1961年にイギリスの自動車メーカー・ジャガーが発表したスポーツカー「Eタイプ」は、流線型に形づくられた美しいボディラインが人気を集めた名作クラッシックカーの一つで、名門フェラーリの創始者エンツォ・フェラーリが「これまでに作られたクルマの中で最も美しい」と称賛したほどのモデルです。そんなEタイプを、2020年までに全ての自動車を電動化すると発表したジャガー・ランドローバーがオリジナルの車体を用いて完全に電気自動車(EV)へと変身させた「E-TYPE ZERO」を発表しました。

JAGUAR E-TYPE ZERO - “THE MOST BEAUTIFUL ELECTRIC CAR IN THE WORLD”

http://www.jaguarlandrover.com/news/2017/09/jaguar-e-type-zero-most-beautiful-electric-car-world

Jaguar’s E-type Zero is the most beautiful electric car yet - The Verge

https://www.theverge.com/2017/9/7/16265888/jaguar-e-type-zero-electric-car-announced

オリジナルの古い車体に最新のドライブトレインを組み付ける「レトロフィット」で生まれかわったE-TYPE ZERO。外観はオリジナルからほとんど変わらないクラッシックなスタイルを維持していますが、その心臓部は最新の技術へと換装されています。



直列6気筒・4.2リッターのXKエンジンが収められていたボンネットの中には、EV化にあたって容量40kWhのリチウムイオンバッテリーが収められています。



なんとこのバッテリーユニットは、オリジナルのXKエンジンと同じ寸法と重量になるように設計されているとのこと。さらに、もとはギアボックスが鎮座していた場所には出力220KW(約300ps)のモーターが置かれており、その重量もオリジナルのギアボックスと同等。これにより、車重の大部分を占めるパワーユニットの重量をオリジナルと同一にすることで運動性能を保つのと同時に、車体の補強など大きな構造改変を行わずに済むような対策がとられているそうです。EV化の結果、車重はオリジナルより46kg軽量化されていますが、前後の重量配分は変化なしだというから、ジャガー・ランドローバーは本気です。



EVの制御ユニットは、トランクの床下に収められている模様。



流れるような優雅なスタイルを見せつけるE-TYPE ZERO。外観のほとんどはオリジナルのままですが、車内に目を移しても現代風にレトロフィットされている部分があります。



運転席まわりのパネル類が、スッキリとした現代風に仕立て直されています。1960年代当時には考えられなかったジョグダイヤルがセンターコンソールにあるというのも、なかなか面白いところ。



古式ゆかしき(?)キーを挿してイグニッションを回すと……



なんと液晶式に換装されたメーターパネルに情報が表示されるようになっています。左のメーターは車速、そして右のメーターはエンジンの回転数ではなく、モーターの出力を表すパワーメーターになっています。



EV化されているということで、フューエルリッドを開けるとそこには充電用のコネクターが。通常充電用のSAE J1772充電用ソケットが搭載されていますが、急速充電に対応する欧米規格「コンバインド・チャージング・システム (コンボ)」は未登載の模様。



ベースになった車両は、複数タイプが存在するEタイプの中でも「シリーズ1.5」または「シリーズ1 1/2」と呼ばれる車体を用いているとのこと。この世代のモデルには装着されていないはずの透明なヘッドライトカバーの下には、現代的なLEDヘッドランプが搭載されています。



なお、E-TYPE ZEROの航続可能距離は270kmと控えめ。また、0-100km/h加速は5.5秒となっています。古い直6エンジンの機嫌を伺いながら走るのも良さそうですが、ウルトラスムースなモーターでゆったりクルージングするのもこのクルマには似合いそう。ジャガー・ランドローバーではこのE-TYPE ZEROを、2017年9月8日から10日にかけてロンドンで開催されているJaguar Land Rover Tech Festの会場で一般公開しています。



以下のムービーでは、実際にE-TYPE ZEROが走行しているシーンを少しだけ見ることができます。

Jaguar | E-type Zero - YouTube