「男が結婚指輪をしてるのは珍しい時代だった」昭和の指輪価値観を聞いてきた

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結婚式準備の忙しさのなかでゆっくり選ぶことが出来ず、一生付けるものなのに「なんとなく」で選びがちな結婚指輪。もっとこだわっていいし、もっと自由に選んでいい。そんな想いを込めて、指輪に関する多様なストーリーを先輩夫婦にうかがうのが、この「結婚指輪物語」です。

近年のマイナビウエディングの調査(2015年)では、既婚カップルの97.1パーセントが「買った」と答えた結婚指輪。

※2015年7月、20代〜40代のマイナビニュース会員415名にWEBアンケート

もはや結婚指輪は購入するのが当たり前となっている今日このごろですが、昭和の時代はどうだったのでしょうか。大阪府に住む結婚40年目の西川徳則さん・京子さんご夫妻と、おなじく結婚40周年を迎えられたの東京在住の安住豊さん・晃子さん夫妻のふた組にそれぞれのストーリーをお聞きし、1970年代の結婚指輪をとりまく状況に迫ります。

1970年代「あたりまえ」ではなかった結婚指輪

――まず、おふたりのなれそめをお聞かせください。

徳則 職場のスーパーで出会いました。わたしが大阪出身で、妻は徳島の生まれなので年齢もひとつ上になります。婦人服売り場で一緒に働いていましてね。

――職場恋愛だったんですね。どちらから声をかけられたんでしょうか?

徳則 おぼえてないですね(笑)。まあでも、わたしからだと思います。

--40年前、結婚指輪というのはどういう位置づけだったのでしょうか?

徳則 今のように、みんなが必ずするものではなかったと思います。実際につけていた人は、女性は8割、男性だと6割ぐらいじゃないでしょうか。我が家も、家内の分だけを買って、わたしの分は買っていません。

――「指輪の交換」もされてないんですか? 

徳則 結婚式はしましたが、指輪の交換はしていないですね。男が結婚指輪をするのはまだ珍しい時代だったと思います。当時、会社のデスクに置こうと家内の写真を持っていったら、かなりからかわれましたよ(笑)

――今だと褒められそうなのに! その時の指輪は、どこで、おいくらぐらいで購入されたものでしょうか?

徳則 大阪の梅田にある宝石店でした。10万円ぐらいだったと思います。ただその指輪も、家内は毎日はしていませんでしたね。

――当時は、女性でも毎日はつけていないという方が多かったのでしょうか?

徳則 うーんどうでしょう……。人によるとは思いますが、今よりはつけている人が少なかったと思います。

銀婚式で夫の指輪を買ってくれたのは娘だった

――40年前購入されなかったということでしたが、今は指輪をしていらっしゃいますね。

徳則 そうなんですよ。これは結婚25周年、銀婚式のときに就職したての娘が初めてのボーナスで買ってくれました。

--むちゃくちゃいい話じゃないですか!

徳則 (テレながら)そうですかね? 最初、会社につけていったら笑われましたよ。すぐにはずそうと思ってましたけど、もう15年つけてますね。恥ずかしいけど、手元を見ると娘のことを思い出すのでそれもいいかなと。

70年代の東京はどうだった?

40年前、指輪は今ほど「買って当然、つけて当然」ではなかったと語ってくれた大阪の西川夫妻。続いて、同時代の東京の様子を、都内在住の安住夫妻にうかがいました。

――今日はよろしくお願いします。もともと、高校の先生をされていたんですよね?

豊 そうですね。わたしが世界史で、妻が保健体育の先生でした。1976年に結婚して、いま41年目になります。 

--当時と今で、結婚指輪に関する考え方は変わっていると思われますか?

豊 今はするのが当たり前になっている気がしますね。特に教員なんかはまじめな人が多いのか、後輩はみんなつけていましたね。

--お二人のご両親はいかがでしたか?

豊 うちはしてなかったですね。

晃子 うちも、していませんでした。同世代が、してる人/してない人で半分半分ぐらいだったと思います。

--ゆるやかに、「既婚者は指輪をするもの」という風に変わってきたんですね。

豊 そうですね。最近なんか、高校生のカップルでもしてますよね。しかも、左手の薬指に。

--ぼくの世代(1986年生まれ)でも、してる人いました! 田舎だったからか、女性は彼氏ができたらするのが当たり前みたいな風潮があって、「あの子、指輪をしなくなったので別れたのでは?」、「あの子はしてないから彼氏いないんじゃないか」なんて噂になるぐらいでした。

豊 ずっと東京で教師をしてましたが、そう変わらなかったと思います。昔は未婚の女性が左手薬指に指輪をするなんて考えられなかったんですけどね。もうなんでもありだなと思って見てました(笑)

なくしてしまった指輪

--指輪自体は、どこで購入なさったんでしょうか?

豊 東京の六本木でした。知り合いがアメリカで宝石の鑑定士の資格を取ってジュエリーショップみたいなものを開いていたので、そのお店で。

晃子 プラチナの指輪ですね。

--おいくらぐらいで購入されましたか?

豊 どうだったんだろう……全然おぼえてないですね。

晃子 わたしもちっともおぼえていませんが、若い教員の給料なんてすごく安いですし、高いものではなかったはずです。

--いま、お二人とも付けてらっしゃいませんが?

晃子 わたしは、新婚当初だけつけていました。結婚して1年経って子どもが生まれてからは、つけてないです。子どもの世話をしたり、料理したりするのに邪魔で……。

--ご友人・ご親戚の結婚式につけていったりは……?

晃子 それもないですね。もう、本当に記念に買ってもらったという感じで。

豊 わたしは結婚直後からずっとつけていたのですが、結婚から3年ぐらい経ったときになくしてしまいました(笑)

--ああーもったいない!

豊 当時2歳だった長女が興味を示したので遊ばせていたら、いつの間にかなくなっていて。本人に聞いてもまだまともに話せる年齢じゃなかったのでわからないし、そのうち出てくるだろうと思ったのですが……。

--奥さんは、どんなお気持ちでしたか?

晃子 わたしもそのうち出てくるだろうと思っていたのでなんとも思ってませんでした。結局、出てきませんでしたね(笑)

豊 彼女には申し訳ないのですが、それからつけてません。

--今なら怒ったり、買い直したりするカップルもいそうなお話しですね。

豊 そうなんですか?

--「指輪をしていない=結婚していない」という認識が強いと思います。生涯未婚率や
離婚率が高くなって、既婚者なのか独身者なのかを識別してコミュニケーションをとらないといけなくなったからではないでしょうか。指輪の有無でそこをはっきりさせておいたほうが、いろいろ都合がいいのかなと。

晃子 それは大変ですねえ。

変わってきた「結婚指輪」の価値観

二組のご夫婦へのインタビューを経て気づかされたのは、現代の不自由さでした。「結婚したら指輪を買わなきゃいけない」、「結婚したら指輪を毎日付けなきゃいけない」、「結婚指輪は自分たちで買わないといけない」。現代の結婚の常識は、いつしか義務となり、「しばり」にすらなっている気がします。

そもそも何のために結婚指輪をするのか、そして、ふたりにとっていちばん「いいモノ」とはどんなモノなのか、改めて話し合ってみるのもいいですね。

文/今井雄紀(株式会社ツドイ)+徳谷柿次郎(株式会社Huuuu)