【原ゆみこのマドリッド】スタジアムが遠い…

写真拡大

▽「やっぱり近づけないのね」そんな風に私が愚痴っていたのは木曜日、アトレティコの新しいホームに一番近いメトロ(地下鉄)のエスタディオ・メトロポリターノ駅メインエントランス・オープニングセレモニーの後、階段を上がればそこにスタジアムがあるというのに、まだ工事中だからとマスコミもファンも即座に駅舎内に押し戻されてしまった時のことでした。いやあ、ここ数日は完成した豪華なロッカールームをビデオ(http://www.atleticodemadrid.com/videos/asi-es-el-vestuario-del-primer-equipo-en-el-wanda-metropolitano)で紹介したり、ピッチの芝張りも終わったりと、こけら落としとなる16日のマラガ戦に向け、準備は着々と進んでいるようなんですけどね。

▽どうにも怪しいのは駐車場や周辺道路へ繋がる道で、セレモニーに出席したマドリッド州知事のシフエンテ氏が「グリースマンには是非、ほんの数タッチでゴールまで行ける、このライン7の駅を使ってもらいたいわ」と笑いと取りつつ、試合前後の時間には列車を3分間隔で運行して、大混雑にも対応できることをアピール。更に徒歩15分程のライン2(イメージキャラはゴディン)のLas Rosas(ラス・ロサス/スペインサッカー協会施設があるのはLas Rozas)駅やライン5(同トマス)のカニジェハス駅の利用をファンにくどい程、お勧めしていたのはやっぱり、まだ自家用車では入れないから?

▽まあ、私などは車も持っていないため、メトロしか選択肢がないですし、セレモニーではこの2週間、じっくりマハダオンダ(マドリッド近郊)で練習していたガビやフェルナンド・トーレスはともかく、代表戦に駆り出されていたコケ、サウル、グリースマンが元気そうなのを確認できただけで満足だったんですけどね。火曜に昨年、2018年までに一旦減らした契約年数を2020年まで再延長、週末は彼女と娘さんを連れてパリのディズニーランドで楽しんできたシメオネ監督も姿を見せていたものの、彼らは午後の練習に備えて早々にライトバンに乗って撤収。

▽最後はセレソ会長の「No podemos fichar hasta enero/ノー・ポデモス・フィチャール・アスタ・エネロ(ウチは1月まで選手を獲れない)が、それまでにジエゴ・コスタや他の選手が来ることはありうる」という今週、ようやくロンドンに戻ったらしいチェルシーのFWの古巣復帰を仄めかすようなコメントを聞いてお開きとなったんですが、うーん、それにしてもワンダ・メトロポリターノの近隣にはあまりに何もなさすぎ。屋台ぐらいは出るとしても、ビセンテ・カルデロン時代は早めにスタジアムまで行って、近くのバル(スペインの喫茶店兼バー)で士気を高めていた大勢のファンたちは一体、どうするんでしょうかね。

▽え、それより今週あったスペイン代表のW杯予選2試合目がどうだったか知りたいって?そうですね、火曜のリヒテンシュタイン戦は予想通りの展開で、何せ相手の選手は半分がセミプロですからね。「Tratamos de tener variantes ofensivas ademas de la calidad de los jugadores/トラタモス・デ・テネール・バリアンテス・オフェンシバス・アデマス・デ・ラ・カリダッド・デ・ロス・フガドーレス(選手たちの質だけでなく、攻撃的オプションを増やしたかった)」というロペテギ監督の意向で、チームは先日のイタリア戦からスタメン4人を変更。コケ、カルバハル(レアル・マドリー)はベンチ外でアセンシオ(マドリー)、ジョルディ・アルバ(バルサ)が控えとなり、モラタ、ペドロ(チェルシー)、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)、モンレアル(アーセナル)が入ってDF3人体制って随分、強気じゃないですか。

▽ただ実際、それで困るような場面はまったくなく、開始3分にシルバ(マンチェスター・シティ)のFKをセルヒオ・ラモス(マドリー)が頭で決めて先制したスペインは、15分にも今度はビジャ(ニューヨーク・シティ)の負傷離脱で背番号7を取り戻したモラタがこれもシルバのクロスをヘッドしてゴール。その1分後にはGKジェーレ(バルダール)が蹴り損ねたボールをエリア内で奪ったモラタがイスコ(マドリー)に繋いで3点目が入ることに。更に39分にはシルバがFKを直接、ネットに突き刺してしまったとなれば、ロペテギ監督ももう誰をキッカーにしていいか、途方に暮れてしまったかも。その直後、GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が珍しくミスをして、ジェーレ同様、エリア内で敵にボールを渡してしまったんですが、シュートはしっかりセーブしている辺り、やっぱり雲泥の実力差ですよね。

