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棚に置かれたパンをトングでつかみ、トレイにのせて、レジに持っていくーー。そんな形式のパン屋さんでは、売り物のパンが包装されていないことがほとんどでしょう。幼い子どもが、包装されていないパンを手で触ろうとして、親が注意している光景を見たことある人もいるかもしれませんね。

ネットの投稿サイトには、幼い子どもが、売り物のパンをベタベタと手で触ったり、床に落としたりしたにもかかわらず、そばにいる親は買い取らず、何事もなかったかのように棚に戻して去っていったという話が数多く寄せられています。

このように、幼い子どもが売り物のパンを手で触ったり、床に落とした場合、親は弁償しなくていいのでしょうか。床に落としたパンを棚に戻す行為はどうなるのでしょうか。畑中優宏弁護士に聞きました。

●子どもの行動について「責任」を負う

「まず、子どもがパンを手で触ったり、床に落としたりするのは、パンの商品価値をなくす行為です。そんなパンを買う客はいませんし、食品衛生的にも問題がありますので売ることもできません。パン屋に対して損害を与える行動ですので、民事上の不法行為にあたります。

しかし、幼い子どもは未成年者ですし、自分のした行為の法的責任について理解できる年齢ではないと思われます。したがって、子どもは『責任能力』がないとされて、パン屋に対して何の義務も負いません」

その子どもの親はどうでしょうか。

「親は子どもを監督する立場にありますから、原則として、子どものした行動について責任を負います。具体的には、パン屋に対して、弁償しなければならないことになります」

子どもが床に落としたパンを棚に戻す行動はどうでしょうか。

「パン屋の立場からすると、商品価値のないパンをほかの商品と一緒に陳列してしまうことになります。それを見ていた客は、ほかの商品も買う気持ちがなくなるでしょう。

結果として、店の信用が下がり、売り上げが減るでしょう。床に落としたパンを棚に戻すのは、パン屋に対する不法行為にあたります。したがって、親はパン屋に対して、原則として、減った分の売上と同額の弁償をすべきことになります」

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
畑中 優宏(はたなか・まさひろ)弁護士
公立小学校の教員を8年間勤めた後、弁護士をめざして司法試験に合格しました。学校現場の問題には詳しく、相談も多く受けています。
事務所名:弁護士法人湘南よこすか法律事務所 逗子事務所
事務所URL:http://www.sy-law.jp