵抗するような操作感ではない。なお、作動速度域はLKASが65km/h以上、ACCが30km/h以上で、実質高速道専用と考えていい。

フットワークや運転支援機能は高速長距離走行をこなすに十分だが、動力性能まで求めるとターボが必須。


NA車(写真黄色:G・Lホンダ・センシング)も街乗りでは中々の力強さ。緩加速時にもわずかなダウンシフト制御で大きく回転を上昇させることなく済ます。急激に大きな回転変化を起こさせない変速とスロットル制御がスペック以上の力感を示す。

しかし、80km/h以上の領域では余力がほとんどない。ACC任せで走らせていても流れの変化や登り勾配で5000回転以上を使用することも度々。同じ状況でもターボ車では3000回転台で済み、前走車との車間距離の変化は少なく追走していた。


市街地を大人しく走らせている時は常用回転域が多少下がる程度なのでターボの必要性もそれほど感じなかったが、動力性能面の高速走行適性は段違いである。そしてスーパーハイト系に限らず、軽乗用の中では最も高速長距離適性に優れた一車がN-BOX系ターボ車だ。
 

「買い」か?

フィットを越えている点


標準系のG・Lホンダ・センシングの価格はNA車が約150万円、ターボ車が約170万円。カスタムならその約20万円高。フィットとラップする価格設定であり、この価格で軽乗用を選ぶ価値があるか疑問を覚える人も少なくないだろう。ごくふつうの価値感ならフィットを選ぶのが無難である。


しかし、N-BOXの車内はフィットよりも開放的。後席を倒せば自転車も積めるし、快適性もフィットと遜色ない。和み系乗り味が好きならフィット超えだ。さらに内装の質感も勝り、後席の座り心地や居心地にも優れている。スモール&コンパクトクラスの優等生たるフィットと比してなお優れる部分が多いのだ。


スーパーハイト系のど真ん中のユーザーは当然として、軽乗用まで考えているダウンサイザーには投資甲斐のある内容。中でもターボ車は走りの質感や安全&運転支援にこだわるダウンサイザーに適している。

ホンダN-BOXカスタムG・EXターボ・ホンダ・センシング

■価格 1,949,400円 
■全長×全幅×全高 3395×1475×1790mm 
■燃費 25.0km/ℓ 
■CO2排出量 92.9g/km 
■乾燥重量 960kg 
■エンジン 直列3気筒ターボ658cc 
■最高出力 64ps/6000rpm 
■最大トルク 10.6kg-m/2600rpm 
■ギアボックス CVT 

ホンダN-BOX G・Lホンダ・センシング

■価格 1,499,040円 
■全長×全幅×全高 3395×1475×1790mm 
■燃費 27.0km/ℓ 
■CO2排出量 86.0g/km 
■乾燥重量 900kg 
■エンジン 直列3気筒658cc 
■最高出力 58ps/7300rpm 
■最大トルク 6.6kg-m/4800rpm 
■ギアボックス CVT