北朝鮮が経済支援を狙い、ロシア極東への接近を強めている。

 7日までウラジオストクで開催された「東方経済フォーラム」には金英才(キム・ヨンジェ)対外経済相が出席し、極秘裏にガルシカ露極東発展相らと会談。露側は貿易や投資拡大に前向きな姿勢を示すなど“厚遇”で応じた。一方、極東住民は北の核実験やミサイル発射に懸念を募らせており、北の接近に不満の声も聞かれた。(ウラジオストク 黒川信雄)

 北朝鮮は経済フォーラムに、金氏や駐ウラジオストク総領事らを代表団として派遣。フォーラム内の行事への参加予定は一切事前に公表されなかったが、後にガルシカ氏や地元政府の知事らと接触していた事実が明らかになった。

 6日に北朝鮮代表団と会談したガルシカ氏は国営ロシア通信のインタビューで、北朝鮮側から「経済分野でさまざまな協力案を提示された」と発言。ロシアが中国とともに、国連の制裁決議下でも実施可能な「貿易協力」を検討していると述べた。

 プーチン大統領も7日、北朝鮮の呼びかけに応じるように、同国を「極東地域の協力の枠組みに取り込まなくてはならない」と主張。具体的にロシア〜朝鮮半島間の鉄道・パイプライン網結合や、北朝鮮領内の港湾活用などを提案した。

 金氏は一方、制裁圧力を強める米国について「わが国には水爆も大陸間弾道ミサイル(ICBM)もあるという事実を忘れるな」と述べた。対北批判を強める日本や韓国には「邪悪な政治的陰謀がある」と言い放つなど、傍若無人な態度に終始した。

 ただ北朝鮮と国境を接する露極東では、3日の核実験の際に幅広い範囲で揺れが発生したほか、5月のミサイル発射ではわずか100キロ離れた海域に着弾したと報じられ、住民間では北朝鮮への懸念が広がっている。ウラジオストク市民からは「北朝鮮は隣人のことを何も考えていない。北朝鮮系レストランなど絶対に行きたくない」など強い不満の声が聞かれた。