▽後半はラモス、シルバの2008年から2012年まで続いたスペイン黄金期を支えたベテランがナチョ(マドリー)とイアゴ・アスパス(セルタ)に代わったんですが、それでもgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)は止まりません。ええ、6分にはモラタのヘッドがゴールバーに弾かれて落ちたところをアスパスが押し込み、その3分後にはアスパスがお礼のスルーパスでモラタをアシスト。当人もW杯行き当確ラインぎりぎりにあるのはわかっているんでしょうかね。「Me llevo muy bien con Morata tambien fuera y eso ayuda/メ・ジェボ・ムイ・ビエン・コン・モラタ・タンビエン・フエラ・イ・エソ・アジュダ(モラタとはウマがピッチ外でもウマが合う。そういうのは助けになるね)」(アスパス)と、ジエゴ・コスタが怠けている間にエース候補ナンバーワンに昇格したFWと相性がいいことを強調していましたが、彼は17分にも弾かれたペドロのシュートを撃ち直して自身2点目をゲット。

▽最後は44分、イスコと交代したデウロフェウ(バルサ)のシュートが敵DFに当たってオウンゴールになったため、昨年の対戦と同じ0-8という大勝になったんですが、こうもレベルが違うとねえ。リーガ1部のチームと2部Bのチームが当たるコパ・デル・レイ32強対戦以上の差があるように見えましたが、幸いこの試合ではケガ人は1人もなし。イエローカードをもらったブスケツ(バルサ)が累積警告となり、10月にアリカンテ(スペイン南部のビーチリゾート都市)で行われるアルバニア戦を欠場となるのはちょっと痛いですけどね。同日イスラエルに勝った2位のイタリアは1-0止まりだったため、勝ち点差3のままでも得失点差が17に拡大。ええ、もうこうなるとW杯進出まであと1勝でいいってことじゃないですか。

▽おかげで試合後はキャプンのラモスなど、「Te mentiria si te diria que no veo a este equipo haciendo algo importante/テ・メンティリア・シー・テ・ディリア・ケ・ノー・ベオ・ア・エステ・エキポ・アシエンドー・アルゴ・インポルタンテ(このチームが何か大きなことを成し遂げられないなんて言ったら、ウソになる)」と黄金期再来を予感しているようでしたが、まあ本大会はまだまだ先ですからね。私ももう1度、スペインの優勝を見られたら嬉しいものの、2014年ブラジル大会のようにいきなりグループリーグ敗退になったりすることもあるため、今のところは生ぬるい目で見守っていくことにしましょうかね。

▽そしてその晩はチューリッヒに泊まり、翌日にはマドリッド組、バルセロナ組、その他イギリス、イタリア組と分かれて選手たちもそれぞれのクラブに戻ったんですが、今週の私はラス・ロサス(マドリッド近郊)の代表練習見学がなくなったため、この金曜に1部では初となる弟分ダービーを迎えるレガネスをチェック。いえ、夏の間、全面運行停止していたメトロのライン5がようやく動きだしたため、アルーチェ駅前から何本も出ているバスを使って、簡単に練習場のインスタラシオン・デポルティバ・ブタルケに行けるようになったというのもあるんですけどね。火曜はあっさり着いたと思いきや、練習はスタジアムで非公開だったり、翌日は施設の入り口が開いておらず。仕方なく広い敷地の外をグルリと一周しないといけなかったりと、チャレンジするたび何が起こるのは私とレガネスの相性が悪いのかも。

▽ただ新しいプレハブのロッカールームやジムがすぐ側にできたそのグラウンドは日焼けが避けられないヘタフェとは違い、木陰から見学できるため、かなり快適で、更に練習を終えた選手が普通に歩いてくるので、ファンが写真やサインを頼み放題というのは同じ。とはいえ、この夏には13人が退団、11人を補強したレガネスですからね。誰が誰か見分けるのが難しいんですが、その日のセッションでアシエル・ガリターノ監督は念入りにセットプレーを指導。木曜の記者会見ではヘタフェのボルダラス監督も「A balon parado hizo los dos goles, hay que tener cuidado/ア・バロン・パラードー・イソ・ロス・ドス・ゴレス、アイ・ケ・テネール・クイダードー(セットプレーで2ゴール挙げているから、注意しないといけない)」と言っていように、開幕2試合をFKとCKからの得点で勝っている彼らとしては、長所により磨きをかけたかったのかもしれません。

