丹東駅前で列車を待つ北朝鮮労働者たち(画像:デイリーNK対北朝鮮情報筋、9月4日午前撮影)

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中国東北地方の企業は、数多くの北朝鮮労働者を受け入れてきたが、核兵器開発を巡る対北朝鮮制裁の影響で、雇用を取りやめる企業が増えている。それに伴い、北朝鮮への帰国ラッシュが起きているとデイリーNKの対北朝鮮情報筋が伝えてきた。

情報筋は、北朝鮮が核実験を行った翌日の4日朝、中国遼寧省の丹東駅を訪れた。鴨緑江に掛かる橋を渡れば、北朝鮮の新義州(シニジュ)だ。

駅頭では、大きな荷物を抱えた北朝鮮労働者20人以上が、午前10時発の平壌行きの列車を待っていた。

彼らは丹東の冷凍倉庫で働いていたが、受け入れ先の中国企業との契約更新ができなかったため、帰国することになったという。

また、デイリーNKジャパン取材班も5日、6日に丹東駅を訪れた。北朝鮮の貿易関係者に混じって、労働者と思しき4〜5人からなる複数のグループが列車を待っており、その数は30人近くに及んだ。

取材班は彼らにインタビューを試みた。

しかし、いずれも挨拶は返すもののインタビューは拒否した。

北朝鮮の貿易会社は、中国企業と3〜5年の雇用契約を結び、労働者を送り出していた。契約満了後は、別の人員に入れ替えることになっているが、北朝鮮の支配人にワイロを渡して中国での仕事を続けてきた労働者も少なくない。

賃金が安く離職率が低い北朝鮮労働者を求める中国企業が多かったが、雇用契約を更新せず、賃金が多少高くても自国の労働者を使おうとしていると情報筋は伝えている。

このような帰国ラッシュは、丹東から遠く離れた、豆満江を挟んで北朝鮮東北部と向かい合う吉林省延辺朝鮮族自治州の琿春でも起きている。

英フィナンシャル・タイムズは、琿春の水産物商人の話として、市内の中朝経済合作区の各工場が、雇っていた北朝鮮労働者を北朝鮮に送り返し始めたと報じた。

また、韓国の東亜日報も、中朝経済合作区にある工場関係者の話として、北朝鮮労働者300人を北朝鮮に送り返したと報じている。多数を雇い入れていた理由としては「針仕事のレベルが世界最高だから」としている。

一部の企業は、北朝鮮の羅先(ラソン)にある北朝鮮の工場にアウトソーシングして、巧妙に制裁逃れを図っていると東亜日報は報じたが、北朝鮮からの物品の輸入が禁じられた現状で、いかにして完成品を持ち出すかについて、記事は触れていない。

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