「笑顔になってもらえる存在になりたい」と語るスカイピース

 人気ユーチューバーのスカイピースが8月29日、配信限定曲「スタートダッシュ」でメジャーデビューした。コラボを経て■イニ■(じん)とテオくんで2016年に結成。コーヒーチェーン店で1万円を使い切るなどの「一万円企画」のような人気企画も手伝って、現在YouTubeのチャンネル登録者数は100万人を超える。特に10代女子に支持され、総再生回数も3億回を突破している。8月21日大阪BIG CAT、28日には恵比寿LIQUIDROOMで、“オフ会”をおこないメジャーデビューを発表した。デビューの実感がまだないと語る彼らだが「少しでも笑顔になってもらえるような存在になりたい」と意気込む。出会いから結成までの経緯や、「スタートダッシュ」の制作背景、さらに今後の目標など2人に話を聞いた。(編注=■は白抜き星マーク)

■イニ■を口説いていたんですけど断られて

スカイピースの■イ二■(■は白抜き星マーク)

――スカイピースは10代の方々から絶大な人気があります。以前は別々で活動していたと聞きましたが、一緒に活動をするようになったきっかけは?

■イニ■ 一言で言うなら“運命”です。もともと、僕はニコニコ動画で5年前くらいから活動していました。今と比べたら再生回数も少なかったんです。ラップを投稿したり、アニメのアレンジをして上げているうちに、それをTwitterに流すようになった。そのタイミングで、テオくんがVine(動画共有サービス)をやっていまして。それでお互いを知っていたんです。

――テオくんのどういうところに興味を持ったのでしょうか?

■イニ■ テオくんは飛び抜けて明るいと思ったし、Vineは6秒の動画サイトなのですが、その短い間でこんなに面白いことができるのかって、びっくりした覚えがあります。自分は歌動画で1、2分の世界だったということもありまして。

――テオくんはなぜVineで動画を投稿しようと思ったのですか。

テオくん そもそも僕は目立ちたがり屋でして、人を笑わせることが好きだったんです。Vineで有名な方がいまして、「その人よりも面白いんじゃない?」と友達言われて(笑)。それで始めました。

――テオくんが■イニ■さんのラップをニコニコ動画で観たきっかけは?

テオくん 自分は当時SNSをやっていなくて、ケータイを全然触らなかったんです。最初に始めたSNSはTwitterなのですが、Twitterに動画が上げられない仕様の頃で…。そこにVineがあって、Twitterと連携させてやっていました。YouTubeもニコニコ動画もその時はまだ存在を知らなくて。そんな中で30秒動画がTwitterで上げられるようになって、そこで初めて■イニ■のラップを観て、6秒間の制約の中でやっていた自分より可能性があるなと思いました。

――たまたま観たのが■イニ■さんの動画だった?

テオくん そうです。

■イニ■ もともとTwitterではフォローし合っていたのですが、「ありがとうございます!」くらいの関係でした。そこから会うまでは3、4カ月くらいだったかな?

――出会ってすぐにコラボし始めたわけですね。お二人とも音楽にはもともと興味があった?

テオくん 歌うのは好きでしたけど、自分で作るということに対しては無知で、コラボをするとなったときに初めてラップを始めました。

■イニ■ テオくんはラップ歴めっちゃ短いよね。

――フリースタイルまでできてしまうのに?

テオくん そうなんですよ(笑)。最初は■イニ■に教えてもらいました。

■イニ■ フリースタイルラップと、詞を作ってやるラップって、同じラップですけど全然種類が違うんです。フリースタイルはテオくんの方が今では上手いです(笑)。

――お二人の音楽のルーツは?

テオくん 全然違うんです。真逆と言っていいくらいですね。俺はロック系が大好きで。ONE OK ROCKさんやRADWIMPSさんなどが好きで、■イニ■がネットのラップですね。

■イニ■ インターネットラップやアニメソングなどで、ロックは逆にほとんど聴かないです。昔から音楽の傾向はずっと同じで変わらないです。

――スカイピースとしてやっていくことになったきっかけは?

テオくん 最初、自分は大工をしていました。その動画でフォロワーさんの人数が伸びてきて、そのときにYouTube動画を知って、そこから本気でやろうと決心しました。仕事を辞めて一人でやっていたのですが、なんだか一人だと面白くなくて。そのときに■イニ■と出会って、コラボを何回かしているうちに「この人とやっていきたい」と思いました。

――そこから■イニ■さんにアプローチをした?

テオくん けっこう口説いていたんですけど、断られていて。

――どうして断っていたのでしょう?