▽加えてレガネスでは移籍市場最終日に獲得したFWアラバマット(ワトフォードから移籍)がヘタフェのファジルと一緒にモロッコ代表参加しており、来週月曜までチームに合流しないため、大幅な攻撃力アップは望めませんからね。まだ1分け1敗で1部復帰後、白星を飾っていないヘタフェには他に柴崎岳選手、ジェネ(トーゴ)と代表から帰って来たばかりの選手がいるため、ボルダラス監督は「Confiamos que de aqui a manana puedan estar al 100 %/コンフィアモス・ケ・デ・アギー・ア・マニャーナ・プエデン・エスタル・アル・シエントー・ポル・シエン(明日までには100%になってくれると信じている)」と言っていたものの、金曜午後9時(日本時間翌午前4時)キックオフのブタルケ(レガネスのホーム)ではスタメン変更も多分にあるんじゃないでしょうか。

▽ちなみにガリターノ監督は現役時代、ボルダラス監督の指揮下でプレーして、一緒にコーチングスタッフとして働いていたこともあるため、このダービーは師弟対決でもあるんですが、最後にマドリッドの両雄の今週末の試合について触れておくことにすると。ブラジルのW杯予選2戦目を出場停止になったマルセロを皮切りに、木曜朝にコスタリカからケイロル・ナバスがバラハス空港に着いて、ようやく17人の各国代表選手が全員帰還したマドリーはこの3節、土曜の午後1時(日本時間午後8時)というアジアゴールデンタイムでレバンテ戦をプレー。ポルトガル代表ではフェロー諸島戦でハットトリックの大活躍、0-1で辛勝したハンガリー戦でもアシストで貢献したクリスチアーノ・ロナウドはまだ出場停止処分が続いているんですが、その分、来週水曜のCLグループリーグ開幕戦、キプロスのアポエルをサンティアゴ・ベルナベウに迎える試合で爆発してくれる可能性が高い?

▽ただ今回の相手、レバンテもリーガ初戦に勝って、2節のデポルティボ戦で2-2の引き分けと、paron(パロン/リーガの停止期間のこと)直前にバレンシアと2-2のドローで終わったマドリー共々、現在の勝ち点は4と見た目は拮抗。とはいえ、スペイン代表で大車輪の働きだったイスコがジダン監督のローテーションでお休みしても、アセンシオやルーカス・バスケスなどはリヒテンシュタイン戦に出ていませんからね。フランス代表から遠ざかっているベンゼマもバルデベバス(バラハス空港の近く)でじっくり調整できたようですし、昨季、ヘタフェ同様、レバンテを1年で1部復帰に導いたムニョス監督は「No vamos a ir a sacar fotos ni a pedir camisetas/ノー・バモス・ア・イル・ア・サカール・フォトス・ニ・ア・ペディール・カミセタス(ウチは写真を撮るためやユニ交換を頼むために行くんじゃない)。勝ち点3を懸けて競いに行く」と言っているものの、かなり厳しいものがあるんじゃないでしょうか。

▽そして同じ土曜、こちらは午後4時15分(日本時間11時15分)から、この開幕アウェイ3連戦の最後としてバレンシアに赴くアトレティコも木曜にはメンバーが勢揃い。唯一、アルゼンチン代表に行っていたアウグストだけが試合に出てもいないのに太ももをケガするという不運に遭っていますが、中にはガーナ代表のコンゴ2連戦で4得点1アシストを記録してきたトマスのように急にゴールづいてしまった選手もいるのは心強いかと。何せ、こちらもグリースマンが2試合目の出場停止処分をこなさないといけないため、メスタジャではトーレス、コレア、ガメイロ、ビエット頼りになりますからね。シメオネ監督もトマスに結構、期待しているかもしれません。

▽え、アトレティコは1節のジローナ戦を2-2で引き分け、ラス・パルマス戦に1-5で勝って4ポイント、バレンシアはラス・パルマスに1-0で勝って、マドリーに劣勢から追いついてのドローで4ポイントとなると、勢い的には両者互角の戦いが見られるんじゃないかって?そうですね、今季からマルセリーノ監督体制となり、GKネト(インテル)、MFマクシモビッチ(アスタナ)、コンドグビア(インテル)、ペレイラ(マンチェスター・ユナイテッド)、グアデス(PSG)、DFムリージョ(インテル)、パウリスタ(アーセナル)と精鋭7人を補強して、ここ2年間の不振から脱却しようと、相手も気合が入っていますからね。

▽それだけにジローナ戦での教訓をラス・パルマス戦で生かしたアトレティコでしたが、この2週間のうちにまた忘れているんじゃないかというのだけが、私の心配の種。おまけに来週火曜にはCLグループリーグ初戦でローマに遠征ですし、以降も9月は日程が詰まっているため、ちょっと大変なんですが、まだまだシーズンは始まったばかり。補強ができず、メンツに変わり映えがないのはちょっと寂しいものの、何とか、お隣さんやバルサのペースに遅れず、ついていってもらいたいものです。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。