優先順位が逆だろ!と激しく非難するベネズエラの電子紙『Venezuela al Día』

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 トランプ大統領になって、ベネズエラは米国から4度の制裁を受けている。4度目の制裁はこれまで一番厳しい制裁で、米国は8月25日にベネズエラの国債及びベネズエラ石油公社(PDVSA)の社債の取引を禁止した。資金不足に喘ぐベネズエラにとって資金の獲得の道が閉ざされたことになった。今後、中国かロシアあたりからの資金支援がないと、今年後半にデフォルトに陥る可能性が非常に高いと予測されている。

 そんな状況は国民の生活に重くのしかかり、医薬品や日用品が不足し、国民は<赤子に与えるミルクもなく、お米やパスタのとぎ汁を与え>、<ガンや糖尿病等全ての薬、風邪薬さえ見つからず、病人や怪我人で溢れる公共病院はレントゲンや各検査器具は壊れ殆ど使用不可能でシーツやガーゼさえない>という状態に陥っているという。(参照:「ベネズエラで起きていること」日本人画家、小谷孝子さんの手記)

 そのベネズエラのマドゥロ大統領が、北米南部を襲ったハリケーン・ハービーの被災者に対し<500万ドル(5億5000万円)の支援>を決めたことが波紋を呼んでいる。

 ベネズエラの電子紙『Venezuela al Dia』は8月30日付で<「優先は逆だ。マドゥロはテキサスの家族に500万ドルをあてる」>という見出しの記事を掲載した。<「救援は決して悪いことではない。しかし、自分の家が悪い管理の影響で苦しんでいる時に、別の問題に焦点を当てるのは不道徳でもある」>と言及している。(参照:「Venezuela al Dia」)

◆ベネズエラ紙も国民も仰天&呆然

 ベネズエラが1990年代に米国市場に参入する際に、戦略的に買収した元米系石油会社CITGOがこの支援金の分配を担当するという。しかし、この会社の半分に近い株は資金難に苦しむベネズエラがロシアからの支援金と引き換えに石油会社ロスネフチに売り渡した状態にある。そんなCITGOが救援金をテキサスでばら撒くというのだから皮肉な話だ。

<ベネズエラがどうして多額の救援金を米国に提供できるのであろうか?><医薬品も食料も米国による制裁の影響で輸入することが出来ないと副大統領のデルシー・ロドリゲスは表明していたはずであるが><ベネズエラの危機は、ベネズエラ国民を貧窮の中に陥れておいて、政権を永続させる為に現政権が計画したものである>と『Venezuela al Dia』は厳しく批判している。

 また、米国マイアミの『PANAMPOST』も同日付で<「ベネズエラでは薬を買うお金がない。しかし、テキサスの被災者には500万ドルがある」>という見出で記事を掲載している。(参照:「PANAMPOST」)

 同紙は<ドナルド・トランプの経済制裁によって食料も医薬品も輸入できないと理由づけしていたというのに、米国のハリケーン・ハービーによる被災者には500万ドルを寄付するという><マドゥロ大統領はハリケーン・ハービーによって被害を受けた都市の被災者の支援の為の計画を立てるように指示した><他国の支援の為に数百億ドルを用意するが、それは自国の経済回復の為ではない>と皮肉たっぷりに報じている。

 更に、野党やミランダ州のエンリケ・カプリレ州知事はマドゥロ政権の決定を批判し、<「500万ドルを用意するそうだが、我がべネズエラで1993年に発生したブレット豪雨の被災者がまだ回復せずにいるというのに!」>と言って不満を表明したと報じている。

◆国内で不足するガソリンを無償提供!?

 更に、驚くべきことがある。ベネズエラの電子紙『elestimulo』が9月2日付で報じたところによれば、ベネズエラのホルヘ・アレアサ外相が<テキサスのハービーが襲った地域の被災者を対象にガソリンを無償で提供する>と発表したというのだ。また同外相のツイッターで<ハービーの被害を受けた地域の消防隊、レスキュー隊、警察もガソリンを無償で手にれることができる。CITGOを通してベネズエラからのソリダリティーによる提供だ>と綴って公表したことも伝えている。(参照:「elestimulo」)