■イニ■ 自分は介護の専門学校へ行っていて、国家試験も受けて就職先もすでに決まっていたんです。YouTubeって、まだ色々とわからないことだらけで不安じゃないですか? 自分にとって未知の世界でした。慎重派の自分としては、そっちへ行く勇気がなかなか出なくて…。

テオくん しつこくアプローチしました。自分が決めたことを曲げたくなかったので。「この人」と決めたので、他の人は合わないと思ったし、その選択肢はなかったです。会ってまだ短い期間だったのですが、息もピッタリだったし、成功すると思って誘い続けました。

――その感覚は当たっていましたね。1年でチャンネル登録者数が100万人を突破しています。どういう具合で伸びていったのでしょうか?

■イニ■ もともとお互いTwitterやVineをやっていて、そのファンの方がYouTubeを観てくれていたのですが、今と比べるとまだまだ少人数でした。そこから「一万円企画」や「ラップ」など、色んな企画をやっていくうちに少しずつ増えていきました。

テオくん でも、ドーンと伸びている時期が続いたので、その伸び具合の勢いに気付かなかった感じです。この早さは稀なスピードと周りから言われました。

――確かにすごいスピードで増えていったみたいですね。そもそも、スカイピースという名前の由来は?

テオくん よくネットで空にピースをしている写真がありますよね? あれが個人的に好きでして。僕が“スカイピース”って言っていたのですが、それで決定しました。空って全世界でひとつですよね。そこに違う人のピース、場所が異なっても背景が同じって凄く良いなと。「空にピース」で検索して、良い写真があったら今も保存しています。そこからの「スカイピース」という由来なんです。ファンのみんなが送ってきてくれる写真が凄く好きなんです。

――素敵な由来ですね。■イニ■さんは「スカイピース」という名前を聞いて最初どう思いましたか?

■イニ■ 「これだ!」と思いました。最初「ホースラビット」という名前の候補がありまして。自分は前歯が出ていてウサギ、テオくんは馬顔みたいな感じで(笑)。その後の「スカイピース」という名前だったので。

テオくん 「ホースラビット」がダサ過ぎたんですよ(笑)。

感極まったオフ会

スカイピースのテオくん

――音楽面についてお聞きします。曲を作るのは好きですか?

■イニ■ 好きです。宅録を5年くらい前からやっています。

――どういった機材から始めましたか?

■イニ■ 今と同じで、マイクも最初に買ったのを使っています。

――曲を作るときはどういう流れでしょうか?

テオくん まずトラックを僕の知り合いに頼んで、トラックが出来たら構成を考えて歌詞の振り分けをして、サビ担当が先に作って、その後にもう一人がバースを考えて完成させていきます。

――役割分担をして作っているのですね。

テオくん 「スタートダッシュ」は作家さんに曲を書いて頂いて、Aメロは僕で、■イニ■がサビを担当しました。トラックを聴いて、どっちが作りやすいかなということを考えて、イメージが湧いた方が「今回は俺が作る」という感じです。

――「スタートダッシュ」を始めて聴いたときの感想は?

■イニ■ 凄い! カッコいいと思いました。パーティーチューンと言いますか、4つ打ちでノリノリな感じで。だからスラスラとサビの歌詞が出てきました。

――歌詞の内容的は、お二人のことを歌っている?

テオくん そうですね。自分達の気持ちであったり、ファンの方に向けての言葉であったり。

――作詞作業はスムーズに進みましたか?

■イニ■ はい。これは駄目出し無かったなあ…。

テオくん お互いに気が合って、動画もそうなのですけど直しがほとんどなかったです。好みが似ているのかわからないのですが…。相手が作っているものに対して、駄目出しは少ない方です。

――動画を観ていても、凄く仲が良さそうですよね。ケンカはしない?

テオくん ないよね? ぶつからないんですよ。■イニ■はそんなに意見を言ってくることがなくて、僕はけっこう言う方なんです(笑)。それで言い合いになったらケンカになるんでしょうけど、僕が言うと「わかった」という風になる人なので(笑)。

■イニ■ 「確かにな」って納得できちゃいまして。

――バランスが取れていますね。レコーディングはどうでした?

■イニ■ 本格的なスタジオでやるのは初めてで、今までは家で床に直に座って録音していました。一応、放送部が使っていそうなニョロっとしたスタンドはあるのですが。今回レコーディングしたスタジオは機材が凄いし、入ったときに「音が響かない」と思いました。

――自宅だと吸音しないと響いてしまいますからね。ということはスタジオでは歌いやすかった?

テオくん 家で地べたじゃ、やっぱり歌い辛かったので、凄く歌いやすかったです。ちゃんと声も返ってきますし。音を返す設定の仕方がわからなくて、イヤホンを片方外して自分の声を聴くという…。

■イニ■ 5年間ずっとそれでした(笑)。自分も今回のレコーディングは歌いやすかったし、楽しかったです。

――今回の楽曲は先日おこなわれたオフ会でも披露されていますね。メジャーデビュー発表も含めて、反応はどうでしたか?

