専門家に言わせれば、「酒を飲む、飲まないに関係なく、不摂生な生活をしているとアルコール性肝炎に似た肝疾患に陥りやすい」という。つまり、放置すれば肝炎→肝硬変→肝がんへと進行するということだ。
 厚労省によれば、毎年約3万5000人の方が肝臓病で死亡している。このうち約9割の人がB型・C型肝炎ウイルスを患ったことが原因とされている。

 肝臓は、酒を飲んだ際にアルコールを分解する以外にも、脳のエネルギー源であるブドウ糖をグリコーゲンとして備蓄したり、食事から摂取した栄養分を代謝、さらには出血を止めるためのたんぱく質の合成、胆汁の生成、人体に有害な物質を分解し無毒にする“スーパー臓器”だ。
 それだけに、もともとは頑強で最も大きな臓器で、たとえ疾患で切除により半分以上を失ったとしても必要な仕事をこなす力は残っており、元の大きさに復元することも可能だという。とはいえ、あまりに酷使しすぎれば、傷みが重なり、壊れることも無視できない。

 昭和大学病院消化器内科の医師は、こう説明する。
 「肝臓が“沈黙の臓器”であることは広く認識されました。なぜ“沈黙”なのか。それは、ひどく傷んでいたとしても痛みを感じることがないからです。病気になっても自覚症状が出にくく、何となく具合が悪いなと感じた頃は、肝炎などでだいぶ悪くなっている可能性があるということ。症状が進まないように、まずは早期発見し治療することが重要になります」

 中でも問題なのは、前述のように酒を飲まない下戸なのに肝炎疾患を招くという「非アルコール性脂肪性肝炎」(NASH)だ。
 この病気は、最悪の場合、肝硬変から肝臓がんになる可能性があり、国内でも100万〜200万人の患者がいるとされる。また、肝臓がんの原因には、B型肝炎が2割、C型肝炎が7割、残りの1割近くにNASHが含まれると推測されるという。

 前出の医師によれば、NASHの特徴は、アルコールをほとんど飲まないのに肝臓がアルコール性肝炎に似た状態になることだ。
 「原因はズバリ言って“栄養過多”です。つまり、メタボ体形の延長線上にある病と言えます。ただし、太っているから病気になるわけではなく、痩せている人でもなってしまう。BMIの数値が25を超えている場合は要注意。30代以上の男性に圧倒的に多く、50代以上の女性にも多い。また、肝臓の数値を表すGOT・GPTがそれぞれ50を超え、γ-GTPも100超になると、脂肪肝が進行している可能性があります」