テオくん 想像以上に喜んでくれました。

■イニ■ びっくりしたよね。

テオくん 「そんなに歓声くれるんだ」みたいな。緊張というか、始まる前に涙が出ました。歓声が凄くて。

■イニ■ イベントのオープニングが流れて、そのときに感極まっちゃって…。もう言葉数が少なくなってしまう程でした。なぜ、そんな風になったのかよくわからなかったのですが。

――それは、お二人がそれだけ頑張ってきたからだと思います。

テオくん 凄く救われます。

■イニ■ いいこと言ってもらっちゃったね。

笑顔になってもらえるような存在になりたい

スカイピース

――メジャーデビューで心境的に変わってきた部分はありますか?

テオくん 自分達では歌がそんなに歌が上手いとは思っていないので、「メジャーデビューしていいのかな?」と、まだ気持ちが追い付かない部分があります。でも挑戦をすることが好きなので、メジャーデビューして頑張ろうという気で今やっています。

■イニ■ 自分もなかなかメジャーデビューの実感がないです。でも、新しいことにチャレンジしていきたいし、曲も頑張りたいので、これから頑張って努力して追い付いていきたいです。その気持ちを込めたのが、この1stシングル「スタートダッシュ」で“不安と期待”がテーマです。

 全部の気持ちを含めて「スタートダッシュ」ということなんです。不安もあるけど、後半につれて期待を背負って頑張っていく、前向きな歌詞になっています。

――音楽というフィールドでやっていきたいという思いは昔からあった?

テオくん 歌をやりたいという気持ちは、ずっとありました。歌うのが好きだし、歌を作るのが好きだし。YouTubeでどんどん上げていこうとは言っていましたが、メジャーデビューまでは全然考えていなかった。

――メジャーデビューをして、やりたいことは?

■イニ■ 自分は曲作りが大好きで今までずっとしてきたので、いっぱい曲を作ってアルバムを出したいです。

――これから毎月、曲を配信していく予定ですよね?

■イニ■ はい。iTunesで配信されます。そしていつかはアルバムとして出したいなと思います。盤で作ってTSUTAYAにCDが並んでいるのを見て「スゲェ!」ってなりたいです。

――リアルなイメージですね(笑)。テオくんはメジャーデビューをして、やりたいことは?

テオくん 俺は小さい頃から本当に音楽が好きで、聴いたり歌ったりすることが好きだったんです。思い出に残る曲ってあるじゃないですか? 誰かにとっての「思い出の曲」を作っていきたいです。

――作曲もやっていきたいという思いはありますか?

テオくん まだそこまで考えていないですけど、凄く面白いとよく聞くので。

■イニ■ テオくんはミックスの方が興味ありそうなんです。そういうのが楽しいみたいで。

テオくん でも楽しいのは自分の声だけなので。自分の歌っている声が好きなんです(笑)。

――自分が好きなんですね。

テオくん 超好きです(笑)。男はみんなどこかナルシストな部分があるんですよ。

■イニ■ ナルシストの方がカッコいいよね。俺は違うけど…。

テオくん え? 自分大好きじゃん。あんな自撮りする奴いる? ■イニ■はこっちが恥ずかしくなるくらい自撮りをしているんですよ。

■イニ■ 普通の鏡で見ると「こんな感じか」ってなるんですけど、カメラのフィルターを通すと盛れるんですよ(笑)。

――盛るコツはあるのでしょうか?

■イニ■ ありますよ。それは言えないんですけど…。企業秘密です(笑)。

テオくん 言えるだろ(笑)!

――今後、ライブ活動は?

■イニ■ ライブもやっていきたいです。ライブって、視聴者のみなさんと直に会えるし、反応もして頂けますし。普段YouTubeを撮るときは家で2人、面白いんですけど寂しくやっているので、実際に歓声を上げて、手拍子をして自分達を観てくれるのが嬉しいです。

――スカイピース今後の目標は?

テオくん 自分達は観てくれる方のために動画を撮っているのですが、第一に考えていることは、まずは自分達が楽しむということです。今はネタ動画を多くやっていますが、中には■イニ■が入院してしまった時に1人でやっていたり、お見舞いに行ったり、怪我から復活したりと、人生のストーリーになっているものもあるんです。

 悪い例ですけど、アクシデントが起きるとそれがストーリーになります。ハプニングなども含めて“人生”をもっと動画にまとめていけたらいいなと思います。

■イニ■ 自分達が楽しくやっていることによって、それを観てくれる人も楽しくなってくれるので、Twitterでも「入院中の励みになりました」とか、「仕事で疲れて帰ってきて、スカイピースの動画を観るのが一番の楽しみです」という人達が居てくれるので、もっと、少しでも笑顔になってもらえるような存在になりたいです。

【取材=村上順一】

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